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この想いをゴーカートのスピードにリンクさせて――8

مؤلف: 相沢蒼依
last update تاريخ النشر: 2026-06-17 12:40:39

☆☆☆

安全のために、きちんとヘルメットを装着後に、ゴーカートにそれぞれ乗り込む。前を先導する佐々木の後ろには榊を筆頭に、和臣、橋本、宮本の順番で縦に並んで走行することになった。

出発する前に「ゆっくり走りますので、焦らずついてきてくださいね」と言われていたこともあり、ついていくのに支障のないスピードで佐々木が走行するお蔭で、榊が安心して運転していることを、コーナーでのハンドリングやブレーキ操作で橋本は感じとった。

(和臣くんも当然問題なしだが、一番の問題児はいったい、どんな運転になっているやら――)

大きなコーナーのあとはちょっとした直線コースだったので、橋本は素早く振り返り、宮本の様子をチェックしてみる。

「……アイツ、なにやってんだ?」

思わず呟いてしまうような運転を、宮本が背後でしていた。橋本の後ろをピッタリついていると思っていたのに、実際はかなり後方を走行しているだけじゃなく、微妙な蛇行運転を繰り出している状態。

遅い理由はそのせいなのが丸わかりだったが、どうしてわざわざ小刻みにハンドルを切っているのか、そこのところの理由がさっぱりわからなかった。

(もしや、タイ
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  • BL小説短編集   記念日調律

    *** 照明を少しだけ落とした寝室。夜風がレースのカーテンを揺らし、そこに混じる静かな音楽が、まるでふたりのために流れているようだった。 ベッドに腰かけると、陽が少し照れたように笑って俺の隣に腰を下ろす。「……あの、“記念日調律”って、まだ有効ですか?」 「うん。というか……その言葉、ずっと頭から離れなかった」 「それはよかった」 肩を竦めながら嬉しそうに笑う陽に、僕は軽い体当たりを仕掛ける。「からかってるだろう」 言いながらちょっとだけぶつかったら、お返しと言わんばかりに同じくらいの体当たりをされる。「ちょっとだけ。でも……司の全部、ちゃんと整えてあげたいなって思ってるのは、本当ですよ」 そう言って、陽が俺のシャツのボタンに指をかける。柔らかな動きで、ひとつ、またひとつとボタンが外された。指先が時折、肌に触れるたびに、そこにじんわりと熱が宿る。「……一年、早かったね」 「ですね。でも、ちゃんと“夫夫”になった実感ありますよ。司の寝ぐせとか、冷蔵庫の中の並べ方のクセとか……」 「そこ?」 「それも全部、かわいいと思ってるから、安心してください」 最後のボタンが外され、シャツを脱がせた陽が、俺の胸元に顔を寄せた。すんと小さく息を吸い込む音がする。「今日の司、ちょっと緊張してる匂いします」 「しょうがないだろう?」 「ふふ、でもそれが好きです」 からかうような口ぶりと裏腹に、彼の手のひらはそっと、まるで壊れ物に触れるように丁寧に僕の肌を撫でていく。 肩、鎖骨、胸。ふれて、聴いて、まるで“音を探している”ような動きだった。 僕の手も自然と彼の腰に伸びる。シャツ越しに感じる陽のぬくもりが、すぐに癖になる。「陽……今日は、ちゃんと君に預ける」 「うん。じゃあ、俺もちゃんと受け取りますね」 そのままゆっくりと、ふたりはシーツの上に身を横たえる。キスはいつもより深く、互いの呼吸を奪うように熱を孕んでいく。舌が触れ合い、唾液が混じり合い、鼓動のリズムがゆっくりと揃っていく。 陽の手が僕の下腹部を撫でたとき、思わず小さく息が漏れた。「……ね、ちゃんと“響いて”ますね」 「音楽じゃないって言ったの、どっちだっただろうか…」 「“奏でる”って意味では、同じですよ」 熱を交えるたびに陽の表情が柔らかく、優しく、そして時折、少し意地

  • BL小説短編集   この音が、続いていく限り

    *** 朝、カーテン越しに差し込む光で目を覚ますと、隣のベッドは空だった。 シーツに残るぬくもりを手でなぞる。もう“彼”の存在は、当たり前の風景の一部になっている。けれど今日は、その当たり前が少しだけ特別だ。 ――結婚して、ちょうど一年。指輪の感触を確かめるように左手を握る。金属の冷たさの奥に、変わらない想いが詰まっていた。*** リビングから、カップを置く控えめな音が聴こえる。音だけで陽の所作だとわかるのは、職業柄だけじゃない。きっと、“夫夫”だからだ。 のそのそとキッチンに入ると、陽が僕の好きな浅煎りのコーヒーを淹れていた。「おはようございます、旦那様」 「なんかそれ、照れる」 「今日は特別なので」 からかうように笑う陽の横顔を見ていると、思わず唇が緩む。「ねぇ、覚えてた? 一年前の今日、結婚式の日」 「もちろん。君が指輪をはめる時、ちょっと震えてた」 「……やっぱバレてたか」 「でも君、あの時も今も、ちゃんと僕の音を調律してくれる」 「じゃあ今日は、“記念日調律”してあげましょうか」 「それ、どういう意味?」 「意味は、夜のお楽しみってことで」 コーヒーを啜る手が止まった。陽はあっさりした顔で言うけど、地味に破壊力があること、わかっているのだろうか。*** 昼過ぎ、スタジオにふたりで入る。特別な予定は入れていない。演奏旅行でもディナーでもなく、ただ“いつもの日常”をふたりで過ごす、それが今の僕たちには心地いい。 陽がアップライトピアノの蓋を開け、内部を覗き込む。僕はその隣で、ぼんやりと譜面を眺めながら指を鳴らす。「ねぇ、陽」 「ん?」 「僕は、君に出逢って音が変わったって、よく言われるけど……それってきっと音だけじゃなくて、生き方ごと変えてもらったんだと思う」 「なにその急な告白」 「一年目の記念日だし」 「ずるいなあ……こっちまで言いたくなるじゃないですか」 「言ってみてくれ」 「……司がそばにいる限り、俺の調律もきっと狂わない。これからも毎日一音ずつ、大事に響かせていきます」 言葉の代わりに、静かに指を鍵盤に置く。軽やかな、でもどこか温かい和音。まるで、いまのふたりのような音だった。*** 夜。食後に並んで座るソファの上。テレビはつけていない。ただ静かなBGMが流れている。「ねえ司」 「

  • BL小説短編集   奏でるように、誓いを

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  • BL小説短編集   君を離さない音

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  • BL小説短編集   朝の鍵盤に触れるように

    *** 目を覚ますと、すぐ隣に陽の寝顔があった。 まだ眠っている。寝癖もついたまま少しだけ唇を開けて、穏やかな寝息を立てていた。 昨夜は……甘かった。柔らかくて、熱くて、でも決して急かされることはなくて。彼の中に自分が包まれていくたび、ひとつずつ“確かさ”が積み重なっていく。 シーツの中に伸ばした手が、まだあたたかい。指先に触れる肌の感触が、余韻のように残っている。「……陽」 呼びかける声は、喉の奥で震えた。ふたりで暮らしを始めて、何度目の朝だろう。昨夜とは違う静けさの中で、僕の胸はゆっくりと満たされていく。 寝返りを打つように、陽が少しだけ体をこちらに向けた。頬にかかる髪をそっと指で払ってやる。 ――ピアノの鍵盤に触れるときと、同じくらい慎重に。壊さないように、大切に。「……もう恋人ってだけじゃ足りないくらい、君が近いな」 そう思ったとき、陽のまぶたがゆっくりと開いた。「……ん、おはようございます。司……」 寝起きの声は、かすれていて甘い。たまらず、僕は彼の額にそっと口づけた。そうしてから、もう一度瞳をのぞきこむ。「昨夜のこと、夢じゃない?」 「……夢じゃないですよ。ちゃんと……ここにいますから」 陽は微笑むと僕の首に手をまわし、そのまま唇を重ねた。朝のキスは、夜よりもゆっくりで、でも芯からあたたかい。「……起きるの、もったいないですね」 「ほんとだ。もう一度、君に触れたいって思ってる」 「お返しですか? じゃあ……やさしくしてくださいね、司」 陽の瞳が、ほんの少しだけ潤んで、でもどこか挑むように笑っていた。その顔が、愛しくてたまらなかった。 ゆっくりと彼の体を抱き寄せる。シーツが滑る音と重なる鼓動。言葉よりも先に、肌が熱を求めていた。「やっぱり、朝の陽は特別だな。いちばん綺麗だ」 「そういうの、ズルいですよ」 抗議の言葉とともに、くすぐったそうに笑う声。たったそれだけで、また心がほどけてしまう。 朝の鍵盤に触れるように優しく、慎重に――けれど確かに、僕たちはふたりでまたひとつ“愛”を奏でていた。*** 食卓に並ぶトーストとコーヒー。新しい同居生活のはじまりに、ぎこちない笑いと、「砂糖どこだっけ?」なんてやりとりもあったけど……。 この朝が、これからのすべてになる。 音楽よりも確かで、生活よりもあたたかい、

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