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2 家族だなんて思えない

Penulis: けいこ
last update Terakhir Diperbarui: 2025-07-29 08:46:12

「僕は……ずっとずっと勉強ばっかりで、息抜きも上手くできなくて。いつだって気が張って、リラックスできないまま毎日疲れきっていました。周りの人はみんな青春を楽しんでて、少しうらやましく思えたりもしました。でも、医者になりたいって選んだのは自分です。その気持ちに負けてしまうのも……嫌でした。僕は、誰にも相談できずに、ずっと……葛藤してたんです」

「文都君……。つらかったね」

「……でも、もし、そんな状況から抜け出すことができたら……って思って……」

「うん」

「いろいろ考えて、まずは住む場所を変えてみようと思いました。だからといって、家事をする時間は無いですし、一人暮らしは絶対に無理だったので、ネットで良い方法がないか探しました」

「そうだったんだ……」

「はい。そしたら、ここが見つかって。不思議ですけど、絶対にここが良いって直感で思いました。その直感は大正解でしたよ。おかげで結菜さんに出会えたんですから。それからは毎日結菜さんに励ましてもらったり、美味しい食事を作ってもらったりして、それがすごく嬉しかったんです」

「当たり前のことだよ、そんなことは。みんなが喜んでくれることが、私こそ嬉しかったんだよ。本当に、文都君がここを選んでくれて良かった」

「全然当たり前じゃないですよ。励ましたり、美味しい食事が作れたりって……本当に当たり前じゃないと思います。結菜さんのそういう姿が、いつだって疲れきっていた僕の心に元気を与えてくれました」

文都君の笑顔を見たら、嘘のない言葉をもらえた気がして嬉しくなった。

「文都君はとっても頑張ってる。想像もできない世界だけど、誰かを助けたいと思ってお医者さんを目指してるその志を、私はいつだって尊敬してるよ」

「……ありがとうございます。結菜さんの元気で温かい言葉で、僕は前向きになれました。結菜さんが僕をリラックスさせてくれて、変えてくれたんです。いつしか、あんなに悩んでいた勉強も嫌じゃなくなりました。逆に頑張りたいって思えるようになったんです」

「そんな……。でもね、私は不倫をするような最低な女だよ。そんな私のことを好きだなんて、やっぱり……」

「最低なんかじゃないです。僕も、健太さんが悪いと思います。結菜さんを泣かすようなことしたんですから。男として最低です。ただ……結菜さんがあの人に出会う前に、僕は結菜さんに出会いたかったです」

「……
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