Share

第7話 家族団らん

Auteur: satomi
last update Dernière mise à jour: 2025-05-09 18:16:02
「エリザベート、お前が『オールソー』のオーナーなのか?」

「はい。充実した日々を送っています」

 嘘だな。仕事は殆どジャックに丸投げしてるし、本当に必要な決裁書類にサインをするみたいな?

「こちらは、私の仕事の右腕となります凄腕魔術師でもあるジャックです。私は爵位とか気にしませんから。完全実力主義です。仕事先でも成功者には高い報酬を渡します。逆に、犯罪のようなことをした者は厳しく罰します」

「ほぉ、いっぱしの商人のようだな」

 商人です。

「オールソーでは大体のものが揃いますが、何かご所望ですか?」

「できればなんだが、孫の顔が見たい。公爵家は養子でもなんでもいいが、孫の顔だけはなぁ」

 おいおい、そう来たかよ?予想外の展開だな。たいていの男は金の力で追い払ったが、お父様は金で追い払えるものじゃないからな。

「でも、もう適齢期などとうに過ぎてしまっていますし……」

「子供は産める!幸いエリザベートは健康体だ。そのジャックとはなんの関係でもないのか?」

 ジャックは俺の中身が男だって知ってるからな。

「彼とは純粋な仕事のパートナーです!それに、今は仕事が楽しくて子供どころじゃないんです」

「そんなことを言ってると、出産可能な年齢を越えてしまうぞ?」

 越えるのが目的だからな。

 ハッキリ言って、参った。

 俺はどうすればいいんだろう?親父には悪いが孫は諦めてくれ。

 さて、どうしようかなぁ?

 せっかくここまで大きくなった商会をジャックに委ねて、俺は旅に出るか。

 そうしよう。女性の一人旅は危ないのだけど、やむを得ない。背に腹は代えられない。

 ジャックが一緒に来てくれると心強いけど、商会を委ねられるほど信用できるのもジャックだけだしなぁ。

 とりあえず、旅に出るにあたって護身術など体術をジャックに教えてもらおう。ジャックには仕事が増えて申し訳ないが、理由が理由だ。
satomi

見た目だけが男性なだけですからね…。孫というのはちょっと嫌だろう。

| J'aime
Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application
Chapitre verrouillé

Latest chapter

  • 悪役令嬢に転生した俺(♂)!   第9話 何故か皇帝と謁見

     しばらく働いて、俺もかなり稼いだ。 ここで驚くべき話が女将さんからされた。「エリ、なんかエリの評判が皇帝の耳にも入ったらしく、皇帝がお会いしたいって言ってるらしい」 へぇ~。俺は女将さんの言葉を噛み砕いた。 コウテイ ガ オレ ニ アイタイ うぉっ、これは予定外の展開。 とにかく持っている服の中で一番いい服を着て、皇城へ俺は行くことにした。「街中の食堂で働いております、エリと申します。皇帝より召喚の手紙を頂き馳せ参じました。どうぞ、門をお通しください」 これで通れるかな?証拠の手紙も持ってきたけど? 2m近くありそうな門が音を立てて開いた。「開門!」 門番の方は言うけど、正直声がデカくて煩い。 皇帝がいるところまでは、距離があるから案内役みたいな人が案内してくれるみたいだ。 行く間、皇城に何故かいる貴族令嬢(なんでいるのか目的不明)が、「平民が迷子になったんじゃないの?」など俺を嘲笑いながら、扇で顔の半分を隠している。 ジャックに手紙でその令嬢の家との取引を全面停止してもらおうか?いや、それは大人げないか。俺はとりあえず気を落ち着かせた。 皇帝に会う前に通された部屋で俺は以前されていたように、侍女達にピカピカに磨かれた。着ていた服も着替えさせられた。化粧もされ、髪もいじられた。 それから、皇帝がいるという執務室に通された。 別に俺にバイキンがついてるわけじゃないんだから、風呂とか入れなくてもいいんじゃない?「皇帝におかれましてはご機嫌麗しく、私の噂がお耳に入ったようで馳せ参じましたエリでございます」 と、俺はカーテシーをした。疲れるんだよ、この体勢。「あーよいよい、単刀直入に聞こう。会って確信した。貴女はジングー王国の公爵令嬢であられたエリザベート嬢で間違いないな?」 本当に単刀直入だな。「はい」「そして、あの王子に冤罪で国外追放されたと。まさか我が国にいるとはなぁ。そして、『オールソー』のオーナーであったと?」 げっ?そんなとこまで調べてるの?王家怖い。「間違いございません。今は全権を別のものに委ねていますが」「何故、大商会の全権を委ねるまでに?」 親父が「孫の顔が見たい」とか言うから。「人払いをお願いできますか?」 皇帝がゴホンッと咳払いをすると、部屋にいた人たちがサッサと部屋から出ていった。「まず、

  • 悪役令嬢に転生した俺(♂)!   第8話 俺の旅立ち

     孫の顔が見たいとか無茶を言うから、俺は旅に出ることにした。旅先でまたなんかでのし上がろう。 オールソー商会はジャックに全権を委ねた。 ジャックには基本的な体術を叩き込まれたし(スパルタだった)、なんとかなるだろう。 俺はとりあえず、サイフロ帝国の南へ進んだ。北は寒いから嫌だ。 南に進むとわかってはいたけど、王都が…。 俺の噂、流れてるんだろうな。『サラサ嬢を虐めたとして国外追放になった稀代の悪女・エリザベート』とかなんとか。 あれ?文字で考えるとショボくない?たかが男爵令嬢を虐めた(証拠が不十分)くらいで国外追放って。 脱出はしたけど、あの国は大丈夫だろうか? 大丈夫じゃないだろうな。頭がお花畑の人が国のトップだし。領民は大変だ。苦労するなぁ。 南は暖かくていいと思ったんだけど…暑い‼ なんで、ここに住んでる人は平気な顔してるの?慣れ?慣れてるから平気なの? あ、王都。 俺は平民だし、王城には縁がないな。見上げる観光スポットみたいなものだ。王城は大きいなぁ。 そんな時、俺のお腹は鳴った。盛大に。「そんなに別嬪さんでもお腹ってなるんだなぁ。うちの店で食べていきなよ、サービスするよ」「そんなこと言って、お前さんはアヤシイね。料理に媚薬でも混ぜようって魂胆じゃないのか?お嬢さん、うちの店で食べていきな。なんなら寝床も提供するよ」 媚薬……そんなものが存在するのか。何てこと。注意せねば。 そういうわけで、寝床も提供してくれるという女将さんのお店でお世話になる事にした。「女将さんがホール仕切ってるんですか?」「見ての通りだよ、昼とかランチの時間は体力勝負だね」「奥の厨房で料理をなさっているのが旦那様ですか?」「そうだよ。最近妊娠発覚したけど、悪阻になってる暇もないよ」 なんかスゴイ大変そうだ。「あの…差し出がましいですが、私がホールのお手伝いをしましょうか?」「ちょうど手伝う子を探してたんだよ。でもキツイのかなかなか決まらなくてねぇ。お前さんは名前は?」「エリz…エリです」「エリかい。短くて呼びやすいね」「体力はあると思いますし、大丈夫ですよ!あ、1番テーブルオーダー入りました」「エリ、従業員やるならエプロンつけな。さぁランチタイムだ。働くよ?」「はい」 こうして、俺はとりあえずウエイトレスの仕事をするようになっ

  • 悪役令嬢に転生した俺(♂)!   第7話 家族団らん

    「エリザベート、お前が『オールソー』のオーナーなのか?」「はい。充実した日々を送っています」 嘘だな。仕事は殆どジャックに丸投げしてるし、本当に必要な決裁書類にサインをするみたいな?「こちらは、私の仕事の右腕となります凄腕魔術師でもあるジャックです。私は爵位とか気にしませんから。完全実力主義です。仕事先でも成功者には高い報酬を渡します。逆に、犯罪のようなことをした者は厳しく罰します」「ほぉ、いっぱしの商人のようだな」 商人です。「オールソーでは大体のものが揃いますが、何かご所望ですか?」「できればなんだが、孫の顔が見たい。公爵家は養子でもなんでもいいが、孫の顔だけはなぁ」 おいおい、そう来たかよ?予想外の展開だな。たいていの男は金の力で追い払ったが、お父様は金で追い払えるものじゃないからな。「でも、もう適齢期などとうに過ぎてしまっていますし……」「子供は産める!幸いエリザベートは健康体だ。そのジャックとはなんの関係でもないのか?」 ジャックは俺の中身が男だって知ってるからな。「彼とは純粋な仕事のパートナーです!それに、今は仕事が楽しくて子供どころじゃないんです」「そんなことを言ってると、出産可能な年齢を越えてしまうぞ?」 越えるのが目的だからな。 ハッキリ言って、参った。 俺はどうすればいいんだろう?親父には悪いが孫は諦めてくれ。 さて、どうしようかなぁ? せっかくここまで大きくなった商会をジャックに委ねて、俺は旅に出るか。 そうしよう。女性の一人旅は危ないのだけど、やむを得ない。背に腹は代えられない。 ジャックが一緒に来てくれると心強いけど、商会を委ねられるほど信用できるのもジャックだけだしなぁ。 とりあえず、旅に出るにあたって護身術など体術をジャックに教えてもらおう。ジャックには仕事が増えて申し訳ないが、理由が理由だ。

  • 悪役令嬢に転生した俺(♂)!   第6話 オーナーは誰?

     その後は国外でも『オールソー』は販路を拡大していき、商品も武器・魔道具から薬草などなんでも扱うようになりました。 『オールソー』のオーナーは一体誰なのか?というのは社交界でも結構話題になるそうです。俺は知らない。だって、平民だし。社交界とは縁がないよ。 そんなので、最近は俺もめっきり店に顔を出すことが減りました。 ほとんど、俺の右腕のジャック(店を再現した魔法使い)に丸投げしちゃってます。 たまにジャックが婚姻の話を持ってくるけど、「私は高いわよ?」って言っておいて。と言ってます。 本当に小切手を持って現れる奴がいるけど、そいつが持ってきた小切手の金額に0を3,4つ加えると、だいたいの男は顔を青くして立ち去ります。 ジャックですが、さすが凄腕魔法使いですね。俺の前世がわかるようで、俺に言い寄ったりはしません。男に言い寄られるのがどんな気分かわかるのでしょう。ついでに俺の元・婚約者の情報も知ってるので余計に俺に同情的です。 ジャックの前だと言葉遣いを気にしなくていいので、楽です。「前世が男で、婚約者が前世の自分の顔って最悪ですね。よく生きてますね。私なら自死すると思います」 何を言うか!俺は前世で碌な人生送ってないんだから今、満喫したっていいじゃないか!自死?命がもったいない。ジャックは入院生活をしたことないから、そういうこと言えるんだよ。と言っても、この世界の医療レベルじゃ前世のような病院は無理だろうけど。 あ、久しぶりにお父様が…

  • 悪役令嬢に転生した俺(♂)!   第5話 働く若人

     商店の見た目は清潔感が大事だよなぁ。 今の技術だと平屋が精いっぱいかな?俺の目が届く範囲もそのくらいか。 内装も清潔感重要。 バックヤードと完全分離。お客様は立ち入り禁止。 入り口もお客様用と業者・関係者用と二つ作る。 など、頭の中で考えてた商店の感じがそのままドーンと俺の土地に再現された。  サイフロ帝国では魔法が使える人は使えるらしく、俺の頭の中のプランをそのまま具現化してくれた。最初は模型で再現してくれたが、俺がOKサインを出すと、俺の土地にドーンと再現されたのだ。 魔法ってすごいな。 その魔法使いは見た目がお年寄りだけど、魔法で見た目を変えているらしく、本当は17才らしい。思いっきり詐欺だと思う。年齢詐称がすぎる。 名前をジャックというらしい。 うん、使える人材だなぁ。よく働く人にはそれだけの報酬を与える。当然のこと。 俺が貯めこんだお金はそこで飛んでいく事になった。家賃は残ってるけど。地味にこの商店の2階とかで生活したい! そう思っていた俺の気持ちを汲んでくれていたんだろうか?商店のバックヤードには2階への階段が…‼それは俺にしか見えないし、他の人はすり抜けるらしい。つまり、俺だけその階段でスネを打つとか、そういう事になるわけだ。 家賃を払わなくてもよくなったので、さらにお金の問題が減った。 商店としては、商品の買い入れが重要になる。 生鮮野菜・鮮魚・肉に加え、生活雑貨がこの店の商品かな? うーん、宣伝とかも必要だなぁ。 俺にひけ目を感じている事だろうジングー王国国王夫妻と宰相に商品の伝手と宣伝を頼もう。そうだなぁ、店の名前は『オールソー』で、いーや。 開店当日、大盛況です。俺一人では客をさばききれないので、急遽ジングー王国カッター公爵家より侍女を数名出張していただきました。  以前俺が勤めていた商店から『うちの店のパクリだ。』とか言われたけど、俺の改革によって売り上げを伸ばしたのにも関わらず、俺の給料に反映させなかった自業自得みたいなもんだと俺は思ってる。 それに、改革はまだ途中だったんだよね。それを完全にしたのがこの店だから関係ないじゃん。 その後、2号店・3号店と増やしていきました。雇用もサイフロ帝国内の人を雇用しているので、皇帝からお咎めとかは何もなし! 

  • 悪役令嬢に転生した俺(♂)!   第4話 念願の国外追放

     さーて、国外追放されたぞー!なんて解放感だろう。 一応?ドレスなんかではなく、町娘のような格好をしております。 路銀は…フフフ、こつこつ貯めていました。侍女達の目をかいくぐり、これが難しかったんだよなぁ。 あ、ドレスも売ったので、そのお金もあります。 ちょっとした店の開店資金にはなるでしょうが、それよりも!今は当面住むところだ! 一応、女性だし?にぎやかな通りに面しているとかの方がいいよね? 広さとか、内装は俺としては特に希望はない。部屋にトイレと風呂があれば…。あとキッチン。 不動産屋で、頼むと簡単に物件があるらしい。「今から、内覧に行きましょうか?」 善は急げって言うからな。さぁ行こう!  そういえば、悪役令嬢は美人だった。うっかり忘れていた。 物件はよかったけどさぁ。只今絶賛不動産屋に押し倒され中。 はぁ、女って面倒だな。「えーっと、正当防衛ということで、貴方の股間を思いっきり蹴ってもよろしいでしょうか?」 と、言うと流石に不動産屋はひいた。大事な息子を失って、不能にはなりたくないからな、わかる~。「とりあえず、この物件で契約しますね。貴方の不躾な行動は不動産屋さんの上司さんに報告しましょうか?その方が世のためですよね?まぁ、女性でありながら一人で不動産物件を内覧した私にも非はあるんですけど」  俺は国外追放をされた、サイフロ帝国で住むところを確保した。 家賃はまぁ、格安と言えるし、しばらくの滞在としてはいいだろう。 家賃を何年分かを差し引いても、結構お金を持ち出すことに成功している。が、物価がこのままとは限らないから俺だって働く必要がある。 後に大商店のトップになる予定の俺としては、どっかの店の売り子だろうか? 家から徒歩圏内にある商店の売り子として働くこととした。 ここ……なんだ?改革し放題じゃないか? ・食料品と生活雑貨の売り場を分けた。 ・同じ商品を同じところに並べた(現在カオス)。 ・棚を作成し、見えるように並べた。 など、俺は現代に近づけた。あ、ついでに買い物かごも設置した。 すると売り上げは4倍に!!俺の給料は?「は?最近いきなり入ってきた女がしゃしゃり出てきて偶然(・・)いろいろやっただけだろう?」 と、俺の給料はそのまま。理不尽…。男尊女卑が根強いお国柄のようです。この店のオーナ

  • 悪役令嬢に転生した俺(♂)!   第3話 四面楚歌というんだろう

     国外追放されつつ、身分は庶民だけどそれは転生前だってそうだし気にしないで、誰も手が出せないくらいの大規模な商家を経営というのはどうだろう?トップは誰も見たことない的な?うん、それで行こう。  さて、ヒロインは~…髪がピンクだろうからわかりやすくていいなぁ。あ、あの子かな?「ちょっと、お聞きしますわ。あの髪の毛の色が…なんとも奇抜…ゴホンっ、目立つ色の彼女はどんな方かしら?この学園で初めて目にしたと思いますわ」 あ~、女言葉はだるい。「あ、サラサ嬢ですか?彼女はエリザベート様とは全く異なり男爵令嬢ですからね」 すごいな、だいたいテンプレだ…。「男爵の私生児で最近まで市井で平民として暮らしていたらしいですわ。エリザベート様が気になさるような方ではないですよ~」 すごい、私生児で最近まで庶民暮らし。そして、男爵家に養女となるってテンプレを網羅してる…。本当にすごいなぁ。 俺はこのサラサ嬢に冤罪をかけられればいいのか。  サラサ嬢がリュート王子と恋仲になって婚約者である悪役令嬢のエリザベート(俺)を断罪すればいいんだな。死罪は避けたい。是非とも国外追放で。 翌日よりサラサ嬢による、冤罪劇場は始まった。「エリザベート様は私の事がお嫌いなんですわ。所詮は男爵令嬢ですもの」「自分を卑下するものではないぞ、サラサ嬢」 ……なんの茶番だろう?俺はよかれと思ってサラサ嬢にもちょっとマナーをしっかりした方がいいって伝えただけなんだが、何故こんなことに?だって王妃を目指すならマナーくらいはマスターしておかないとなぁ?またある日には、サラサ嬢が着実に力をつけてきている証でもある、取り巻きさんが俺を学園の階段から突き落とそうとしました。その階段、2・3段だったので特に大きなケガはなかったです。この事をリュート王子に言うと、「わざわざ私に報告するようなことでもあるまい」 と、一蹴された。いやぁ、まともな階段だったら流血騒ぎかもしれないんだけどなぁ? この頃には王子にはサラサ嬢がくっついていたので、「被害妄想ではないのではないでしょうか?2・3段だったのでしょう?慌てていたせいかもしれないのを他の人のせいにしているのですか?」 押されたという俺の主張は無視なんですね。「サラサの言う通りだな。この程度の事で私の手を煩わせないでほしいものだよ」 

  • 悪役令嬢に転生した俺(♂)!   第2話 俺の婚約者は王子様(前世の俺似)。

     多分、今現在婚約者がいるはずだ。誰? 悪役令嬢の婚約者……王子か? BINGO!「お嬢様、王城より王太子様のお召しですよ。今日は月に一度のお茶会ですものね。私どももお嬢様を張り切って磨き上げる所存です!」 …そんなに張り切らなくても。 侍女達に磨かれた俺は馬車に揺られて王城へと行くことになった。 こうなったら仕方ない。婚約者の顔を拝んでやろうじゃないか! 慣れないな……馬車は尻が痛い。ドレスは相当生地があるのにこんなに尻に負担が……。 座るところにスプリングをつけるとか、工夫しないの? 外部ばかり煌びやかにしたって、尻は痛いんだよ! そんなこと(尻と馬車)を思いながら、王城に到着した。 馬車パスのようだ。馬車に家紋描いてあるからね。カッター公爵家の。 門をくぐってからかなりの距離を進んだ。 まだなの? ようやくたどり着いて、専属の侍女マリーにエスコートされるように馬車から降り、そこからは王子の従者(?)マックに案内された。 王子の名前、知らないんだけど?「よく来たな、エリザベート=カッター公爵令嬢」「ごきげんよう」 と、俺は本で読んだから合ってるのか?と思わしきカーテシーで挨拶をした。「まぁ、そこに座れ」 とりあえず、王子の名前がわからないのが致命的だな。 俺は顔を上げて驚いた。 そこにいたのは、金髪碧眼だけど前世の俺。本当に瓜二つ。 思わず、「神宮寺琉(じんぐうじりゅう)翔(と)……」と呟いてしまった。「あっ、これは……」 王子とのお茶会で他の男の名前を口に出すなど不敬だろう。「問題ないんじゃないか?別に私の名前を口に出しただけだろう?家名が先だったのは東方っぽくしてみたのか?確かに俺の名前はリュート・ジングーだからな」 安易だ。という事は、この王国はジングー王国という事か。 ……それにしても、自分の婚約者が自分に激似の男ってスゴイ嫌なんですけど?今はまだしもこの後ヒロインが登場して断罪されるんだよね?結婚だけは絶対にしたくない!国外追放でもいずれは結婚とか言われるんだろうし。このまま結婚は絶対に嫌だ。俺はどうすればいいんだろう? 

  • 悪役令嬢に転生した俺(♂)!   第1話 俺が悪役令嬢??

    なぜこんなことになったんだ?あ、えーと、なんでこんなことになったのかしら?確か物凄く苦しかった。頭は割れるかと思ったし、心臓をつかみ取りたいくらいだった。あと、酸素~!!って叫びたかったけど、叫ぶ余裕もナシ。呼吸が苦しかったからな。長い入院生活の終わりがそれだったからなぁ。「お嬢様、神妙な顔で鏡などを見てどうしたのですか?」 使用人(きっとそうなんだろう)に笑われた……。 どうもこうも、俺は神宮寺琉(じんぐうじりゅう)翔(と)という名前の男子高校生だったはずなんだけど?鏡に映る姿は何故?縦ロール(いつもどうやって縦ロール作ってるのか不思議だった)で金髪緑眼の女。「今日も学園ですよね?いつも『制服は貧乏くさい』と言ってらっしゃいますが、お召しになります?」「……ああ、お願いするわ」 言葉遣いとかあってるんだよな? 学園ってことはこの女も16・17才くらいか?俺のリサーチによると(入院生活が暇だったからいろいろ読んだ)、金髪で縦ロールの女はだいたい性格が傲慢。悪女に多い。まあヒロインとかじゃないな。うーん、それに転生したのか…。微妙に嫌だなぁ。性別も嫌なんだけど。「お嬢様、ではお着替えをしますね」 使用人が俺の服を脱がしていく。女の裸……。見るのも見られるのも恥ずかしい。二重苦…。「お嬢様、またお胸が成長なさった?私からすると羨ましい限りです」 そんな情報をくれないでくれ!胸か……自分のだし後で確認のために揉んでみよう。「やっぱり制服もお似合いですよ!」 俺は私服が面倒だし、制服万歳だと思う。入院中もずっと同じ服だったし。 俺は学園へ行った。ハッキリ言って教室がどこなのかわからない。不審者だと思われても構わないから彷徨おうか?「エリザベート=カッター公爵令嬢!何をしているのですか?」 俺は彷徨い続けた。「エリザベート公爵令嬢!」 ん?俺のことか?そうか、俺はエリザベート=カッター公爵令嬢なんだな。「ごきげんよう、学園の庭もなかなか見事なものだと見ていたのですよ?それが何か?」 誰?「貴女は長期の休み前にこの庭について『しみったれた庭』というように評していたのに、どうしたのですか?」 っていうか誰?丁度始業ベルが鳴り響いてますし、この人について教室へ行こう。「エリザベート嬢、本当にどうしたのですか?貴女の教室は3階の

Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status