真夕は身じろぎし、起き上がろうとした。しかし、真夕が少し動いただけで、司は目を覚ました。そして、彼はまた手を伸ばして真夕を抱き寄せた。「目が覚めた?」真夕は彼の胸に顔をうずめ、何も答えなかった。司はまだ眠たげで、いつもの冷ややかで禁欲的な雰囲気に、少しばかりのけだるさと色気が混じっている。彼は手を伸ばし、真夕の頬を軽くつまんだ。「どうした、怒ってる?口もきいてくれないのか?」真夕はもちろん怒っている。昨夜、司に強引に奪われたのだ。真夕は今、話などしたくない。司は口元を緩め、真夕の額にキスを落とした。「怒ってる顔も可愛いな」真夕は司の筋肉を思い切りひねった。司は身を翻し、真夕を下に押し倒した。「昨夜はまだ足りなかったんだろ?じゃあ続きだ」真夕の長いまつ毛が震えた。昨夜、司のせいで体力を使い果たしたというのに、彼はまだその気らしい。真夕は断った。「嫌よ!もう昼間だし。岩崎彩からまだ連絡もないし、星羅と奥様のことが心配なの」司ももちろん心配している。彼は低い声で慰めた。「連絡がないのは悪いことじゃないさ。岩崎はきっと今、手一杯になってるぞ」真夕「じゃあ起きよう」「わかった」司と真夕は起き上がった。ちょうどその時、清が入ってきた。「社長」清が業務報告を始めた。真夕は司を一瞥すると、そっと社長室を抜け出し、外へ出た。その時、佳子からメッセージが届いた。【真夕、情報を手に入れたわ。岩崎社長が帰国したって】このところ、謙はずっと海外にいたが、今日は帰ってきたらしい。真夕の瞳がぱっと輝いた。【岩崎社長はもう着いたの?】佳子【着いたわ。岩崎社長はちょうど専用機から降りたところなの。今急げば空港で会える】それは好都合だった。真夕は車に乗り込み、空港へ直行した。真夕は今回は一人で出てきたのだ。司は連れてこなかった。なぜなら、彩は司の婚約者であり、名家同士の結びつきには表面からは見えない利害関係が山ほど絡んでいるからだ。真夕は星羅を堀田家と岩崎家の争いに巻き込みたくなかったし、司を板挟みにもしたくなかったのだ。したがって真夕は、今一人で謙に会に行く。ほどなく真夕は空港に到着し、ロビーへと急いだ。そこに謙の姿があった。真夕が謙と会うのは三年ぶりだ。謙は何も変わっていない。黒いコートをまとった彼
司は狂ったように真夕の頬や髪の毛にキスを落とした。「もう抵抗するなよ。今の自分の様子を見てみろ。明らかに求めてるだろ!」真夕は否定した。「そうじゃない!」「大人しくしてろ。今夜は俺のものだ!」司は真夕のシャツを引き裂き、その二本の白い手首をベッドに押さえつけ、強引に彼女を支配した。真夕は眉をひそめ、口を開けて司の肩に一噛みした。この男はあまりにもひどい!司は痛みに顔をしかめた。体中が痛みで満たされ、その痛みが強烈な快感となって頭皮まで痺れさせた。真夕は涙を浮かべた。まさか自分がまた司とベッドを共にすることになるとは思わなかった。心では拒んでいるが、明らかに体は従ってしまった。司の薄い唇は真夕の涙をぬぐいながら頬に落ちた。彼は手を伸ばして彼女の小さな顔を包み込んだ。「真夕、どうした?泣いてるのか?」真夕は涙でぼんやりした目で司を見て言った。「最低!」司は真夕にキスをしながら答えた。「そうだ、俺は最低だ。もう泣くなよ」真夕は憤りを込めて言った。「私は逸夫と結婚してるの。逸夫の妻よ。あなた、いったい何なの?」逸夫の名前を聞くと、司の瞳には嫉妬の炎が燃え上がった。「じゃあ島田は、俺に浮気されてることを知ってるのか?この三年間、可愛い妻がいるのに、それでも触らずに我慢してたのか?それなら他の男に盗まれることになるに決まってる。俺、ずっと君のことを想ってたからな!」司はそんなことまで言えた。真夕は再び彼の肩に噛みついた。その鋭い小さな牙が司の筋肉を貫き、深く食い込んで血がにじんだ。司は痛みをこらえ、細く吊り上がった目尻が真っ赤に染まったまま、真夕にキスをした。「俺がどれほど君を求めてるか、分かってる?毎晩君のことを想って眠れないんだよ。この三年間、俺と一緒にいようとする女は絶えなかったが、俺は誰にも興味がなかった。ただ君を見るだけでたまらなかったんだ。君が島と結婚して、俺の知らないところで彼と絡み合ってると知ると嫉妬で狂いそうだった。だが、実際には彼は君に触れてもいなかったんだね。真夕、俺に身を任せろ。今夜君は俺のものだ!」司は真夕の小さな手を握り、その長い指を彼女の指に絡めた。司はずっと我慢していた。今夜こそ、真夕が完全に自分のものになる。自分は彼女の身体に焼き付けるように痕跡を残したい。自分は真
司は手に持っていたタオルを放り投げ、長い脚を開いてベッド脇まで歩み寄った。そして、彼は上から見下ろすように真夕を見つめながら言った。「あいつが言ったこと、本当か?」真夕はすぐに目を見開いた。「違う!幸子が言ってること全部嘘だ!」「嘘つきめ!」と、司は低い声で呟いた。彼は幸子の言葉を、むしろ信じている。司は手を伸ばし、真夕の小さな顎を掴んで無理やり顔を上げさせた。「この三年間、本当にセックスしてなかったのか?」なぜだ?彼女、逸夫と結婚したはずなのに、なぜセックスがないのだ?さっき幸子の言葉を聞いた時、司は衝撃を受けた。しかし、衝撃の後には歓喜があった。まさか真夕もこの三年間、自分と同じだったとは思わなかったからだ。真夕「堀田社長、だから言ったよね?幸子は嘘を言ってるだけで、真に受けないで」司は言い返した。「もうやめろ。親友が君に嘘をつくはずがない。島田はなぜ君とやらないんだ?」真夕「私……」しかし、司はその言葉を遮った。「この三年間、ずっと俺のこと思ってたんじゃないのか?」真夕「……」しまった。司が全部聞いてしまい、真に受けてしまった。さっき幸子が彼を褒めたことで、彼のナルシズムに火がついたのだ。確かに、それは事実だが。真夕は司の手を払いのけた。「堀田社長、もう一度言う。幸子は冗談を言ってるだけ。私たちの間の遊びなの」司は上から真夕を見下ろしながら言った。「君、俺が欲しいのか?」は?司は真夕の小さな手を掴み、その手を自分の鍛え上げられた胸に置いた。さらに、その手を滑らせて自分のパジャマの中へ入れ、くっきりと割れた腹筋の上に置いた。「これ、ほしい?」真夕はこの三年間ずっと独り身だった。今司が突然色仕掛けしてきて、彼女の柔らかな掌の下には力強く美しい筋肉の感触がした。そのせいか、真夕は頭が熱くなり、頬もぱっと赤く燃え上がった。真夕は手を引っ込めようとした。「何をしてるの?変態!」しかし、司は真夕の手を押さえ、彼女が引っ込めるのを許さなかった。彼は薄く笑いながら、さらに手を滑らせて言った。「本当に、欲しくないのか?」真夕は答えなかった。真夕は澄んだ瞳を大きく見開き、まるで電気に触れたかのように司の手を振り払った。「あなたって変態!」司は片膝をベッドに付き、真夕を自分の下に閉じ込めた。
真夕はなんとも言えなかった。真夕には、なぜ幸子の頭の中にどんなエロイ妄想が詰まっているのか、理解できなかった。なぜいつもそういう方向に考えるのだろうか。真夕はきっぱりと言った。【私と彼は何もしてない!】そのころ、司はシャワールームでシャワーを浴びている。彼はラインの音を聞き、真夕が誰かとチャットしているのを知った。司は冷水シャワーを浴びている。冷たい水が彼の鍛え上げられた筋肉に当たり、またはね返った。それでも彼の全身の熱気はまったく冷めなかった。真夕が自分のベッドの上にいることを考えるだけで、司の妄想は止まらなかった。司は目を伏せ、だらしなく瞼を閉じ、ゆっくりと手を下ろした。そして彼は声をかけた。「真夕!」外の真夕は司の呼ぶ声を聞いた。「どうしたの?」司は尋ねた。「何をしてる?」真夕は答えた。「何もしてないよ。友達とおしゃべりしてるだけ」司は再び訊いた。「男か?」真夕は言い返した。「……男だろうと女だろうと、私のプライベートだ。知りたくても教えない!」司は笑い、かすれた声で言った。「君のプライベート?俺は見逃したことがないけどな」真夕は腹が立ち、言った。「ちょっと!」シャワールームの中の司は、真夕が自分の名前を呼ぶのを聞いた。真夕の澄んだ声は少し甘えた響きで、司はその時の彼女の生き生きした姿を想像せずにはいられなかった。その瞬間、欲望は頂点に達した。司は頭が真っ白になり、宙に舞うような気分になった。外の真夕はまだ何が起きているのか知らなかった。チャットグループからまたメッセージが届いた。幸子【真夕、この三年間ずっと独り身だったけど、生理的な欲求はなかったの?堀田社長を見て我慢できるの?】真夕「……」幸子は続けた。【私たち、親友でしょ?さあ、本音を聞かせて】真夕の頬は赤く染まり、耳たぶにまでその紅が広がっていた。自分には生理的欲求なんてなかったし、司なんて求めていなかった。その時「パタッ」と音がし、司がシャワーを終えてシャワールームから出てきた。真夕は顔を上げて司を見た。司は黒いシルクのパジャマを着ている。ゆるく締めたベルトからは鍛えられた胸の半分と長くたくましい脚が覗いている。司のセクシーさについては、真夕は否定したことがなかった。あんなに長く彩が愛し続けたのも納得できる。
シャワールームの中から水音が聞こえてきた。真夕はすでにシャワーを浴びているようだった。司は窓辺に立ち、窓を開けて外の冷たい空気を室内に取り込んだ。体の熱を少しでも冷ますためだった。今、司の頭の中には真夕の成熟した魅力的な姿が浮かんで離れず、熱い血が全身を駆け巡っている。三年前、真夕と激しく愛し合った夜の記憶が次々に蘇り、抑えがたい感情が胸を締めつけた。司は、真夕を心の底から、ずっと、ずっと恋しかった。やがてシャワールームからの水音が止まり、司は窓を閉めた。ちょうどその時、シャワールームの扉が開き、真夕が出てきた。あのセクシーすぎる寝間着は着られなかったため、真夕はシャワールームのキャビネットの中から司の白いワイシャツを選んで身にまとった。大きめのメンズシャツは、真夕の華奢でしなやかな体をすっぽりと包み、その下から伸びる脚はまるで白磁のように滑らかで美しく、まっすぐだった。足元には白いスリッパで、濡れた黒髪を垂らしたその姿は、まるで湯上がりの熟れた桃のようで、ひと口かじってみたくなるほどに誘惑的だった。司が自分をじっと見つめていることに気づいた真夕は、不機嫌そうに睨みつけた。「何見てるのよ!もう一回でも見たらその目玉くり抜くから!」司は唇をかすかに上げて笑った。「そんなに怒らなくても」真夕はぷいと顔を背けた。「分かってるならいいのよ!今夜は私がソファで寝るわ!」司の休憩室にはベッドもソファもある。ソファはふかふかで、十分に寝られる広さだった。真夕はソファに向かって歩き、すとんと横になった。「堀田社長はベッドでどうぞ」司は真夕のそばに歩み寄った。「ベッドで寝なよ。俺がソファで寝る」真夕は首を振った。「堀田社長、ここはあなたのところでしょ。今夜泊めてくれてありがとう。でも私はソファでいいの。ベッドで寝て」司は眉をひそめた。「俺みたいな紳士が、女の子にソファで寝させると思うか?」そう言いながら、司はすっと真夕を横抱きにした。真夕は宙に浮いた自分の体に驚き、すぐに足をばたつかせた。彼女の真っ白な脚が空中でひらひらと揺れた。「堀田社長!降ろしてってば!」司は真夕をそのままベッドに運んだ。「おとなしくしてろ。君がベッドで」真夕は慌てて言った。「でも……」「真夕、もしこれ以上何か言ったら、俺にはもっとい
真夕は立ち上がろうとした。しかし、その瞬間、司は真夕を抱きかかえたまま数歩後ろに下がり、真夕の柔らかな腰が洗面台にぴったりと押し当てられた。司は真夕を洗面台と自分の胸の間に閉じ込めるように立った。真夕はまつげを震わせながら抗議した。「堀田社長、何するつもり?放して!」真夕は両手を彼のたくましい胸に当て、司を押しのけようとした。しかし、司は真夕を抱きしめ、彼女の体を自分のほうに押し付けた。薄い服越しに、二人の体はぴったりと密着した。司はかすれた声で言った。「真夕、動くな」真夕の体がぴくりと固まった。司の体の変化に気づいたからだ。真夕の小さな清麗な顔が一瞬で真っ赤に染まった。「あなた……何をしてるの!」司「俺は何もしてない。ただの生理現象だ!俺、男だろ。この三年間ずっと独り身で過ごしてきて、美人を目の前にして、反応がない方がおかしいだろ?」真夕の顔はますます赤くなり、不安そうに身をよじって言った。「放してよ!」「これ以上動いたら……俺、本当に何かしちゃうかもよ」仕方なく、真夕は動きを止めた。司は彼女の小さな顎を軽くつまむと、顔を近づけ、その赤い唇にそっとキスを落とした。……んっ!真夕はとっさに司を突き放した。「私たち、事前に決めたはずよね?お互い干渉しないって!これ以上続けるなら、今夜はもうここに泊まらないわ!」真夕の強い抗議に、司はようやく彼女を解放した。「分かった、もう何もしない。シャワー行ってきて」真夕はさっと数歩離れ、司と距離を取った。その時、ノックの音がした。外から清の声が届いた。「社長、女性用品が届きました」司は休憩室のドアを開け、清からある手提げ袋を受け取った。「ご苦労。下がっていい」「はい、社長」司はドアを閉め、袋を真夕に渡した。「ほら」真夕はそれを受け取った。「どうも」袋を開けると、中には新しい女性用アメニティが一式揃っている。真夕はまずパジャマを取り出したが、すぐに表情が変わった。「あなた、これ何のつもりなの!どんなパジャマ買わせたのよ!」司は何のことか分からなかった。「どういうこと?」真夕は怒りに任せ、袋から取り出したパジャマを司に向かって投げつけた。「自分で見ろ!」司はすぐにそれを受け取った。手にしたパジャマは、なんとセクシーランジェリーだった。布