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第 44 話

Author: スイカのキノコ
「こんなことはお前の判断で進めてくれ。いちいち報告はいらない。金が必要なら、直接江川に連絡してくれ」尚吾は無駄のない口調で言った。「彼女の安全さえ守ってくれればそれでいい」

「はい」詩音は一言そう返し、電話を切った。そのまま視線を横に移すと、座席にもたれ、ブレスレットを指で弄んでいる玲奈がいた。表情には複雑なものが浮かんでいる。

玲奈は唇をわずかに持ち上げて笑みを浮かべ、期待の色を含んだ目で訊いた。「彼、何て言ってた?」

「了承してくれたわ。あとは私が直接東興と話を進めればいいって」

寛人と尚吾は旧知の間柄だ。これくらいの便宜は当然通る。

……けれど、電話越しの尚吾の声色には、どこか他人行儀と
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