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第60話 母さんが倒れた ~フォルトナサイド~

Author: 光命
last update Huling Na-update: 2025-05-06 13:55:23

母さんが倒れたらしい。

何があったんだろう……

「ねぇ、カルムさん、母さんが倒れたってどういうこと?」

伏目がちなカルムさんに母さんの容態を確認してみたけど……

「私も先ほど初めて聞いたので、なんとも……」

普段あんまり物事に動じないカルムさんが動揺している。

カルムさんにとって母さんは絶対だしねー。

かなり心配なのだろうなー。

「そうなんだー

 うーん……

 母さんも心配だけど……」

ちらっとアグリの方を見てみる。

アグリはボクの目配せに気づいてくれた。

「俺たちの方は心配しなくてもいいよ。

 アウラさんのところに帰ってあげなよ」

アグリ、そうじゃないって。

引き留めてくれれば、ここにいる理由が出来るのに……

そう思う反面、母さんの容態も気になるし……

葛藤してどうしていいかわからなくなるよー

「そういえば、カルムさん。

 ボクが帰らないといけないほど母さんは危ないの?」

帰ってきてほしいってよっぽどなのかなー。

「倒れられた経緯は聞いていないですが、命に別状はないとのことでした」

「それはよかったー。

 でも、それならなんでボクが戻らないといけないのかなー」

命の危険はないなら、なんでボクを呼び戻そうとしているのだろうか……

そこがなんか腑に落ちないんだよなー

「それでもしばらくは動きが取れないとのことで……

 村長の代理を、フォルトナお嬢様にしてほしいらしいです」

「えーっ、ボクが村長代理?

 無理無理無理無理むーりー!!」

ボクなんかが代理しなくても、他にもっと出来る人いるでしょ!

なんでボクなのよー

「フォルトナお嬢様のお家は、代々シルフィーネ村を束ねてきているのです。

 他の方ですと、人々が納得しないかと……」

確かにそうだけどさー

それでも、ボクが代理なんてまだ早すぎるよ。

「うーん……」

母さんは心配だけど、村長の代理はなー……

考え込んでいるとアグリがボクに諭すように話をしてきた。

「フォルトナ、村長の代理うんぬんは置いて、アウラさんの様子を見に帰ったら?

 命に別状はないとは言え、動けないほどなら大変だと思うよ」

それはボクもわかっているよー

わかっていても、なかなかと踏ん切りがつかないこともあるんだって。

「うーん……どうしたらいいかなー」

こんな時にゾルダが割って入ってきて、いろいろと煽ってくれると幾分気も紛れるのにさー

さっきから姿を消し
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