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第22話

Author: 冷凍梨
嫌な思いを?

私は困惑の目をして、八雲のほうを向いた。そして置き場のない借用証書を見て、しばらくの間、何を言えばいいか分からなかった。

「紀戸家の奥さん」という身分に何の関係があるの?

この間、私たちは2人とも何も言わずにいた。広い部屋の中で、時計の針の音だけが響いていた。

沈黙がしばらく続いていたら、私は自ら口を開いた。

「借金がちょっと多すぎるから、分割払いで返すしかないけど、紀戸先生はどうかご了承を」

男の固い顔にようやく薄い感情が浮かんだ。波も立たない瞳で私の手にある証書に視線を落として、次の瞬間、ゆるゆると手を伸ばして、やっと証書を受け取ってくれた。

それからすぐに、八雲は証書から目を外して、手に持っている証書を揺らしながら聞いた。「説明は?」

私は父の治療費用と妹の学費のことを八雲に告げた。説明し終わったら、また補足した。「前は何も知らなかったけど、紀戸先生はご心配なく、この借金は1円も欠かさず全部返すから」

「分割払いだけど」と、私は心の中で、少し弱気に言った。

「それで?」

八雲が問い詰めてきた。

少しの間考えていたら、私は自分の考えを素直に言った。

「契約期限が切れても、変わらず月に1回返すから」

つまり、夫婦の関係を終えても、この借用証書はずっと有効だということだ。水辺家の娘として、約束したことは決して破ることはない。

「水辺優月」

八雲は急に声のトーンを上げて、私の名前を呼んだ。そして軽蔑の口調で言った。「それでえらいって褒められたいと思う?」

私が何か返そうとしているところで、目覚まし時計のアラームに中断させられた。

気づいたら、もう月曜日の朝だ。

今日は私が麻酔科に顔を出しに行く日だ。

これ以上八雲と言い合わたくないし、私は目覚まし時計のほうに指を差した。

「ごめん。出勤の時間だ」

八雲はそれを聞いて、ギュッと眉を上げてから、振り向いて寝室に入った。

1時間後、私はちゃんと2号診療棟の5階の麻酔科に現れた。

予定時間より半時間も早く着いたが、診療科の人はすでにたくさん集まっていた。看護師長の高橋愛茉(たかはし えま)先生は私の名前を聞いてから、みんなの視線を引き寄せて、一緒に私を囲んだ。そして微笑みながら、言った。「この方が青葉先生が異例として採用したインターン生よ。かなりの美人なのね!」

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