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第693話

Author: ラクオン
梨花は片時も忘れたことはなかった。この二人が、自分にとって最も大切な人たちの命を奪ったのを。

竜也の視線が彼女の手にある資料をかすめ、やがてその赤く腫れた目元に落ちた。

「ああ、必ずな」

一切の躊躇いもなく、断固とした口調で彼は答えた。

篤子があの頃犯した罪については、すでに孝宏に命じて証拠集めを進めさせている。警察には大っぴらに使えないようなグレーな手段や情報網を、孝宏は手足のように使いこなす。

ただ、事件からかなりの年月が経っているため、どうしても時間がかかるだけだ。

梨花は声を出さずに小さく息を吸い込み、資料を元の封筒にそっと戻した。

「ええ……私もそう思う」

飛ぶ鳥でさえ空に影を落とすのだ。

ましてや人の命を奪うような大罪が、何の痕跡も残さず完全に消え去るはずがない。

清水苑。

千鶴が電話を切ると、周囲から突き刺さるような視線を一斉に浴びた。

真里奈、彰人、海人、そしてお爺様とお婆様までもが、固唾を呑んで彼女を見つめている。

明らかに、全員が梨花の反応を気にしているのだ。

誰もが心の中で理解していた。この件の対応を少しでも間違えれば、梨花を三浦家に取
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