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12話

Auteur: 籘裏美馬
last update Date de publication: 2025-10-16 07:42:30

どんっ、と涼子が抱きついてきたが、御影は危なげなく涼子を抱きとめる。

そして、室内を見回したあと、涼子に問うた。

「涼子…?見合い相手はどこに…?席を外しているのか?戻ってきたなら、俺がハッキリと言ってやる」

「直寛…直寛…。来てくれて、嬉しい!忙しいのに、ありがとう」

涙に濡れた目尻を、そっと優しく拭ってから直寛は涼子の瞼にキスをする。

涼子を落ち着かせるように、抱きしめた腕で背中をさすってやりながら、御影は問い続ける。

「この先も、また同じような事が起きかねないな。涼子のご両親に、俺たちが愛し合っている事も、付き合っている事もハッキリと伝えた方がいいんじゃないか?」

「でも…直寛は今、茉莉花の婚約者でしょう…?そんな状態で私の両親に言っても、強く反対されるだけだわ…。それより、今日のお見合い相手なんだけど、強く断ったら諦めて帰ってくれたの。私と付き合っているのは、御影直寛なのよ、って言ったら顔を青くして帰ってくれたわ」

直寛は有名だから、相手も引いてくれたのよ。

声を弾ませ、そう言葉にする涼子に、御影は苦虫を噛み潰したよう
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  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   426話

    苓さんの言う通り、谷島さんからのメールには涼子が女性スタッフに接触していた事。 そして、女性スタッフを唆し、苓さんを狙う事を指示されたと書かれていた。 「……プレオープン前のあのお店の情報を、涼子が知っている……?」 「ええ、そうなんです。……以前茉莉花から聞いた時も、違和感を覚えていて。……俺が以前、怪我をして搬送された時。その時も、茉莉花に速水 涼子から連絡が入ったんですよね?」 「そ、そうです……!それも、苓さんが搬送されてまだそんなに時間が経っていないのに……」 あの時の事はしっかりと覚えている。 苓さんの頭から、血が流れる光景。 私を庇ったせいで、苓さんが大怪我を負った、と自分自身を責めたから。 そして、そんな私に追い打ちをかけるように涼子からメッセージが届いたのだ。 あの時、きっと涼子は私の近くに居た。 私が絶望に打ちひしがれているのを見て、とどめを刺すようにメッセージを送ったのだろう。 それは、容易に想像が出来た。 「……俺や、茉莉花──いや、茉莉花の行動が筒抜けになり過ぎていませんか……?」 苓さんの言葉に、私ははっとする。 確かに、言われてみればそうだ。 どうして涼子は私の行動を把握しているの? 今回の、和風庭園カフェのプレオープンだって、どうしてその日付まで知っているの……? 「和風庭園カフェの事は……記念パーティーが開催されているし、ネットニュースにもなっているから、知っていてもおかしくは無い。……だけど、どうして茉莉花と俺が視察する日を知っているのか……そこがおかしいんです」 苓さんの言葉に、私も頷く。 「苓さんの言う通りです」 考えたくないけど──。 もしかしたら──。 私が考えていた事を、苓さんがはっきりと言葉にした。 「小鳥遊建設か、藤堂グループか……。どちらかに内通者──情報を、速水 涼子に流している人間がいる。俺は、そう思います」 「──っ」 疑いたくなかった。 だけど、私のスケジュールを把握していると言う事は。 そう言う事、だ。 私はぎゅっと目を閉じ、悔しさに唇を噛み締めた。 「……来週、出社したら……社内を1度確認、します……」 「ええ、そうしてください。俺も、小鳥遊建設で1度社内システムを確認します」 まさか、社内に内通者がいるなんて。 そうじゃないと願いたい

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  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   422話

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    苓さんの説明を聞いていく内に、私の口は驚きであんぐりと開いてしまう。 し、信じられない……! 仕事先で、しかも協力会社の上司に対してそんな暴挙を……! 「苓さんの話が……」 「ええ、本当です。……とは言っても、証拠が無いですからね……。この辺りに防犯カメラがあればいいんですけど……」 「設置は本オープンに間に合うように手配していたから……」 「そうなんです。だから、プレオープン前の今はまだ設置されていないんですよね……」 ああ、くそ。 珍しく苓さんが憤りを顕にしていて。 本当に防犯カメラは設置されていないだろうか。 本オープン前に設置が完了していたら──。 そう思い、私は周辺を確認する。 このままじゃあ、あの女性スタッフの言い分が通る可能性の方が大きい。 苓さんの背中の怪我の具合にもよるけど……。 怪我の状態が酷ければ、女性スタッフに男性である苓さんが無理やり迫る、なんて事は状況的に無理だ、と判断されればいいけど、そうなると苓さんの怪我がかなり酷い状態じゃないと判断されない。 苓さんの潔白を証明するには、大怪我を願う状態な今のこの状況が悔しい。 プレオープン前の大事な今、どうして女性スタッフはこんな暴挙に出たのか。 私がそんな事を考えていると、苓さんがぽつりと呟いた。 「だけど、あの女性……。何だか様子がおかしかったんです。……切羽詰まっているような、何かに怯えているような……そんな感じがしました」 「……様子が?」 「──ええ、そうです」 こくり、と強くはっきりと頷く苓さん。 苓さんが違和感を覚えた、と言うならきっとその通りなのだろう──。 苓さんの話を聞いていた私の視界の隅に、ふととある物が入り込んだ。 「──あれは!」 私が大きな声を出した事に、苓さんがびっくりしたように目を見開く。 どうしたんですか?と言葉を発する苓さんに、私はぱっと顔を向けた。 「苓さんの潔白が証明出来るかも……!あそこに、防犯カメラが……!」 「──えっ!?」 本オープン前だから、と半ば諦めていたけれど。 まさか、カメラが設置されているなんて。 願わくば、あのカメラがしっかりと作動している事を祈るのみだ。 私と苓さんが喜んでいると、遠くから救急車のサイレンの音と、パトカーのサイレンの音がこの場所に近付いて来る音が聞こえた

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    ◇ 「──痛っ」 「茉莉花さん、大丈夫ですか!?」 料亭の、一室。 私たちは予約していた部屋に案内されていた。 そこで席に着くなり、私の足元に跪いた苓さんが靴を脱がせてくれたのだけど、その時に伝わった振動が捻った足首に響き、私は小さく声を上げてしまった。 私が痛みを訴えた瞬間、苓さんが慌てたように声を上げ、申し訳ないと何度も謝罪をする。 「大丈夫です、苓さん。我慢できずごめんなさい」 「我慢なんて出来るはずないですよ……こんなに赤く腫れてる……。藤堂社長、やっぱり茉莉花さんを夜間病院に連れて行きませんか?」 苓さんは傍らに立つお父様にぱっと顔を向けて提案する。 お父様も

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    苓さんとキスを交わしながら、私はここ最近感じていた違和感を確かめるように、自然な流れで薄っすらと唇を開いた。 だけど、苓さんはそれに気付いているはずなのに、唇を重ね合わせるだけの可愛らしいキスばかりを私に贈ってくれる。 以前、一夜を共にしてしまった時の、情熱的な、まるで食べられてしまうんじゃないかと言うくらいのキスは、お付き合いを始めてから1度もされた事が無い。 苓さんがしてくれないなら、と私からしてみようとしたその時──。 「──っ、茉莉花さん……っ」 「んっ、苓さん……?」 私が何をしようとしているのかを察したのだろう。 苓さんはがばり、と私から体を起こして離れてしまった

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