Letting You Go Was the Hardest Thing

Letting You Go Was the Hardest Thing

last updateLast Updated : 2022-09-13
By:  The Red DelilahOngoing
Language: English
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Synopsis

It was hard for Charlotte to let go of her best friend, Dalton, the boy she fell in love with since she was nine years old, to make way for her sister, Caroline, who happens to be in love with him too. It was hard for her but in order to make someone happy, even if it meant sacrificing her own, she was willing to let go. It all happened around her senior year, where she let go of the only thing that mattered to her and after graduation, she moved away with no intention of going back. Four years later, on her college graduation day, her parents rather demanded her to come home with a reason that shocked her senseless.

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Chapter 1

Prologue

あの人は、裁判官という立場を利用して、私の腎臓を「彼女」に与える判決を勝手に下した。

——尿毒症に苦しむ、かつての恋人・東雲紗良(しののめさら)。

「お願い……私はもう腎不全で、一つでも摘出されたら命はないの……!」

そう訴えた私に、夫は目を歪め、怒鳴り返した。

「紗良がここまで重症なのに、まだ嫉妬してるのか!?お前には心ってもんがないのか!」

そして、私の意思とは裏腹に、手術は強行された。

病院の薄暗い手術室で、私の腎臓は無造作に「移植用」として取り出された。

その数日後——腎不全は急速に悪化し、私は誰にも気づかれぬまま、人気のない病院の片隅で、ひっそりと息を引き取った。

……

私が冷たい手術台の上に横たわり、絶望の中で死を待っていたその時——霧島律真(きりしまりつま)は、東雲紗良の病室の前で彼女の無事を祈っていた。

無数の管が全身に繋がれ、機械の無機質な音がまるで死神の足音のように迫ってくる。「……ああ、そろそろだ」

心電図が一本の線になりかけたその瞬間、向こうの手術室では紗良のオペ成功の知らせが響き、手術中ランプが静かに消え、私はそのまま二度と目を開けることはなかった。

——それほど未練が強かったのか。

私の魂は肉体を離れ、そのまま律真のそばへと彷徨っていた。

彼は奇跡的に一命を取り留めた紗良を腕に抱きしめ、目を赤くしながら震えていた。その姿を見た私は、心の奥底まで沈み込んでいった。

問いかけたい。

私と紗良が同時に手術室に運ばれたあの瞬間、律真は一度でも、私の生死を案じたのだろうか?

いいや、そんなはずがない。

彼は、紗良の命を救うために、私を訴え、法廷で腎臓の提供を強要したのだから。そして、彼自身が雇った一流の弁護士の下、私の訴えはあっさり退けられた。

あの手術台で腎臓を摘出される時、私は背中まで汗で濡らしながら、痛みに呻きつつ彼に電話をかけた。

懇願するように言った。

「律真……お願い、もう許して……腎臓を取らないで……本当に、もう耐えられないの……死んじゃう……」

あれほどまでに彼の前で頭を下げたことはなかった。私が間違っていたと認めさえすれば、五年の愛がほんの少しでも彼の心を動かすのではと、そう信じた。

だが——

返ってきたのは冷たい嘲笑だった。

「謝るのは当然だろ。紗良を救えたことを幸運だと思え。おまえが腎臓を渡したくらいで、今までの罪が消えるとでも思ってるのか?

この五年間、紗良をどれだけ傷つけてきたか……全部、あとで清算させてもらうからな。

死にたい?勝手にすればいい。でもな、紗良に謝ってからにしろ」

私は否定したかった。私がやったことじゃないって叫びたかった。でも、もう言葉にする力も残っていなかった。

それでも彼は、吐き捨てるように言った。

「おまえみたいな女、心底気持ち悪いんだよ」

電話が切れた瞬間、私の心も音を立てて崩れた。五年間、律真に注いだ想いも、灰のように消え去っていった。

彼が「気持ち悪い」と言ったこの私に、かつては「一生愛する」と誓い、「君は特別だ」と囁いた。

なのに——紗良が現れた瞬間、私という存在は見事に忘れ去られた。

律真は紗良の頬に優しく手を添え、まるで壊れ物に触れるかのように愛おしそうに見つめていた。

「よかった、生きてて、本当に……よかった……」

目には血のような充血、声はかすれ、それが彼の眠らぬ夜を物語っていた。

でも——その間、私がすでに死んでいたことは、彼の頭をかすめただろうか?

ベッドに横たわる紗良は、無理やり微笑みを作りながら言った。

「律真さん……ごめんね、心配かけて……あの、竹音さん……まだ私のこと、怒ってるかな……謝りにいかなきゃ……」

今にも起き上がろうとする紗良。明らかに芝居じみた動きだが、律真は気づかない。いや、気づこうとしない。

案の定、律真はそっと紗良をベッドに寝かせ、その頭を優しく撫でた。甘やかすような仕草だった。

「無理するな、紗良。謝るべきなのは竹音のほうだよ。君は何も悪くない。君は優しすぎるんだよ」

その様子を見た看護師が、思わず微笑みながら言った。

「本当にお似合いのご夫婦ですね。手術の間、ずっとご主人、廊下で待ってたんですよ。ひとときも離れずに」

紗良は頬を染め、律真は表情を曇らせるも、誤解を解く気配すら見せなかった。

だが、次に続いた看護師の言葉に、場の空気は一変する。

「でもね、隣の手術室の人は、入ってきた時からずっとひとりだったんですよ。亡くなった後も、誰一人来なかった。可哀想にねぇ……」

律真の顔に、わずかな陰りが差す。私は淡い期待を抱いた。もしかして——律真が気づいてくれたら?それが私だとわかったなら?せめて最後のひととき、遺体を引き取ってくれるかもしれないと……

けれど、彼の口から出たのは、ただの溜息だった。

「確かに、可哀想だな」

心が冷え切っていくのがわかった。そうよね。今の彼の世界には、紗良しか存在しない。

そのまま律真は、看護師と一緒に紗良を病室へと運んでいった。

途中、私の遺体が置かれた手術室の前を通りかかった時、律真の足が一瞬止まる。中を一瞥し、何かを感じ取ったような顔をする。そこに横たわる私は、足先だけが扉の外に見えていた。

もし、彼が少しだけ目を凝らしてくれたら、足首にある傷跡が目に入ったかもしれない。

——あの傷は、かつて彼を助けようとして私が負ったものだったのに。

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