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第8話

Author: キャットフード
「夕奈、一緒に帰ろう?」

涼介がベッドの傍らに膝をつき、私の冷え切った指先を強く握りしめた。

彼は聞き苦しいほどしゃがれた声で泣きじゃくり、真っ白なシーツの上に涙をポタポタとこぼしていた。

「夏希はもうクビにした。会社の株も全部、お前に譲る。

世界で一番の癌の専門医も探したんだ。海外で治療すれば、絶対よくなる!」

涼介は支離滅裂な言葉で、これですべてを取り戻せると信じている切り札を次々と口にした。

私は彼にされるがままに手を握られ、拒もうとはしなかった。

それどころか、呼吸一つ乱れなかった。

窓の外から潮風が吹き込み、私の細く枯れ果てた髪がゆらゆらと揺れた。

「涼介」

私はようやく口を開いた。声は小さかった。

「夕日が見えないから、どいてくれない?」

涼介の体がびくりと硬直した。

彼は顔を上げ、信じられないという目で私を凝視した。

かつて涼介を映していたはずの私の瞳は、今はただ虚ろな荒野のように静まり返っていた。

彼が予想していたような激しい罵倒を浴びせることも、わめき散らす気力さえ、私にはなかった。

あるのは、ただ静かな諦めだけだった。

その静寂は、
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