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エンゲージリング

Auteur: 雫石しま
last update Dernière mise à jour: 2025-10-08 05:00:27

座敷の襖がカタンと音を立て、将暉の視線がそちらへ向いた。そこには、強張った表情の木蓮と、肩で息をする父親が立っていた。父親の握り拳は怒りに震え、将暉はゴクリと息を呑んだ。畳の軋む音が静かな部屋に響き、秋の日差しが障子戸を柔らかく照らした。木蓮と父親は並んで座り、ゆっくりと顔を上げた。重い空気が座敷を包み、笹の葉が揺れる障子の音が緊張を高めた。木蓮は少し躊躇いがちに左指からエンゲージリングを外し、座敷テーブルの上に置いた。リングは秋の日差しに煌めき、愛のない結婚の虚しさを静かに訴えた。将暉はそれをじっと見つめ、息を止めた。父親の怒りは、睡蓮との不倫を続けた将暉への失望を物語っていた。木蓮は腹に手を当て、双子の鼓動を感じた。座敷の静寂の中、リングの煌めきが彼女の決意を映した。

将暉が黙り込んでいると、父親が低く唸るような声で詰め寄った。「将暉くん、君は木蓮と睡蓮のことをなんだと思っているんだ」その顔は怒りで赤らみ、眉が吊り上がっていた。将暉はその声色と気迫に震え上がり、顔色を変えた。「ところで…今日は何のご用かな?」父親の問いに、彼の肩はブルブルと小刻みに震え、目が左右に忙しなく動いた。父親の拳が座敷テーブルを激しく叩き、「何の用かと聞いているんだ!」と怒声が重苦しい空気を切り裂いた。将暉は息を止め、飛び上がった。「木蓮さんを…迎えに…来ました」「睡蓮のいる家にか!」父親の言葉に、将暉は言葉を失った。障子に映る笹の影が、木蓮の心を表すかのように激しく揺れた。彼女は睡蓮との訣別を決めた。睡蓮と将暉が結婚しても、睡蓮の身体では子供は生まれない。和田コーポレーションに直系の後継は望めない。木蓮は内心、ほくそ笑んだが、その裏に深い悲しみが潜んだ。

言葉をなくした将暉は後退り、座布団から降りると深々

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Commentaires (3)
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橋田光代
将暉、アンタ疫病神だわ!
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ウサコッツ
病院に運ばれて やっと2人の不倫が 和田の親にもバレて 離婚に動けるのと 子供の親権は木蓮だけになる 早く離婚して 精神的に落ち着けば 赤ちゃんも落ち着く この胎動は将暉への抗議
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ウサコッツ
絶対大丈夫 赤ちゃんはびっくりしただけ 将暉と睡蓮お前たちが疫病神 木蓮たちに不幸があったら あんたたちが命で償うべき
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