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俺の下僕、爆誕!

Author: をち。
last update Last Updated: 2025-05-02 16:20:14
「そうと決まればさっさとやるぞ!」

襟首をつかんでアスナを立たせる。

「……で、俺はどうしたらいい?」

神妙な顔で俺に問うアスナに、胸を張って請け負ってやる。

「お前はそこに立って俺の言う通りに繰り返せ。

……正直に言えば、俺も従魔契約なんぞやったことがない。授業で習うのもこれからだ。

だから、ぶっつけ本番という形になるが……大丈夫、お前も知っての通り、異世界ものに関しては前世でしっかり履修済みだ。同じようにやればいける!はずだ!任せておけ!

まあ、最悪お前が消えるだけだ。問題ない!」

とたんアスナが吠えた。

「問題しかないよね?!俺、消えたくないんだって!せっかくアスカとまた会えたんだぜ?!どんだけ苦労したと思ってんだ?!」

「しょうがねえだろ!前世のお前の行いのせいなんだ、我慢しろ!俺の傍に居させてやるだけありがたいと思え、このストーカー野郎が!!」

ビシっと指を突き付けてやれば、分かりやすくショックを受けるアスナ。

「ひ、酷え!俺、一応お前の親友だよな?そりゃ……ちょっとばかり行き過ぎちゃったけど……」

「ほら、自覚あるんだろ?ちょっとばかり、じゃねえよな?行き過ぎもいいところだぜ。

親友じゃねえ、親友だった、だ。高校では酷いもんだった。俺を支配しようとしやがったくせに!

ちょっと消えるリスクがあるくらいいいだろうが。チャンスをやるだけ感謝しろ!」

とにかく、これしか道はないのだ。やるしかない。

それが嫌なら……消す。それが道理だからだ。

本来ならばこの世界にあるべきではないのだ、アスナは。

俺の覚悟が伝わったのかアスナは身体を固くし、ごくりと唾をのみ込んだ。

「……信じてるからな。消すなよ?頼むから……お前と一緒に居させてくれ」

「分かってる。俺を誰だと思っている?アスカ・ゴールドウィンだぞ?任せておけといったろ?」

俺はアスナの額にそっと手を触れた。

「目を閉じてここに集中しろ。そして俺の言葉をお前のものとして繰り返せ。いいか?」

「分かった。……いいよ」

すう、と息を吸うと身体の中の魔力を一気に練り上げる。

そうだ、もっとだ。もっと濃く。厚く。

その魔力を言葉に載せ、俺とアスナの縁を繋ぐ。

「我アスカ・ゴールドウィンが命ずる。

我が魔力を対価に、阿須那レオンは我が従魔となり、その魂も命運も全て我がものとなる」

「……アスカの魔力を対価に、俺はアスカの従魔
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