白いシーツがこすれる音。半開きになった口元から漏れ出す、吐息と喘ぐ声。それは、この無機質な部屋の壁に吸い込まれ……そして、消える。唇と体を重ね、幾度も押し寄せてくる気持ちの良い波を当たり前のように受け入れ、最後はいつもと同じように……2人で果てる。毎回決まりきった彼との淫らな行為。私は、もはやそのことに対してあまり罪悪感も持てなくなっていた。「もう、帰らなくちゃ」「今日は朝までずっと結菜(ゆいな)と一緒にいたい。帰したくない」彼は、着替えを始めた私を後ろから抱きしめ、耳元で囁いた。まだ何もつけてない胸が大きなてのひらで覆われ、彼の好きにされる。「ちょ、ちょっと止めて。着替えさせてよ」「嫌だ」「今したばっかりじゃない」あまり、ここに長居はしたくなかった。30歳――確かに、日々の生活にやりがいを見いだせない既婚者の私にも、これがイケナイことだと少しはわかっている。だけど、キッパリ断ち切れずに今日までダラダラと過ごしてしまった。彼とはこうやって時々体を交えるだけで、決してそれ以上の関係にはならない。それでも、独身の彼は、嫌がる私の気持ちを無視して、もっとずっと下の方に手を伸ばし、私を求めた。下着の中にするりと滑り込む指。「ちょっ、ダメだよ。夕飯作らないといけないし、もう帰らなきゃ」彼は、抱きしめた体をいつまでも離そうとしない。「だからもういい加減にして!」私はイライラしながら、しぶとくまとわりつく彼をかなりの力で振りほどいた。「……だったら、次、いつ会える?」「し、しばらくは忙しくなりそうなの。だからわからない」「わからないって、何だよ?」「同居人が1週間後に引っ越してくるから」いちいちうるさいと思いながらも、しぶしぶ答えた。
Terakhir Diperbarui : 2025-06-16 Baca selengkapnya