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第193話

Author: ラクオン
桃子は梨花の腕を掴んだ。

「行かせない!

今すぐ一真に電話して、自分が浮気したから離婚してくれって伝えなさい!」

……

梨花は呆れ果てた。

何か言いかけた時、翼が数人のボディガードを引き連れて、こちらに向かってくるのが見えた。

一真は中央に囲まれ、堂々とした足取りで歩いていた。

梨花は桃子を見ると、彼女の背後を顎でしゃくった。

「電話する必要はないみたいね。彼が来た」

桃子が振り返って一真たちを見ると、その目に恐怖が浮かび、無意識に逃げ出そうとした。

翼の動きはそれより速く、部下を引き連れて彼女の行く手を塞いだ。

一真が大股で歩いてきて、梨花を見た。

顔の険しさが少し和らぎ、穏やかな声で尋ねた。「こいつに、何かされなかったか?」

「何にもされてないわ」 梨花は首を振った。

「彼女を探しに来たのよね?」

思えば、一真が車で受けたあの電話は、桃子のことだったのだろう。

逃げたのは、桃子だったのだ。

一真の視線が一瞬揺れ、否定せずに「ああ」と頷いた。

梨花は頷いた。「じゃあ、お二人で。私は帰るから」

桃子は慌て、翼の制止も聞かず、梨花の方へ飛びかかろうとした。

「梨花、梨花、助けて……連れ戻されたら、私、殺される!」

梨花はまるで聞こえていないかのように、アパートへと入っていった。

彼らの問題に関わる気はない。

自分は昔から、お人好しなどではない。

桃子は貴之と結託して、自分の純潔を踏みにじろうとし、挙句の果てに綾香を警察送りにした。

これまでの数々の仕打ちを思えば、梨花にお人好しのように振る舞う気など起きなかった。

彼女の同情心は、ごく限られている。

桃子は梨花がまっすぐ去っていく後ろ姿を見て、信じられない顔で一真を見た。

「見殺しにするなんて。あんな冷たい女を、あなたは本気で善良な人間だと思ってるの?」

彼女には理解できなかった。

なぜ誰もが梨花を素直で従順だと思っているのか。明らかにここまで冷血なのに。

一真は彼女の顎を掴み、低い声で問い詰めた。

「ここに何をしに来たんだ?彼女を傷つけようとでも?」

「違うわ……」

桃子は既に彼の恐ろしさを目の当たりにしており、震えながら弁解した。

「わ、私はただ、自分がどこで彼女に劣っているのか知りたかっただけなの。

あなたには愛する人がいるのに、なぜずっと
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