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第289話

Author: こふまる
冬真は目を見開いた。ボディーガードたちが夕月の指示通り、携帯を取り出すのを見つめる。

様々な角度からカメラが向けられる中、夕月が竹刀を振り上げた。

「パチン!」鋭い音と共に、男の頬に赤い筋が浮かび上がる。

全身に怒りの血が滾る。舌先で熱く腫れた頬の内側に触れる。

「藤宮夕月!!!」

怒号を上げかけた瞬間、声が途切れた。こんな角度から夕月を見上げたことなど、今までなかった。

竹刀を手にした女が目の前に立つ。冷徹な表情で、長い睫毛が作る影が瞳を覆っている。

前妻の美しさは疑いようもない。だが今、まるで鞘から抜かれた刃のように、冬真は初めて彼女の持つ鋭利な殺気を目の当たりにしていた。

夕月が再び細い竹刀を振り上げる。

冬真は思わず目を見開き、息を呑んだ。

「その持ち方だと、手を痛めることになるぞ」

背後から天野の声が響く。

彼が前に出て、大きな手が竹刀を握る夕月の手を包み込んだ。

「上腕を使って、肘を回し、肩甲骨を開く。腰の力を使って腕を振る。こうやって」

「パチッ!」

一撃が冬真の肩を打ち、火のような痛みが体の半分を駆け巡った。

冬真は眉間に皺を寄せ、夕月の後ろに立つ天野を冷たい目で見つめた。

この角度から見ると、夕月の背中は天野の胸にほとんど密着している。

大柄な男は巨峰のように、彼女を全て包み込んでいた。

夕月の目に笑みが浮かぶ。「確かに、こうすれば手が震えないわね」

天野は頷き、温かく大きな手を夕月の手から離した。

車椅子に座った凌一は、天野の背中を深い眼差しで見つめていた。

「パチッ!」

胸に炸裂する痛み。冬真は拳を強く握り締め、額に薄い汗が滲んだ。

「これからは私の許可なく、トイレも食事もダメよ。我慢できなくなったら……お願いすればいいわ」

先ほどの冬真の言葉を、そのまま突き返した。

冬真は怒りを含んだ笑みを浮かべ、漆黒の瞳に殺気を滲ませる。「お前という女は――」

言葉の途中、夕月のヒールが容赦なく、先ほど蹴られた腹部を再び打ち付けた。

「ぐっ!!!」

彼が自ら履かせたハイヒールが、今や彼を踏みつける道具となっていた。

怒りと驚愕の表情で、暴力を振るう女を睨みつける。

夕月は彼の視線を受け止めたまま、ヒールを更に押し込んだ。

細いヒールが肉に食い込む。

拘束された男には抵抗する術もない。

額に
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saku
うっほー ざまぁwwww
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シマエナガlove
これくらいじゃ こいつはわからないな
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