LOGINそして、食堂から部署に戻ろうと、ちょうど閉まりかけてたエレベーターまで駈け寄って、乗り込む人のあとに続いて桜子と中に乗り込む。それからすぐ後ろの人がすぐの階で降りたタイミングで。「お疲れ様」後ろから声をかけられて振り向くと。「あっ、本村さん! お疲れ様です」すると、そこには社長と本村さんの姿が。うわっ! 気付いてなかった。社長と本村さん奥に乗ってたんだ。わー会社で会えて嬉しいっっ。「お疲れ様です。社長」「お疲れ……」……ん??なんでそんなボソッと呟く返し方??今、ここには桜子と本村さん、あたしたちのこと知ってる人しか乗ってないよね??なんか疲れてるのかな??「今日オレ早く帰るから」「えっ、そうなんですか!? ご飯家で食べますか!?」「あぁ」「どうしよう、あたし今日もヨッシーと……」予定があると言いかけると、すぐに。「話がある。今日は断って、仕事終わったらすぐ帰ってこい」「あっ……はい。わかりました」社長があたしの言葉を遮るように、珍しくそう言い切る。改まって話……?なんか雰囲気的にもいつもと違うような気がするけど……。だけど、わざわざ断って帰ってこいなんて、よっぽどだよね。なんだろ、話って……。社長はそれだけ伝えて、エレベーターを降りる。「あっ、じゃあね。逢沢さん、河野さん」「お疲れ様です」「お疲れ様です……」そのあとに続いて、代わりに本村さんが、あたしと桜子に声をかけてくれる。「なんだろ。話って」そして、桜子とまた二人になったタイミングで呟く。「なるほど。向こうから動き出したってことか」「えっ? 何?」「いや、まぁそういうことなら、今日はちゃんと早く帰りなね」そう言って、なぜか桜子はわかってるかのように、一人納得してあたしの肩をポンと叩く。なんなんだよ、桜子も社長も……。でも……。そっか。今日は社長と一緒にご飯食べれるんだ。嬉しい。えっ、何作ろっかな。久々の社長との時間に嬉しくなって、それがわかってからは、あたしはすぐに定時で仕事を終えて、買物に向かう。それから、家に帰って料理の準備をしていると。「えっ!? おかえりなさい。めちゃめちゃ早くないですか!?」すると、思ってた以上に社長が早く帰って来て、あたしは料理を準備するのに夢中になって帰って来たのにも気付けずにいた。「早く
「とにかく、噂になってるのは間違いないからね。お互いそこら辺はちゃんと意識するようにね!」「了解です!」「って依那。あんた他人事じゃないんだからね」「うん。大丈夫わかってるよ。うちらはただ仕事仲間として同じ目標に向かって一緒に頑張ってるだけだから。ねっ、ヨッシー」「あぁ、うん。そうだな……」「依那、あんた状況わかってないね……」「ん? 何が?」「あっ、逢沢悪い。オレちょっと書類作んなきゃいけないから先行くわ」「あっ、うん。わかったー。またねー」そして、ヨッシーはしなくちゃいけない仕事を思い出したらしく、先にその場をあとにした。「ねぇ依那。わかってる?」そして、ヨッシーの代わりに桜子が今度は隣に座り、話しかけてくる。「何を?」「多分。耳に入ってるよ」「ん? だからなんの話?」「はぁ~。しゃ……慧さんにってこと」桜子が社長と言いかけて、周りを気にして名前を言い換えてくれる。会社で社長のことを話す時は、周りにバレないようにそれぞれこういう呼び方にしている。「慧さんに?」「ウ・ワ・サ!」「噂?」「あんたとヨッシーが付き合ってるっていう噂。多分慧さんも知ってる可能性あるよ」「え~そんなくだらない噂知らないでしょ~。そんなとこまではさすがに噂届かなくない?」「いや、それ皆騒いでた時、本村さんと二人でたまたま居合わせてたからね……」「えっ! そなの!?」「なんでそんなたまたまタイミングよく聞いちゃうかねって思ったけどさ」「そうなんだ。でも。まぁ向こうはそんなん気にしてないでしょ。あたしもまったく気にしてないし」「いや、あんたは元々興味ないからだろうけど……。向こうは案外気になってるかもだよ?」「え~? 慧さんがー? ……ないない!」社長がそんなくだらない噂信じるとも思わないし、そもそも気にも留めてないでしょ。「いや。そう思ってるのは依那だけかもよ」「一応さ。慧さんには、ヨッシーとはプロジェクトのこと一緒にやってるって伝えてあるから問題ないよ」「あっ、伝えたんだ」「そうそう。そん時も応援してくれてたよ」「それ、ホントにわかってて応援してくれてんのかねぇ……」「えっ? どういうこと?」「いや、そうかどうかは直接聞きな」「ん? あっ、うん」なんだ?桜子、なんか微妙な感じの反応してんな。なんでなのかはよくわ
え、ヨッシーとのこんなことで噂になっちゃうんだ……。ただ仕事一緒にしてるだけだし、別に同僚として接してるだけなのに。そっか。ヨッシーって確かにイケメンの部類に入るんだっけかな。うん、確かにその部類には入るけども、あたしのタイプではないのでまったくノーマークだったな。どちらかといえば、振り切るほど可愛い琉偉タイプか、社長のようなちょっとゾクッてするような悪魔的なドSっぽいカッコよさか。まぁ実際社長は全然そんなことないんだけど。琉偉も可愛いけどカッコよさもここぞとばかりに出してくるし。でもそういうなんらかに振り切るような人が好きなんだよな。っていうか、そう。ギャップ!そういう自分の気付かないようなギャップを感じる人に惹かれちゃう。社長と琉偉は正反対なんだけど、あたしの中でそれぞれ違う胸のトキメキがあるんだよな。だけど、ヨッシーは……。うん、特に何も感じないんだよな。いいヤツだとは思うんだけど。人当たりもいいし、気兼ねない感じだし、どちらかといえば優しいし。だけども……あたしにしたら普通……?ただの同僚でしかないんだよな。だから、自分のタイプじゃないだけに、ヨッシーと、そんな風に見られてしまうとは、なかなかの盲点だった。いや、ヨッシーも例え噂でも相手選びたかったろうに。申し訳ない、こんなしがない何のとりえもない普通の同僚で。いや、こんなヤツがヨッシー普通とか言える立場じゃないよな、うん。それにしても、なんで皆そうやってあることないこと噂するんだろ。でもまぁ、あたしも社長とこうなるまでは、社長の噂信じこんじゃってたもんな。今思えば何もかも噂と正反対で全然違う人だってわかるのに。いかに噂は根源がいい加減だということがわかるよね。あたし的には社長の彼女なんですーって大声で、そんな噂否定したいくらいだけど。でも。ヨッシーでそんな騒がれて噂になるくらいなら、社長と付き合ってるって皆知っちゃったらどうなっちゃうんだろう……。今でこそヨッシーはいくら人気があっても、所詮同期で同僚なだけだから、あたし的には根も葉もない噂だし、気にしないでいればいいだけだけど。でも、社長とのことは噂じゃなく真実で、それこそただのこんな何者でもない平社員なんかが彼女だって知ったら、何言われるかわからない……。やだやだ! あたしの存在がわかった時、
いやいやいや!!どっからそんな話になってんの!?何がそうなった!?ってか桜子あたしが社長と付き合ってんの知ってんじゃん!「まぁ、あたしはあんたたちの関係とこの状況知ってるから実際どうなのかはわかってるけどさ。周りではそうは思ってないみたいよ」「いや、オレらはずっとプロジェクトの打合せしてるだけで」「いやいや、ヨッシーさ。あんた同期の中でも社員の中でもかなり人気あるからね?そんなあんたが特定の誰かとずっと一緒にいれば、そりゃ噂にもなるでしょうよ」「あっ、そっか。確かにヨッシー密かに社内で人気あるもんね」「おい、密かにってなんだよ」「いや、あたしはそういう目で見たことないから改めてそうだったんだなぁって」「いや、思えよ(笑)」「え~ヨッシーはヨッシーだも~ん」「だからなんだよそれ(笑)」「うん。そういうとこだからね」「ん?」「ヨッシーって、誰にでも気さくだから人気だったりするけどさ。依那には特にそれに加えてなんか仲の良さがプラスされてるっていうかさ」「いや、そりゃ同期だしね。うちら」「いや、そうじゃないんだよ依那。女子どもは、案外そういう微妙な近さ感じ取って自分とは違うってなるわけよ~」「えっ、あたしのこのヨッシーとの距離って他の人と比べて近いの?」「近いでしょうよ。ヨッシーその距離感に勘違いしてる女子たち多いからね。今まで告られてきた経験あるヨッシーは、実際わかってんでしょうが」「いや、まぁ、オレがそう思ってなかったのに、勘違いさせてたっぼくて好きになったって言われたことは何回かあったけど……」「ほら見てみろ。そういうことだヨッシー」「あっ、じゃあそういう意味ではあたし勘違いしないから大丈夫だよ!」「いや……オレは別にお前は……」「ん??」「いや、なんでもない……」
それからの数日はホントにヨッシーと過ごす時間が増えて。出来るだけ空いた時間は、お互いの企画について相談し合う。なので昼休みはもちろん、仕事終わりも一緒に過ごす時間がかなり増えた。社長も相変わらず仕事が忙しくて、最近は一緒に夜食べることも用意することも少なくなったままだから、家に早く帰らなくてもいいのは、家事的にはちょっと助かる。社長に会えない時間は正直寂しいけど、でもその会えない時間は、いつかの社長と仕事出来るかもしれないという夢に繋がっているのだから、それを思えばその時間にその夢の為に集中出来るし、どこまてでも頑張れちゃう。このチャンスを逃したら、またいつそのチャンスが巡ってくるかわからないもん。後悔しないように全力で取り組まないと!そして、その影響なのかヨッシーとも前以上に打ち解けて、今ではなんでも話しやすい仲になった。元々話しやすい関係ではあったけど、この機会でやっぱり仕事に対しての想いとか社長に対しての想いをわかり合えることが多いから、自然と心許しちゃうんだよな。実際あたし一人じゃここまでいろいろ考えること出来なかったし、ヨッシーと組めたことは、あたしにとってはかなり大きくてよかったかも。「いや、これめっちゃいい感じになってきたよな」「うん。最初の時より、やっぱりいろいろ手直ししたことで、かなり現実的になってきたよね」いつものようにお互い熱く盛り上がりながら、昼休み食堂でヨッシーと話していると。「どぉ~? 順調に進んでる~?」桜子が昼食を終えて、あたしたちのところに声をかけにきた。「あ~桜子~。めちゃ順調にいい感じに進んでるよ!」「見てくれよ河野。これとか最初に比べてマジでいい感じになったんだよ」「あ~最初に見せてくれたやつ?」「そうそう。さすがにあのままじゃ企画にも出せなかったけど、二人でマジでいい感じに仕上げられたと思うんだよね」「これはヨッシーがこだわって絶対残したいとこだったからさ。なんとかそれをもっと良くしたくて、すんごい二人で考えたんだよ~」「いや、これは逢沢がプラスアルファで良くしてくれたからここまでになったと思う。マジで感謝」「へ~。なんか相性めちゃいいじゃん」「えっ!?」「何お前!?」桜子がいきなりそんなことを言い出して、ヨッシーと二人で戸惑う。「いや、元々気兼ねない関係だとは思ってたけどさ
「逢沢。これ。オレなりにちょっとやりたい企画とかまとめてみた」部署でデスクワークをしていると、ヨッシーがそう言ってプロジェクトの資料を渡してくれる。「あっ、ありがと! 実はあたしもちょっとまとめてみたんだ!」そう言ってあたしも事前に用意していた資料をヨッシーに渡す。「おぉ。お前もこの量すごいな」「いや、だって自分の企画がカタチになるかもって思ったら、今までやりたくて温めてた想いがどんどん溢れてきちゃって」「わかる! オレもいつどんなことがあってもいいように、ずっといろんな企画考えてきてたんだよね」「うん。この資料見ればわかるよ」「まぁ新人の頃から考えてたやつも、とりあえず書き出してるからさ。夢物語みたいな全然可能じゃないやつも書いてあるけどな」「え、でもそれはそれで、今ならどこまで出来るかとかはなんとなくわかるしさ。その中で、どうすれば可能になるか考えようよ」「マジで? それだとオレは嬉しいけど」「もちろんもちろん。とにかくさ、うちらはまだまだ経験ないからさ、どんなのがいいとかわかんないし、もういいと思ったアイデアは出しまくろうよ」「確かに。オレらで考えててもどうかわかんねぇしな」「そうそう。まだまだのアイデアでもさ、どういうカタチかで引っかかって、ちょっとしたことでも採用してもらえるかもじゃん」「そうだな。とにかくオレもお前も今まで考えてきたやつ、全部出してみるか」「うん! そうしよ!」「でもまぁさすがに企画として出すのに、最低限きちんとしたカタチにはした方がいいかもだから、まずはそこまで考えなきゃだよな」「だね。としたら結構時間かかっていろいろ大変かも」「なら。お前さえ大丈夫なら、しばらく昼休みもメシ食いながら打合せしねぇ?」「あぁ。そっか。そだね。出来るだけちょっと打合せして進めたいもんね」「メシの予定的には大丈夫?」「あぁ~。桜子には、しばらく別になるって伝えとく」「悪いな。オレからも伝えとくわ」「ありがと」確かにプロジェクト提出期限は決まってる訳だし、そこまでに絶対間に合わせなきゃだもんな。でも時間がないから妥協したもん出すとかは絶対嫌だ!絶対納得したもの出したい!こんなすごいチャンス無駄にしたくない!しばらくはこの時間に費やして頑張らないと!たまたま今ルイルイの推し活しなくても大丈夫な時期でよか







