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第74話

Author: 木憐青
静雄は小切手をさっと取り戻し、冷たく鼻で笑うと、そのまま背を向けて立ち去った。

彼が今日ここに来たのは、この女に最後のチャンスを与えるためだったが、まさか彼女がこんなにも図々しい態度をとるとは思っていなかった。

そうなれば、もう遠慮する必要もないのだ。

松原グループに戻ると、静雄は全面的な反撃を開始した。

これまで長年松原グループを掌握してきたのは、松原家の血筋だけでなく、自身の実力もあるからだった。

敵の要を突くことの重要性を、彼は十分に理解していた。

今、深雪がこれほど強気なのは延浩が原因だ。だから、狙いは延浩に絞った。

やがて延浩の顧客の数名が離れていき、彼は苦境に立たされた。

注文が次々に奪われていくのを見て、延浩は静雄の仕業だと察した。

コンピューターの画面のデータの変化を見つめながら、延浩は焦るどころか興奮した。

彼はにやりと笑いながら言った。

「そうだ、これこそ本物の松原静雄だ。まさに的確な反撃、まさに圧倒的だ!」

その興奮した様子を見て、助手の東雲青(しののめ あお)は呆れ顔だった。

「社長、うちはまだ立ち上がったばかりです。どうやってあの松原グループと勝負できるんですか?」

「勝負する必要なんてない。小よく大を制すっていうのは、俺の持ち味さ」

延浩はにっこり笑って、落ち着いた口調で言った。

「彼が奪っていった顧客はみんな、俺が丹精込めて用意したものだ。あいつに後悔させてやるだけさ」

もともと不機嫌だった青は、この言葉にすぐに元気を取り戻した。

「どういう意味ですか?」

「無駄口を叩くな。頼んだ物、ちゃんと買ったか?」

「買いましたよ。でも、どうしていつも大学食堂のご飯を食べてるんですか?」

青は不思議そうに延浩を見た。

彼はもう何年も卒業しているはずだが、一体何をやっているのか?

それを聞くと、延浩は立ち上がり、彼に白い目を向けながら、不機嫌そうに言った。

「お前は助手だろ?俺のことまで口出しできる立場か?」

「失礼しました。でも今、会社はめちゃくちゃです。どうすればいいんですか?」

青は困った顔で延浩を見た。

延浩は気にせず手を振った。

「業績が伸び悩んでるなら、技術力を高めろ。ちょうど今、安心してコードが書けるしな」

彼は静雄を特別に凄いとは思っていなかったし、松原グループが盤石だとも思
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