「そういえば、四月から折笠准教授の所に助手が入るそうですよ」
折笠の名前が飛び出して、飲んでいた茶を吹きそうになった。
「そう、なんだ。理研関係の人かな」
折笠も元は理研の研究員だ。古巣からの引き抜きなら有り得る。
実際、理玖も半分引き抜かれたようなものだ。
「それが、よくわからない個人の研究所からの引き抜きだそうです。出自もいまいちなんですけど、良くない噂があって」
適度にシュレッダーを掛けながら、晴翔が声を顰めた。
「only狩りで有名な犯罪集団と関わりがあるotherで、onlyを喰いまくってるって噂です」
ドクリ、と心臓が嫌な音を立てて下がった。
「何、それ。そんな人が大学で働けるの?」
内容もショッキングだが、晴翔の口からonlyやotherという単語が出てきたことに動揺した。
「あくまで噂だし、確証はないからって感じみたいですけど。折笠先生のゴリ押しが強くて、大学側が押し負けたみたいですけどね」
晴翔の話には納得しかない。
強引で我を通したがる折笠ならやりかねない