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第20話 甘い毒のファーストコンタクト

Auteur: 天咲琴乃
last update Dernière mise à jour: 2026-02-11 21:53:10

​都心の喧騒を眼下に見下ろす、会員制のバー・ラウンジ。

 重厚なジャズが流れるその空間は、成功者という皮を被った「バグ」たちが、甘い毒を撒き散らすには絶好の舞台だった。

 入り口から離れた影の薄いカウンター席。橘ことねは、氷が溶けて薄まったカクテルグラスを指先で弄びながら、獲物を観察していた。

​ 視線の先には、40歳の管理職・白凪(しらなぎ)まさとと、22歳の若手社員・黒山(くろやま)たける。そして、二人の間に挟まれて所在なげに微笑む、20歳の大学生・まなみ。

 一見すれば、歳の離れた成功者たちが若者を導いている、微笑ましい光景に見えるかもしれない。だが、ことねの瞳に映る「LINK」の波形は、ヘドロのようにどす黒く、まなみの純粋な魂をじわじわと侵食していた。

​「まなみちゃん、本当によく頑張っているね。君の感性は、今の若い世代の中では群を抜いているよ」

 白凪が、ワイングラスの縁を指でなぞりながら囁く。

 その声は慈愛に満ちているが、ことねの耳には、獲物を追い込む網の擦れる音にしか聞こえない。

「……ありがとうございます。白凪さんにそう言っていただけると、自分の選択が間違ってい
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