The Rise of the Rejected Luna

The Rise of the Rejected Luna

last updateLast Updated : 2026-06-25
By:  Rachael MossOngoing
Language: English
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Arabella Woods, the hidden heir of the Silver Moon Wolf Clan, renounced all her status identities for her mate and husband, Alpha Derek Stormvale. However, on her birthday night, she caught Derek cheating on her with her closest friend Jessica, and was publicly abandoned by him. As she fled in panic, she was tracked down and hunted by roving werewolves. heartbroken and hunted, she was rescued by Edwin Wayne, the acting Alpha of the Silver Moon clan, and her father's adopted child. This became the turning point in her desperate plight, setting in motion an entirely unknown new fate. He is the only person capable of uncovering all the secrets of her past, and is also her fated second-chance mate. Yet as she struggles to rebuild her life, Arabella is betrayed, framed, and wrongfully accused, and only then does she realize that being abandoned by her husband and his wolf pack marked the start of a large-scale conspiracy. Jessica, in her quest to seize power, is eliminating all those who stand in her way, and Beta Hayden, a close confidant of Edwin, hides a dangerous obsession capable of tearing the entire wolf pack apart. This hidden undercurrent has long been surging quietly beneath the silver moon. They also come to realize that buried deep within Arabella is a dormant power tied to the legacy of Silver Moon itself, a power strong enough to unite all the werewolf clan or destroy them entirely. As war threatens to start between packs and betrayal closes in from all sides, Arabella must decide who she truly is: is she the broken girl rejected by her mate… or will she become the Luna destined to rule them all? Because this time, she’s done running...

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Chapter 1

PROLOGUE

前撮り当日、カメラマンにふと言われた。「笑うと、お姉さんによく似てますね」

そのひと言を聞いた近藤拓也(こんどう たくや)は、すぐに私の姉、芳賀可奈(はが かな)にもウェディングドレスを勧めた。

せっかくだから、記念に何枚か撮ってもらおう、と。

写真を選ぶ段になると、家族そろって可奈の写った一枚に見入り、口々に褒めちぎった。

「可奈は生まれつき、ドレスが映えるプロポーションなのよね」と母が言った。

「花嫁のお前より、よほど華があるじゃないか」と父も言った。

拓也は画面から目を離さず、いつまでも眺めていた。指先が止まったのは、可奈が振り返った瞬間を捉えた一枚だった。

「これ、披露宴の受付に飾ろう。よく撮れてる」

私は尋ねた。じゃあ、私の写真はどこに飾るの、と。

そこで初めて、彼は私の存在を思い出したような顔をした。

「お前と可奈は顔立ちが似てるから、招待客だって見分けはつかないさ。それに、可奈は結婚する予定もないんだ。一度くらいドレスを着る機会を作ってやるのも悪くないだろう」

思わず、笑いがこぼれた。

物心ついたときから、いつだってそうだった。可奈は苦労してきたのだから、私が譲る。可奈が欲しがれば、私が差し出す。可奈の持たないものを、私が持ってはいけない。

自分の結婚式さえ、可奈の夢を叶えるための舞台になってしまうのか。

アルバムの中から、拓也とふたりだけで写った、たった1枚の写真を、そっと抜き取った。

写っている私は、彼の隣で、精一杯の笑みを浮かべている。

けれど今こうして見返すと、まるで見知らぬ誰かのように見えた。

春が私のもとへ来なかったわけではない。ただ私はずっと、誰かの影の中に立ち、そこで春を待ち続けていただけだったのだ。

今度こそ、もう待つのはやめよう。

……

私、芳賀祐那(はが ゆうな)が拓也とふたりきりで写ったあの写真をスタジオの受付のシュレッダーに押し込んだとき、拓也は俯いて可奈のショールを直していた。

物音に気づいた拓也が顔を上げ、こちらをちらりと見た。声はどこまでも素っ気ない。

「祐那、たかが写真1枚だろう。人前でみっともない真似をするな」

ソファに腰掛けた可奈は、申し訳なさそうな顔をした。「祐那、怒ってるんじゃない?受付の写真は、やっぱり祐那のにしましょうよ。私は気にしないから」

母がすぐさま可奈の手を握り、私を睨みつけた。「可奈は生まれつき心臓が弱いのよ。せっかく喜んでるのに、あなたはわざわざ不機嫌な顔を見せつけなきゃ気が済まないの?」

拓也は会計伝票をプランナーに差し出した。

「受付の写真は可奈のに決めよう。祐那の分はデジタルサイネージ用にあと2枚選んでおけば、これで納得するだろう」

私はシュレッダーの中で細い紙片になっていく写真を見つめたまま、何も言わなかった。

撮影スタジオを出ると、拓也は私たちを式場の試食会へ連れて行った。

個室には深い赤のテーブルクロスが敷かれ、メニューは私の手元にも置かれていたが、拓也は一度もめくらせてくれなかった。

「シーフードと辛い料理は全部下げてくれ。可奈は心臓が弱くて刺激物に耐えられないんだ。滋養のある料理を多めに出してほしい」

プランナーが一瞬戸惑い、私に目を向けた。「では、花嫁様のほうは……?」

ようやく拓也がこちらを見た。その目には、いつもの苛立ちが浮かんでいた。「祐那は好き嫌いなんかない。昔から聞き分けがいいんだ。俺の言った通りにしてくれ」

可奈が小さく咳をした。「拓也、祐那は本当は辛いものが好きなのよ。今日は祐那のための試食会なんだから、私のためにそこまで変えなくてもいいのに」

拓也は彼女にお茶を注ぎながら、声を落とした。「お前が気を遣うことじゃない。あいつはよく食べるから、何を食べたって同じさ。それより、お茶を飲んで」

最初に運ばれてきたのは、すっぽん仕立ての椀物だった。蓋が開いた瞬間、独特の濃い香りがふわりと立ちのぼり、鼻を突いた。

胃がぎゅっと締め付けられ、思わず指でテーブルの縁を掴んだ。

拓也は、私がすっぽんの匂いをどうしても受け付けないことを知っているはずだった。

大学時代、夏バテで寝込んだ私を心配して、彼がすっぽん雑炊を買ってきてくれたことがあった。私は一口食べただけで気分が悪くなり、立っていられないほど吐き続けた。彼は私を抱きかかえて病院へ運びながら、医者にこう言ったのだ。

「彼女がすっぽんを受け付けないってこと、ちゃんと覚えておきます。もう二度と食べさせません」

私は口を押さえて洗面所に駆け込み、便器に縋り付いて涙を流しながら吐いた。喉の奥まで苦味でいっぱいだった。

入り口から足音が近づいてきた。

拓也がドア枠にもたれかかり、疲れたような声で言った。

「祐那、可奈がせっかく食欲が出てきたっていうのに、お前は食卓であんな食欲を失せさせるような真似をしなきゃ気が済まないのか。受付の写真を可奈のに替えたことへの当てつけにしても、そんな下手な芝居をするな。もうすぐ結婚するんだから、分別を持てよ」

私は口元を拭い、掠れた声で言った。

「……拓也、この食事はあなたたちで食べといて。結婚式も可奈に譲る。この結婚、やめにするわ」

拓也は一瞬呆気に取られ、それからふっと笑った。

「結婚を取引材料にするのか?祐那、そんな手が通じると思ってるのか」

廊下の向こうから可奈の声が届いた。「私、来ないほうがよかったのかしら。祐那、本気で怒ってるみたい」

拓也は背を向けて歩き出しながら、それだけ言い残した。「ひとりで頭を冷やしとけ。あとで俺に機嫌を取らせるなよ」

私は個室に戻らず、ひとりでタクシーに乗って店を後にした。

新居に戻ると、部屋のあちこちに結婚祝いのものが残っていた。

窓辺には贈り物の胡蝶蘭が並び、ベッドサイドには、私が自分で軸を削って仕立てた一本の絵筆が置かれていた。拓也が初めて画材店に付き合ってくれた日に、筆の材料を買ってくれたものだった。

その筆を握りしめ、私は先生に電話をかけた。「先生、決めました。一週間後に安川市へ行きます。アトリエの枠、まだ空いていますか」

電話の向こうでほんの少し沈黙が落ちた。「祐那、本当によく考えたのか?」

私は胡蝶蘭を見つめながら、低い声で答えた。「よく考えました」

ドアの鍵が鳴り、拓也が入ってきた。手にはホテルの持ち帰り箱を提げている。

箱をテーブルに置きながら、拓也の視線が私の手の中の絵筆に落ちた。

「可奈が、お前今日何も食べてないって言うから、残りを包んでもらってきた。あまり意固地になるなよ」

私は絵筆を引き出しに戻した。その時、彼のスマホが震えた。

画面が光り、可奈からのメッセージが届いていた。

【拓也、あの受付の写真にひと言添えたいの。「あなたの花嫁」って書いてもいいかしら?】

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