私たち期限付き夫婦でしたが愛に包まれ最高の愛を手に入れました。

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last updateLast Updated : 2025-04-30
By:  水沼早紀Updated just now
Language: Japanese
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父親が借金をしたせいで、その借金を返すことになってしまった主人公の紅音(あかね) だけど借金を返すこともままならない紅音の前に、救世主である爽太(そうた)が現れる。 爽太は紅音の借金を返すと告げる。 しかし爽太がその代わりに要求したのは、紅音との【契約結婚】だった。 紅音はその結婚を受け入れ、彼と夫婦になることを決める。 ニ年という期限付きで結婚した紅音は、幸せになれるかわからない結婚に戸惑うも、徐々に彼に惹かれていることに気づくが……。 子供を作らないという条件の中で、紅音は妊娠していることが発覚してしまう。 それを知った紅音は、爽太に妊娠を隠し通そうとするのだが……。

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Chapter 1

【エピソード01〜契約という名の結婚〜】

 ある日突然、私は期間限定で夫と結婚することになった。しかも二年間という、期限付きで。

 それは【離婚を前提とした結婚】であることを示していた。

✱ ✱ ✱

「爽太(そうた)さん、おはよう」

「紅音(あかね)、おはよう」

 私と爽太さんと結婚したのは、半年前のこと。 そのきっかけになったのは、父親の借金だった。

 父親が多額の借金を作ってしまい、返せなくなった父親は、首を吊って自殺した。 その事実を知ったのは、父親が亡くなったすぐ後のことだった。

 まさか私の名前を借りて借金していたとは知らなかった私は、その後すぐに借金を取り立てを受け、地獄を味わうことになった。

 毎日借金取りが家にやってきて、金を返せと言われた。 時には金を払えないなら自分の身体で払えと言われて、その日も無理矢理連れて行かれそうになった。

 そんな時私助けてくれたのが、私にとってはヒーローである爽太さんだった。

「やめてっ、離してよっ……!」

「暴れるんじゃねーよ!」

「おい。女一人によってたかって何してんだ。イヤがってるだろ?」

 それが、私と爽太さんとの出会いだった。そしてその日は、私の25歳の誕生日だった。

「コイツの父親が借りた借金返さねぇから、返せって言ってるだけだろ?」

「だからって身体で払えなんて、そんなセクハラまがいな発言していい訳ないよな?」

「うぜぇ……。何なんだよてめぇは!?」

 あの時、そう言って殴りかかる男の拳を受け止めた爽太さんは、その男たちを撃退してくれたのだった。

「大丈夫か?」

「……ありがとう、ございました。助けて頂いて」

 私はあの時、爽太さんに助けてもらったからこそ、こうして恩返しが出来ている気がする。

「……お前、借金どのくらいあるんだ?」

「え……?」

「借金。父親が借金、してるんだろ?」

「……500万です」

 その言葉の後、爽太さんは「500万? そんなにあるのか、借金」と言って私を見ていた。

「……はい。父親が借金してると知ったのは、父親が死んだ後です。 気が付いたら、私が払うことになっていました」

 父親の借金を抱えて生きていくのは、とても辛い。毎日こうして取り立てられて、生きてくことに疲れてしまった。

「……もう、イヤだ」

 父親の借金さえなければ、わたしは今頃幸せになっていた。

「……お前、名前は?」

「……え?」

 その時、爽太さん私の名前を聞いてきた。

「俺は小田原爽太《おだわらそうた》だ。……お前の名前は?」

「……加藤紅音《かとうあかね》です」

「よし、紅音。お前のその借金、俺が全額払ってやる」

「……え?」

 初めて会った人にそんなことを言われて戸惑うのは当たり前なのだけど……。

 なぜそんなことを言ってくれるのか、分からなくて……。ただただ、瞬きを繰り返すことしか出来なかった。

「……私の借金を、あなたが?」

 そんな、どうして……?

「ああ。 その代わりに、俺のお願いを聞いてくれるか?」

「……え? お願い、ですか……?」

 お願いとは、一体何なのだろう……。そんなことを思っていたら、爽太さんはこう言ってきた。

「期間限定で、俺の妻になってほしいんだけど」

「……え?」

 期間限定で……妻? え、それってまさか……結婚ってこと?

「妻って……。私と、あなたが……?」

「そうだ。俺とお前がだ」

 わたしと彼が、結婚……。しかも今日初めて会った人と、結婚……?

 そんなの、急すぎる……。

「……でも、そんなの……。悪いです」

 今日初めて会った人に借金を返済してもらうなんて、そんなこと出来ない……。

 そんなの迷惑になってしまうし……。

「じゃあ聞くが、お前はこのまま借金を返済し続けられるのか?」

 そう聞かれてわたしは「それは……」と口を閉ざした。

「どうする? お前はこのまま、一生この先も辛い人生を送るつもりなのか?」

「…………」

 何も言えなかった。 だって、もうそんな人生送りたくないって思ってるのは確かだから……。

「どうなんだ?」

「……イヤです。 もうこんな人生……送るなんてイヤです!」

 だけどこれが、正直な気持ちだ。もうこんな人生真っ平ごめんだ。借金を抱えて生きていくなんて、もう懲り懲りだ。

 こんなことになるくらいなら、死んだほうがマシだ。

「お前が俺との結婚を受け入れるというのなら、俺は今すぐその借金を全額その場で返済してやる」

「……どうして?」

 どうしてそんなに私に、優しくしてくれるの……? どうして?

「俺は困っている人を見捨てられない主義なんでね」

「……私、もうこんな辛い生活から抜け出したいです」

 父親の借金を背負って生きていくなんて、もうごめん……。幸せになりたい。

 一人の女として、幸せに生きていきたい。

「どうだ?俺と結婚、するか?」

「……私、幸せになりたいです。 だから、結婚します、あなたと」

 それで結婚して借金が失くなるのなら、わたしは彼と結婚する。幸せになれるのかは分からないけれど、やるしかない。

「じゃあ契約成立ってことで。お前のその借金、肩代わりしてやる」

「……ありがとうございます。 本当に、感謝しています」

「それとお前は、すぐにここのアパートを引き払った方がいい。 また借金取りが来る可能性があるからな。今からでも俺の家に住めばいい」

「……え?」

 今から?そんな、急すぎる……。すぐに引き払うなんて出来るのかな……?

「ここの家賃はいくらだ?」

「……4万5千円です、けど……」

 それがなんだと言うのだろうか……?

「じゃあすぐに、この金を持ってこのアパートを引き払ってこい」

 そう言って何枚もの一万円札を渡してきた爽太さんに、私は「え……?これって……」と爽太さんを見る。

「これだけあれば足りるだろ?」

「え、こんなに……?!」

「早くしろ。それを大家に渡してこい。 今すぐにだ」

「は、はい……」

 私は言われた通りすぐに大家さんの元へ行き、渡されたお金を渡し、アパートを引きうことになった。

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