Masuk「逢沢さんがいるだけでこの明るさで現場の雰囲気も華やぐというか。逢沢さんのおかげで自分自身も更にいい撮影が出来てます」「いや、そんなそんな! もう瑠偉さんはずっと完璧なんで! こちらの思ってる以上のことをしてくださるので感激してます!」うわっ、瑠偉が褒めてくれるとか嬉しすぎ。推しの撮影を自分が影響してるなんて、ファンとして幸せすぎる……!「……そうですか。なら良かったです。逢沢は自ら皆さんの担当をしたいと立候補したので、意気込みも最初から強くて思いも誰より大きいので、必ずいいものにしてくれると私も期待しています」すると、慧さんまでもがそんな嬉しすぎる言葉を言ってくれる。まさか慧さんがそんな風に言ってくれるなんて思ってなくて、胸がいっぱいになる。心配してるとか言ってたのに、そんな言葉をかけてくれるなんて。ちゃんと慧さんはわかってくれているんだ……。「そうなんですね! うわっ、嬉しいです。ありがとうございます逢沢さん!」そして瑠偉が笑顔と共に嬉しそうに伝えてくれる。そしてあたしも照れくさいながらも瑠偉に微笑み返す。「差し入れもぜひよければ皆さんで時間空いた時にでも」「あっ、差し入れわざわざありがとうございます! ぜひ皆でいただきます!」そして慧さんの気遣いにお礼を伝える。社長自ら差し入れなんてするんだな~。こういう気遣いもさすが慧さんだな。「瑠偉さん! 次の撮影の衣装チェンジお願いします!」するとスタッフさんが瑠偉に次の撮影のため声をかける。「あっ、はい! あの!神城社長!今は時間がなくて申し訳ないんですけど、またいつかぜひゆっくりお話させてもらえたら嬉しいです!」瑠偉が移動する前に少し焦りながら慧さんに伝える。「あぁ。はい。ぜひ。今度改めてゆっくりと」「ありがとうございます! では、少し失礼します!」優しく返した慧さんに、瑠偉も喜んで言葉を返しながら勢いよく頭を下げて、パタパタと衣装チェンジしに行く。フフ。なんか子犬みたいで可愛い。瑠偉は素直な反応を慧さんの前でコロコロと変化させていくけど、慧さんはいたって常に冷静で余裕で大人な表情と対応。こういうところがやっぱり自分の中で、可愛い瑠偉は癒しの推しで、そして慧さんは大人で余裕でスマートで、いつだって憧れる存在なんだよね。そんな風に思っていたら。「逢沢。ちょっとい
いきなりのそんな状況で、あたしは思わず素で名前を呼びそうになって、慌てて社長と言い換えた。「どう、されたんですか!? こんなとこに来られるなんて」こんなとこに来るなんて思ってもいなくて驚きはしてるけど、でも今こうやって会えているのは普通に嬉しい。「どんな風に撮影してんのか心配で……気になって見に来た」えっ、慧さん社長としてこんなマメなことしてるの!?プロジェクト関わってる現場、全部にこんな風に顔出してるのかな?それだけ慧さん自身が力入れてるプロジェクトってことだよね。ていうか、そう言ってる慧さんの表情も険しいというか、社長モードの真剣な顔だし、さすがにこういう時はプライベートは持ち込まないってことなんだな。さすがだ。だけど、この言葉通り、社長としてはあたしが彼女だとかそういうの関係なく、やっぱりまだこの担当を任せるのは心配だったってことかな……。あたしは慧さんに会えて嬉しくて、思わず顔が緩みそうになってたけど、そんな慧さんを見てその言葉を聞いて、また気が引き締まる。「あたしがまだ経験なくて、ご心配かけてすいません! でもめちゃめちゃ順調です! すごくいい撮影になってるので、出来上がったの見たらきっと満足していただける自信あります!」あたしはそう堂々と今の状況を報告する。ちゃんと出来てるか心配でチェックしに来たんだろうけど、実際すごくいい感じに撮影進んでるし、あたしに任せてよかったって絶対思ってもらいたいから、そこはちゃんと自信持って伝えておかないと。家ではそんなこと言わなかったけど、やっぱ社長に戻ると、あたしがちゃんとこの担当に相応しいかどうか不安を感じていたのかもな。そういうとこは、ちゃんと仕事とプライベートと割り切って判断してるってことだよな。慧さん、最近は、家では甘えさせてくれちゃうから、きっと家では言いにくかったのかも。確かに社長としてなら、慧さんも切り替えること出来るし、社長として思ってることも、この場でならこうやって伝えやすいもんね。「あっ、いや、そういう心配じゃ……」すると慧さんの表情がそのあたしの言葉で少し崩れたような表情になる。え? あたしの言ってる心配とは違う……?どういう心配の違いかはよくわからないけど、でも、ここに実際に来るなんてよっぽどのことだし、仕事内容は確認したかったってことなのかも。「
瑠偉と談笑しながら、ファンと仕事と気持ちが行ったり来たりしてる中。スタジオの入口の方で、なんだかザワザワと騒いでいるのが見える。「うわ~すいません! ありがとうございます! こちら今差し入れいただきましたー!」そして、誰かが来て差し入れをもらったとスタッフさんが大きな声で合図して皆に伝える。ん? 差し入れ??誰だろ。瑠偉の事務所の人かな?と思いながら、その声をした方を見ると……。――えっ!?!?慧さん!?!?そこにいたのは、まさかの慧さんと本村さんの姿だった。えっ、えっ! なんでなんで!?なんで慧さんがここにいるの!?ここ会社じゃないよ!? 撮影スタジオだよ!?てか、顔出すなんて一言も言ってなかったよ!?あたしは現れたまさかの慧さんの存在に、心の中で一人パニックになる。だけど、慧さんが来たところで、あたしはいつものように慧さんの元に駈け寄って行ける訳でもなく、出来るだけあたしはその嬉しい気持ちがバレないように、そのまま仕事モードの自分を保つ。そんな社長の登場に皆気付いてからは、こういう形で社長がまさか現れるなんて思ってないので、スタジオ内のスタッフもさっき以上に騒ぎ始める。「えっ、神城社長。生で見ると更にめちゃめちゃカッコよくない!?」「そこらの芸能人よりイケててヤバいんですけど」いろんな芸能人と仕事をしているスタイリストさんやメイクさんたちの中でもそんな声が上がっていて、こっそり聞き耳を立てていたあたしは、やっぱりそれほどのカッコよさなのだと改めて実感する。確かに芸能人でもない普通の一般人なのに、なぜにあんな立ってるだけでスタイルよくてカッコよすぎてオーラもすごいのか。目の前の瑠偉もそれを言えば確かに芸能人のキラキラやオーラはすごい。だけど、カッコよさの種類が二人は違うというか。慧さんは芸能人の雰囲気とはまた違うんだけど、でもなんか惹きつけられる色気というか余裕さというか。慧さんの仕事の姿勢とか自信とか、そういうのも外見に現れていて、自然ときっとそういう魅力が放たれているような気がする。そんな慧さんは慧さんで、本村さんと壁際で話をしていて、顔も真剣なお仕事モード。「えっ。どうしよう。逢沢さん。神代社長が見に来てる……!」すると、隣の瑠偉もそんな慧さんを見てキラキラした目で、あたしにこっそりと話しかけてく
「逢沢さん。ちょっといいですか?」次のパターンを撮影前に琉偉の衣装チェンジを待っていると、撮影前に琉偉の衣装を準備しているスタイリストさんから声をかけられる。そして琉偉とそのスタイリストさんの元へ行くと。「瑠偉さんの次の撮影なんですけど。資料にある逢沢さんがイメージされてる感じなら、衣装どちらのがいいですかね?」と、衣装さんが最初に予定していた衣装と新たに用意した衣装のどちらがいいかを尋ねてくる。「そうですね~。本来の瑠偉さんなら、多分こっちを選びがちなんですが、今回のうちのプロジェクトのコンセプトでいくと、逆にこちらですかね。次の花のセットがさっきよりかは落ち着いた感じではあるんですが、服によってその花が際立つので、こちらの白い衣装にした方がいいかなと。次はちょっと一体感というか、琉偉さんと花が自然に溶け合ってるようなそんなイメージにしたいんです」「なるほど。そうですね。じゃあ、こちらのがいいですね。すいません。琉偉さん、こちら着てもらってもいいですか?」自分が伝えた意見で、スタイリストさんが衣装チェンジして、琉偉がそちらの衣装に変更する。「わかりました」それからスタイリストさんの指示通り着替えてきた琉偉が、そのイメージになっているかの確認をするため、その衣装を着て新たな花のセットの前に立つ。そして、それを見たあたしは。「うわ~いいです! めちゃいいです! イメージ以上です!」自分が想像してたイメージよりもっと素敵になっていて、思わずあたしは興奮のまま伝える。「瑠偉さん。そのまま少し顔を上げて、そのままこちら見てもらって少し微笑んでもらっていいですか!?」と、あたしはそのままそのセットに立った琉偉に、興奮しながら指示を出す。そして、琉偉がメージ通りの表情をする。あーもう琉偉わかってる!さすがだわ瑠偉!「あーそれですそれです! 最高ですー!!」あたしは思わずいつものファン目線のテンションが入ってしまう。ダメとは思いつつ、やっぱ目の前でこんな自分の理想通りの表情とポーズを推しが撮影してるとか、マジで最高。あーしっかり目に焼き付けとこう。そしてそのイメージで撮影も進行していく。琉偉はホント理想通りの撮影してくれるよな~。琉偉は元々そういう、周りの人の伝えたいことをちゃんと察知して対応出来る能力が優れていて、気配りも出来る
「では、瑠偉さん。次はこちらのパターンでお願いします」「わかりました。よろしくお願いします」撮影スタッフさんの指示に返事をして、カメラの前に立つ琉偉。現在、プロジェクトの撮影真っ只中。撮影スタジオで撮影スタッフと共に、あたしは琉偉の撮影をチェックしている。打合せで決めたテーマ通りになるように、あたしは資料をチェックしながら随時カメラマンさんやスタッフに、こちらのイメージなどを伝える役目。今回の撮影は、SEIKAプロジェクトで使う花とコラボした企画。華やかな色鮮やかなたくさんの花に囲まれた琉偉が、カメラの前で満面の笑みでポーズを決める。くーっっ、これこれ!!琉偉のイメージにピッタリ!うん、だってこれはあたしが琉偉をイメージして全部企画した撮影だからね!絶対この色鮮やかな感じが琉偉に似合うと思ったんだよな~!やっぱりこの花の組み合わせのチョイス我ながら最高!と、自分で選んだ撮影の花のセットを自画自賛しながら、撮影を見守る。今回このEveRに関わることは、あたしが中心に考えることが出来て、実は今回のこの企画も自分が決めたもので。EveRの撮影に関しては、どういうイメージにすると、よりその魅力が伝わるかと、どれだけうちのプロジェクトとリンクさせてそれぞれの良さや目的を伝えられるか。そしてうちの仕事だからこそ引き出せるEveRの新しい魅力というのも重視させたかった。そして今回テーマになっているのが『花×EveR』。撮影では何種類ものイメージの違うの撮影が行われる。華やかな明るいイメージの花の時は、可愛い満面の笑みで。落ち着いた品を感じられる花の時は、少し微笑む感じの優しさと大人っぽさを感じさせて。そしてクールな美しさを感じられる花の時は、クールでカッコいい色気を漂わせて。それぞれのそのテーマごとに使う花のイメージは、そのままカフェでも使用する。そのテーマごとに設けたメニューを作り、それぞれのイメージの世界で楽しめるそれぞれのコースも用意。そのイメージごとに撮影をし、EveRのそれぞれのメンバーにも今まで見たことないような魅力を開花させるというのも裏テーマになっている。今まではそれこそグループのイメージだったり、メンバーの決まったイメージだったりっていうのを守ってた所も正直あって。実はそのイメージを一度壊して
「じゃあ、そろそろ準備するかな」「えっ? まだ朝早くないですか?」さっき時計を見たらいつもよりまだ全然早い時間だったから、正直まだ慧さんとイチャイチャ出来るかと思ってたんだけどな……。「あぁ。今日はちょっと朝一で会議があってさ。その前に先に柾弥と打合せすることがあるから、ちょっと早めに出ようと思って」「そうなんですね……」なんだ残念……。「朝食も会社で適当に済ますから。まだ朝早いし依那はもう少しゆっくり寝てから出勤するといい」そう言って、慧さんがあたしのおでこに優しくキスをして微笑む。少し残念に思うも、慧さんに朝から甘いキスをもらって幸せな気持ちに戻る。「はい……。慧さん頑張ってくださいね」ベッドから起き上がった慧さんに、あたしもエールを送る。「ん。ありがと」そしてまた優しい微笑みを返してくれる慧さん。部屋を出て行ったあと、あたしはまたベッドに潜り込んで、慧さんのいない残り香と温もりをそっと味わう。うぅ……、さっきまで一緒だったのに、もう慧さんが恋しい。もっと慧さんの温もりを感じていたい。一緒にいればいるほど、くっつけばくっつくほど慧さんを好きになる。ホントはもっと慧さんを独り占めしたいって思っちゃう。慧さんは社長さんだし忙しい人だし、そんなの絶対無理だけど。休みの日だって、慧さんとはなかなか合わないし。だから少しでも時間が合えば慧さんと一緒にいたいって思う。でもきっと慧さんは仕事に戻っちゃうと、きっと頭の中は仕事だけになっちゃうだろうし、あたしのことなんか全然思い出したりしないだろうな。慧さんは仕事が一番の人だし、あたしが一番にならないのはわかってるし、決してそうなってほしいわけでもない。実際仕事してる慧さんが素敵だし、それが慧さんだし、そんな慧さんに憧れて好きなんだし。だけど、やっぱり、だからこそ、ふとした時に、一瞬でも、あたしのことも思い出したりしてほしいなぁなんて、ちょっと思ったりしてしまう。なんて、そんなの贅沢で我儘なことだけどさ。一緒にいれて、家に帰ってきたらこんなに甘い慧さんでいてくれてるんだから、それだけで幸せだって思わなきゃな!最初は好きになってくれるだけでいいと思ってたのに、好きになってもらえたらまたそれ以上に望みが出てきてしまう。あ~相手はあの慧さんなんだぞ!付き合ってもらえて一緒にい
「冷蔵庫のやつも……オレのために、してくれたってこと?」「あっ、はい。社長がもうすぐ帰ってくると思ったらなんかしたくて落ち着かなくて。そろそろ日本食恋しくなる頃かなぁなんて。社長いつ帰ってくるかわかんなかったですけど、仕事やこういう急に出かけたりした時、すぐ食べれるようにしておきたかったんです」「ごめん。帰る日連絡しなくて」「あっ、いえ。あたしが勝手に自己満足でしたかっただけなんで! っていうか、いつ帰ってきても料理があるってホッとしませんか? せめてあたしがここにいる間は、居心地いいと思ってもらえる場所に出来たらなって思って……」単純だけど、少しでも社長の情を繋ぎ止められるならなん
そんな少し複雑な想いを抱えながらいたら、気付けば部屋の前に到着していた。そして鍵を取り出し、部屋の鍵を開けて中に入ろうとしたら。「うわっ! えっ! 社長!?」ドアを開けた瞬間、玄関すぐの場所に社長が立っていて、いきなりのことで驚いてしまう。「えっ! なんで!? なんで社長がいるんですか!?」「はっ? ここオレの家だから」「あっ、そっか……。いや、それはそうなんですけど! 出張二週間って言ってたし、逆に延びるかもって言ってたから」「あぁ。今回は二週間かからず済んだから。ちょっとこっちで気になることあったから、早めに仕事切り上げてきた」「あっ、そうなんですね。なんだ。それならそう
「………………」え……? なぜ黙る!?え、あたし、好きって言いましたけど!?え、この流れだと言っても大丈夫な感じでしたよね!?ちょっと社長なんか言ってーーー!!「あの……。社長……?」「……あのさぁ」「はい!」「さっき、オレがお前にしようとしてた提案なんだけど」「あっ、はい」「あれさ。新たに契約作んないかって言おうと思ってた」「え……!? また契約ですか!?」「そう。今度はお互いを好きにさせる契約」「……ん? え?」「これからお互いを知って、好きになれるかどうかの契約恋愛をする、っていうのはどうかって」「えっ。でも、あたしは……」「うん。お前からまさかそういう
「は……? え……? うわ……マジか……」だけど、社長はそんな期待出来そうな嬉しい反応なんかじゃ当然なくて。あぁー、ですよね。そうなりますよね。あたしが相手になんて、そんな反応になっちゃいますよね。ほら……やっぱり後悔してんじゃん……。好きな人にキスされて後悔されるとか……つらっ……。あ~、やっば。また泣きそうになってきた。「あ~! でもホラ、あれですよ! 社長随分と酔っぱらっててかなりダウンされてましたし、あの日はホントいつもの社長と違うというか、正常な判断出来なくて事故みたいなもんで……。うん! そう! あれは事故でした! なので社長は全然気にしないでください!」社長の気