Share

156話

Penulis: 籘裏美馬
last update Terakhir Diperbarui: 2025-12-28 08:31:27

苓さんは、少し恥ずかしそうに自分の口元を手で覆いながらまるで懺悔をするように告げる。

「それに……深いキスをしたら、我慢できなくなって茉莉花さんを襲ってしまうかもしれません……。俺の忍耐力なんて、茉莉花さんの可愛らしさの前では簡単に吹き飛んでしまうんです」

「──っ」

お、襲う……!?

まさか苓さんの口からそんな衝撃的な言葉が出てくるとは思わず、私まで顔を真っ赤にして押し黙ってしまう。

ちらり、と苓さんは私を見あげ、そして周囲を確認した後にその場に立ち上がり、私に軽く口付けた。

「──だから、暫くはこのキスでお願いします」

軽く触れ合うだけの、キス。

でも、それでも苓さんと触れ合えるのは嬉しい事には変わりない。

私はこくり、と頷いた後、苓さんの服の裾を摘んだ。

「分かり、ました。お祖父様に報告したら……いっぱい気持ちいいキス、して下さい……」

「──〜……っ」

私の言葉に、苓さんが膝から崩れ落ちてしまった。

オロオロとする私に、苓さんは「大丈夫、大丈夫です」と掠れた声で呟き、暫くその場に立ち上がる事が出来ないようだった。

苓さんこそ、膝を打ってしまっていないかしら。

怪我をしてしまったんじゃあ、と私が心配していると、長く息を吐き出した苓さんがすくっとその場に立ち上がる。

「落ち着きました。今度こそ茉莉花さんのお部屋に送りますね」

「だ、大丈夫ですか苓さん……?」

私が苓さんに向かってそう問うと、もう普段通りの苓さんに戻っていて。

にこり、と爽やかな笑顔を向けられて頷かれた。

「大丈夫です。じゃあ、抱き上げますね?少し揺れると思うので……」

「わ、分かりました。ありがとうございます」


Lanjutkan membaca buku ini secara gratis
Pindai kode untuk mengunduh Aplikasi
Bab Terkunci

Bab terbaru

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   183話

    ◇ 「それにしても、小鳥遊部長、聞いておりますよ。あの契約が難しいと言われていた四国の会社と、小鳥遊部長が契約を結んだと!」 「ええ、運良く契約いただきました」 「運が良いなんて!これも小鳥遊社長が四国まで出向き、真摯に対応されたからでしょう。いやあ、あの頑固な社長と契約を結べるのは、あなたくらいでしょうなあ!」 はははっ!と笑う海堂社長。 海堂社長の言葉を聞いた先程の女性はえっと声を漏らした。 「えっ、え……小鳥遊部長……?小鳥遊って、あの大企業の……」 女性は、苓さんが小鳥遊グループの御曹司だと分かったのだろう。 そして、部長と言う事から小鳥遊建設の三男だと言う事も。 その証拠に、女性は顔を真っ青にしてふらふらと後退して行く。 そして、その彼女をご両親が慌てて自分達に引き寄せた。 「藤堂社長も将来娘さんのお相手がこのような素晴らしい男性だと言うのは鼻が高いですな!やはり素敵な女性には素敵な男性がパートナーとなるようだ!」 「ふふふ、ありがとうございます」 「茉莉花さんのような素敵な女性と出会えて、この先の運は全部使い果たしたような気分ですよ」 「ははは!仲の良さに焼かれてしまいそうだ。お二人を独占していると他の方々に睨まれてしまいそうだ。……私は、この辺で失礼しますよ藤堂さん。お父様にぜひよろしくお伝えください」 「ええ、父に伝えておきます」 海堂社長は私たちに軽く頭を下げると、ゆっくりとその場を後にした。 その瞬間、私たちの周りにいた方たちが一斉にわっと近付いてきた。 「藤堂さん!小鳥遊さん!ぜひお話を──」 「いやいや、私と話を──」 沢山の方達に囲まれて、私と苓さんは顔を見合せて苦笑いを浮かべた。 まだまだ、このパーティーからは帰れそうにも無い。 ◇◆◇ パーティー会場の片隅で。 多くの人々に囲まれ、笑っている茉莉花をじっとりとした目で見つめる女がいた。 その女に、へらへらとした男が近付く。 「君、さっき御影専務と一緒にいた子だろ?御影専務はどこに行っちゃったの?俺が一緒に居てあげようか?」 話しかけられたのは、涼子だ。 御影は、今は席を外している。 その隙を狙って男は涼子に接触したのだが、涼子は先程まで御影の前で見せていたか弱い雰囲気など微塵も出していない。 持っていたグラスをぐいーっと煽る

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   182話

    「藤堂さん……?藤堂社長の娘さんか!」 「こう言った場所には数年姿を見せていなかったが──」 「いやはや。こんなに美しくご成長されているとは……」 私たちの周囲に集まった人達が噂話をしているのが聞こえてくる。 私に声をかけた海堂社長は、改めて私に手を差し出す。 それを受けて私も手を握り返した。 「今日はお招きいただきありがとうございます。父からも、贈り物と言葉を預かっております。今後もお互い健康には気をつけ、またゴルフに行こう、と」 「何と……!ありがとうございます、藤堂さん。お父上にもよろしくお伝えください。贈り物もありがとうございます」 「いいえ、とんでもない。直接渡したがっておりました……父を今後ともよろしくお願いいたします」 私たちが和やかに話をしていると、周囲の輪からすすす、と進み出た女性が苓さんに近付くのが視界の端に入る。 周囲にいる人達は、「あっ」という顔をして、あからさまに顔色を悪くしている。 苓さんが私の斜め後ろに立っているから、普通は分かるはず。 彼は、私のパートナーで。 そして、こう言った場所に一緒に参加している以上、私にとって苓さんがどんな存在なのか。 その証拠に、苓さんに歩み寄っている女性のご両親、だろうか──。 ご両親方は真っ青な顔で必死に女性に戻りなさい、とジェスチャーをしているのが見えるけど、女性の目には苓さんしか映っていない。 私も、海堂社長との会話を途中でやめ、苓さんに話しかけるなんて失礼な行動は取れない。 苓さんなら、上手く女性と会話をしてそれとなく戻ってもらうよう対応してくれるだろう。 私はそう判断し、海堂社長との会話に集中した。 ◇ ああ、来るな、と思った。 俺が茉莉花さんの半歩後ろで控えているからだろうか。 話しかけに行く隙は、茉莉花さんと海堂社長が話している今しかない、と判断したのだろう。 俺はちらり、と近付いてくる女性の姿を確認する。 まだ、20そこそこの若い女性。 可哀想に、彼女の両親は真っ青になって必死に女性に戻れ、とジェスチャーを送っているけど、女性はそれに全く気づいていない。 「あ、あの……こんばんは」 か細い声で、女性に話しかけられる。 20そこそこで、若いから、と無礼が許される場では無い。 この場に集まる人達は、皆大企業の経営者や役員、旧華族の家

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   181話

    御影さんと話を終えた私と苓さんは、一旦会場を出る。 出る前にちら、と御影さんと涼子の方へ視線を向けると、涼子はちゃんと御影さんの助けを得たのだろう。 御影さんの隣で、彼の腕に縋り付き震えていたのが見えた。 「──速水さんも、いつまであれを続けるのか……。もう、御影専務には通用しなくなっているんじゃあ……」 「えっ。そうなんですか、苓さん?」 苓さんもちょうど、私と同じ方向を見ていたのだろう。 でも──。 御影さんに通用しなくなっているって……。 苓さんが前に話していた「演技」の事? でも、その事くらいしかなくて。 私がそう思いつつ苓さんを見上げると。 私の視線を受けた苓さんが、肯定するように頷いた。 「少し前から御影専務の彼女に対する態度が……その、盲目的じゃなくなった、と言うか……。正しいものを判断するようになった、と言うか」 「そうなんですか?苓さんは良くしっかりと人を見ていますね」 私は、苓さんに言われないと涼子の演技にも気が付かなかったし、御影さんが涼子の演技に惑わされ?なく?なった事にも気づかなかった。 「駄目ですね、私。役職に就かせてもらっているんだから、ちゃんと色々と周りを見ないと……」 「いえっ!その、彼女の場合は特殊ですから。……長年、時間をかけて信じ込まされていたようなものです。何か、きっかけが無いと自分では中々気づけないですよ」 「ふふ、ありがとうございます苓さん。私ももっと周囲に気を配るようにしますね」 気合いを入れるように私が拳を握って見せると、苓さんが笑みを返してくれる。 「あの手の女性は任せてください。違和感があるので、すぐに気がつけますから」 「頼もしいですね、じゃあこれからも苓さんを頼りにしていますね」 「ええ、任せてください」 そんな事を話しながら歩いていた私たちは、目的のフロア周辺にようやく辿り着いた。 私たちがやってきた事にすぐに気が付いてくれた海堂社長が駆け寄って来てくれた。 「藤堂さん!」 「海堂社長、先程は失礼いたしました」 私は、差し出された海堂社長の手を握る。 そして、海堂社長は私の隣に居る苓さんにも手を差し出してくれて、苓さんも握り返した。 気づけば、私たちの周りには、輪を作るようにパーティーに参加している人たちが集まっていた。

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   180話

    「──それで?御影専務。あなたが茉莉花さんにしたい話って、それだけですか?」 苓さんは冷たい声で御影さんに話しかける。 苓さんと御影さんは、お互い数秒間無言で睨み合っていたけど、先に御影さんがふいっと視線を逸らした。 「いや……他にもある。茉莉花、お前は自分よりも家の格が下の人間を、どう思う?」 話したかった事が、よりにもよってこれ? 私は呆気に取られつつ、自分の考えを素直に口にした。 「家の格が上とか、下とか……どうもしません。人間の品格は、その人がどう生きていたか、どんな生活をして、どんな考えで人生を過ごしてきたかで決まると思います。品格は人生で備わるもの。家の格とか……そんなものを考えた事はありません」 「──そうか」 御影さんは、緩やかに口元を笑みの形に歪めると満足そうに何度か頷いた。 そして、ふと顔を上げると、言葉を続ける。 「話したかった内容はこれだけだ。……邪魔したな」 「ええ、本当に」 私の言葉に、御影さんはどこか吹っ切れたように笑い、その場から立ち去った。 背を向けて歩いて行く彼の後ろ姿を見ていると、隣に並んだ苓さんが私の腰に手を回し、ぐっと引き寄せる。 「──苓さん?」 「何だか、嫌な予感がして。……御影専務は何のつもりなんでしょうね?」 「さあ……私にもさっぱり。昔から、何を考えているのか良く分からない人でしたから」 あの人の事はとりあえず忘れましょう。 私がそう言うと、苓さんもようやく笑みを浮かべてくれる。 「ちょうど人もいないですし……一旦あそこの出入口から外に出て、海堂社長達がいらっしゃるフロアに入り直しましょうか、苓さん」 「そうですね。またあんな風に茉莉花さんに話しかける男がいたら厄介です」 「ふふっ、大丈夫ですよ。話しかけられても適当にいなします」 「茉莉花さんは綺麗だから、人の視線を集めて心配なんです……俺が隣にいるのに、話しかける男性も多いし……悔しいです」 「あら、奇遇ですね苓さん。私も苓さんを見る女性の多さに辟易としてたんです」 苓さんがそんな事を思ってくれていたなんて。 私は嬉しくてついつい口が滑ってしまう。 私の言葉に、ばっと勢いよく顔を向けた苓さんは、嬉しそうにとろり、と微笑んだ。 「茉莉花さんも焼きもちですか?はは、俺には茉莉花さんしか見えてないのに」 「…

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   179話

    やっぱり?それってどう言う──。 私が何かを発する前に、御影さんが口を開く。 「当初、茉莉花……お前があんな記事を出したのかと……そう思った。だから、あの記事を出した会社も何も調べなかったのだが……」 「──私が?何のために……意味が分かりません」 「──ふっ、そうだろうな」 私の言葉に、御影さんは何がおかしいのか、楽しそうに笑っている。 「だが、あの記事の発信源はお前じゃないと思い始め……隠し撮りをした者と、記事を書いた者の調査をした」 「そうですか……。でも、別に御影さんはバレても構わなかったのでは?相手は涼子でしょう?私との婚約は大々的に発表していませんでしたし、放っておいても良かったのでは」 「確かに、俺もそう思った。だからこそちゃんと調査をしなかった」 それまで黙って私たちの会話を聞いていた苓さんが、不意に口を開いた。 「なら、どうして急にそんな前の記事の調査を……?御影専務は、何かご自分の中で変化があったようですね?」 ふん、と鼻で笑う苓さん。 そんな不遜な態度を取る苓さんが珍しくて。 私が驚いていると、御影さんは苦虫を噛み潰したような顔をした。 「──そうだ。確認をしたくて、調査をした。そうしたら、犯人が分かった」 「誰だったんですか、その犯人って」 「涼子だ。……涼子が、カメラマンを使い、あの写真を撮らせて、記事にさせた」 御影さんの言葉に、私は驚いて口を開けてしまう。 どうして、そんな事を──。 そんな事をしなくても、御影さんは涼子一筋なのに、どうしてわざわざ。 「なるほど……外堀を固めようとしたって事か……悪どい女が使いそうな手だ」 ぽつり、と苓さんの納得したような声が落ちる。 まさか、そんな。 私が無意識に御影さんに顔を向けると、御影さんは険しい顔をしていたけど、苓さんの言葉に一切反論しなかった。 それが、もう答えのようなものだ。 御影さんが、涼子を貶されているのに庇わない。 どころか、涼子の所業をわざわざ私に知らせるなんて。 御影さんは一体どうしたのか、と戸惑ってしまう。 「……あれが、涼子の仕業だと知ってあれから涼子を監視させていた。……涼子は普段から中央病院に通院していたんだが……茉莉花は知っていたか?」 「いえ、知らなかったです。……涼子はどこか体の調子が悪いんですか?だから

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   178話

    苓さんも居ていい? どうして御影さんが条件を決めるの? 私はむっとして、腕を組みつつ御影さんに答える。 「苓さんも一緒じゃなきゃ、話は聞きません。それに、場所を変える必要はないのでは?ここで話せない内容でしたら、お断りします」 きっと、御影さんは涼子から離れたがらない。 そうしたら、こんな無駄な時間は終わる。 私は海堂社長に早く挨拶をして、お父様から預かった贈り物をして、早くパーティーから帰りたい。 御影さんは私の言葉を聞き、涼子に顔を向けた。 涼子は御影さんが助けに来てくれると思ったのだろう。 ぱっと表情を明るくしたのだけど──。 御影さんは、そんな涼子に向かって信じられない言葉を放った。 「涼子、俺は少しだけこの場を離れる。……待っていてくれ」 「そんなっ、どうして直寛……っ!」 涙を目にいっぱい溜めて御影さんを呼ぶ涼子。 御影さんが、涼子の傍を離れる──? 信じ難い光景に、私が唖然としていると御影さんが話しかけて来た。 「この場では少し話しにくい。人がいない隅の方に行っていいか」 「──……」 まさか、御影さんがこの条件を飲むなんて。 私は思わず苓さんに顔を向ける。 苓さんも驚いた表情を浮かべていたけど、私と目を合わせてこくり、と頷いた。 「……分かりました。なら、あちらに行きましょうか」 「分かった」 私が示した方向に顔を向けた御影さんが、周囲に人がいない事を確認すると頷いた。 そして頷くや否や、そちらの方向に向かって移動を始めてしまう。 そんなに話したい事があるのだろうか。 私は、苓さんが差し出してくれた腕に自分の腕を絡ませ、御影さんの後を追った。 場所を移動した私たち3人は、会場の隅っこで飲み物のグラスを持って向き合っていた。 御影さんは涼子に背を向ける形。 その対応にも私はびっくりしてしまう。 涼子の姿が視界に入らなくて大丈夫なのだろうか、と私が考えていると、御影さんが口を開く。 「──確認したい事がある。以前……俺とある女性の熱愛記事が出た事を覚えているか?」 「熱愛記事──……?」 御影さんの言葉に、眉を顰める。 そんな事、あっただろうか、と考えて私はあっと思い出した。 確か、あの記事がきっかけで、私と御影さんの婚約は破棄されたのだ。 あの記事のお陰だったのに、すっかり忘れ

Bab Lainnya
Jelajahi dan baca novel bagus secara gratis
Akses gratis ke berbagai novel bagus di aplikasi GoodNovel. Unduh buku yang kamu suka dan baca di mana saja & kapan saja.
Baca buku gratis di Aplikasi
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status