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1話「タモン・ミチヤマ」

Author: 思考機械
last update publish date: 2026-07-06 12:24:45

 甲高い警告音のせいで目覚めは不快だった。

 10年に渡る冷凍睡眠の時に、何度も繰り返し見た夢……

 内容はなんか切なくて甘い。

 そんな夢を途絶され非常に不愉快だ。

「……そうか……もう目的地か……」

 俺は簡易ベッドから身を起こし、小さな船室の隅で顔を洗いスペースジャケットを羽織る。

 ◆

 俺の名前はタモン・ミチヤマ。34歳になる。

 ただし、それはあくまでも「生まれてから34年経った」というだけであって、実際の肉体年齢は24歳。

 で、元宇宙軍大佐で終戦間際の戦闘での英雄らしい。

「らしい」ってのは俺自身『記憶に無い』のだ。

 10年もの間救命カプセルで漂流してたらしく、救助されて覚醒したのはつい最近。

 目覚めた時には記憶が失われていたようで、名前以外のことはよく思い出せない。

 そんな状態だったが、それからが慌ただしかった。

『10年前の作戦に於ける英雄』

 として軍に持て囃され、受勲まで受けた。俺なんもわかってねぇのに。

 但し、俺は戦死扱いだったので当然の様に軍からは除籍されていた。

 軍に再登録しようか? と提案されたが、断った。

 僅かな恩給が出る。との事だったので、現金より現物支給を受けることにした。

 20排水素トン級の中古小型戦闘艇。亜空間ジャンプ能力は無いが、星系内を飛び回るには丁度いい。

 流石に亜空間ジャンプ能力をもつ外航宇宙船は貰えなかったしね。

 面白いことに、記憶喪失とはいえ一般的な知識やそれまでに習得していた技術は失われてなかった。

 軍入隊当時はパイロットとしても鳴らしてたらしく、戦闘艇を手足の様に扱える。

 リハビリがてら宇宙軍の再訓練を受けてみたが、宇宙船戦闘・艦隊戦闘の戦術も卓越してるようだ。

 その結果をみて、軍はかなり俺を引き留めたかったらしいが……

 断った。

 俺は自由に宇宙へ出たいんだ。

 ◇

 まぁ色んな仕事をした。

『元宇宙軍のタモン』はそこそこ有名らしく、それなりに仕事も舞い込む。

 星系内での外航貿易船の警護、アステロイドからの採掘、星系内輸送……

 そして今回はゴミ処理だ。

 ◆

 スペースデブリと呼ばれる宇宙ゴミの処理。

 不法投棄されたゴミが、アステロイドベルト周辺を漂ってる。

 ただでさえ危険なアステロイドベルトで、把握されてるアステロイド以外のゴミは、ここらで採掘作業をする宇宙鉱夫達にとって危険極まりない存在。

 船室の扉を開けると、そこはすぐに操縦席。ブリッジと呼ぶにはおこがましい小さなスペース。計器類に囲まれた座席がたった2つ。まぁ俺ひとりなんでこれでも充分な広さだけどね。

 自動航法でアステロイドベルトの縁に辿り着いた戦闘艇は、警告音で俺を起こしつつ完全に停止していた。ここからはマニュアルで操縦しなきゃならん。

 操作ミスはアステロイドとの激突に繋がり、余計なデブリを増やすだけだ。

 慎重にいこう。

 ◆

 メインスラスターの出力を絞り、船体各所に設置されている制御バーニアの操作に集中する。

 あちこちに点在する大小様々な岩石の間を縫うように飛行し、やがて目的の場所に到着。

「貨物用コンテナ……?」

 モニターに浮かび上がったデブリは半壊したコンテナの様だ。

 もっと巨大なものだったら戦闘艇の船体に固定してステーションまで運ぼうと思っていたが、このサイズなら船倉に収まる。

(こりゃ楽な仕事だ)

 エアロックまで移動し、手早く宇宙服を着用する。

 ヘルメットの接続を慎重に確認し、酸素残量とバーニアの推進剤残量をチェック。

 バイザー内のヘッドアップディスプレイに浮かび上がる『ALL GREEN』の表示。

 戦闘艇のそう大きくはない船倉に移動後、内部圧を下げてから船倉ハッチを全開放する。

 俺のパイロットとしての腕が良いので、もうコンテナは目と鼻の先だ。

 船倉の床を蹴り、宇宙服のバーニアを吹かしてコンテナへと移動した。

 ◆

 コンテナはハッチこそ開放していないものの、角の部分が大きく破損し、内部が見えるほどの状態。

(こりゃコンテナ修理してリサイクルってのも無理っぽそうだな。まぁ俺は回収して廃棄業者に引き渡すだけだがな……)

 恐らくアステロイドがそこにぶつかったのであろう、コンテナはゆっくりと回転している。

(まずは静止させるか……)

 俺は作業を開始した。

 ◆

 半壊したコンテナを回収し、内部圧と酸素量を調整した船倉内で宇宙服を脱ぐ。ここまで小一時間。なかなか手早く済んだ。

 革ツナギを上半身だけ脱ぎ、袖の部分を腰で結ぶ。あとはアンダーシャツといったラフな格好で、コンテナの破損部分から中を覗き込む。

「──!」

 そこには人間の腕、足、胴やら頭部が散乱していた。

 ◆

(アンド……ロイド……か? ……びっくりさせやがって……)

 よく見ると、どれもこれも電子部品が露出しており、ガラクタだということがよくわかる。

(デブリの処理は俺の自由だったよな。こりゃスクラップ業者に良い値で売れるかな?)

 破損箇所から内部に入り、それぞれのパーツを手に取り調べる。

「なんだよこれ……よくできてんなぁ……触れた感じ、人の肌そのものだぜ……」

 その精巧さに思わず驚きの声を上げてしまった。もちろん真空に晒されてたので、体温の様な温もりは感じないもの、外皮部分もかなりの質感だ。

 そんなパーツ類に埋もれるように、一見外損箇所の見当たらない個体を発見した。

「ちょ……なんだよ可愛いなぁおい……」

 いわゆるメイド服に包まれたその個体は、見たところ16,7歳の少女風。身長は150cm程か。

 ルックスは良い。美少女といえる顔立ち。

(お手伝いアンドロイドか……いやここまで外見に拘った造りは……)

 その頬に触れてみる。やはり他のスクラップと同じように人の肌そのものの質感。

(こりゃセクサロイドだな……完動品なら俺のモノにしちまうか)

 女性の人権が声高に叫ばれるこのご時世。

 風俗産業はあるものの、かつてのような奴隷制度は廃止され、男の夢である『性奴隷』なんぞもってのほか。

 が、もちろんそんなご時世でもそういう需要はいくらでもあるので、こういう『性奉仕用愛玩アンドロイド』はピンからキリまで発売されている。

 ただ、コイツは見たところ最高級の逸品だ。

 高級セクサロイドなんて、下手すりゃ外航宇宙船1隻分の価格はする。まさに金持ちの嗜好品ってやつだ。

 俺は、思ったほど重くないそいつを抱きかかえて、船室へと向かった。

 ◆

 船室とはいえ狭い艇内なので、取り敢えず簡易ベッドに横たえる。

 ハンドスキャナーで内部の精査。

 ふむ。こりゃ凄い。

 メカニクスやエレクトロニクス等に関しては士官学校その他で叩き込まれたのか俺にもそこそこわかる。

 が、そんな俺にも理解不能なパーツや、そこまで小型化できるのか? ってパーツ。

 そして意外にも金属部分はそう多くない。バイオテクノロジーは俺には全く未知の分野。

 抱え上げたとき、そう重くなかったのも頷ける。

(製造元はエリザベス社。セクサロイドの老舗メーカーだな)

 早速艇内のコンピューターでサイトにアクセスしてみる。

『我が社は環境に配慮し、利用素材のリサイクルを推進しております』

 トップページに社名と共にデカデカと書いてある。

「……その割には御社のガラクタがコンテナごと廃棄されてるんだがな」

 思わず苦笑した。

 SR-551SS-DX……見つけた。コイツと同じモデルだ。

 取り扱い説明書をダウンロードする。

(標準小売価格は……見なかったことにしよう……)

 そこには俺の予想を遥かに上回り、外航宇宙船2隻は買える値段が表示されていた。

 そして起動方法は……

「キスかよ……」

 王子様にでもなれっつーのか。

(まぁ雰囲気としては悪くねーんだけど)

 給電方法は、一般的なワイヤレス給電。

 この艇内に設置されてる電波受信方式で間に合うようだ。

 マニュアルに従って、給電されてるか確認。

 耳に取り付けられたピアスが緑に点滅している。

(まぁ狭い艇内だし、船倉にいたときから給電されてるってわけか)

 緑の点滅は50%以上の充電量を示すようだ。満タンで青点灯か。

 よし、早速起動してみよう。

 ◆

 簡易ベッドから抱き起こし、口づけしてみる。

(柔らけぇ!)

 でも……

(あれ? 俺初めてじゃないよなこの感覚……)

 なんか懐かしいというか甘酸っぱい気持ちになる。

 しばらくすると、ベッドに横たわるセクサロイドの目が静かに開く。

「……あなたがマスターですか……?」

「うぉ! 喋った!」

 ……まぁ、そりゃそうなんだが。

 抑揚があんまりないが美しい声。目を開け、言葉を発しながら、彼女は簡易ベッドから起き上がり縁に腰掛ける。

 マニュアルによると、このあと俺の名前を登録し、彼女に名前を付けるらしいんだが。

「マスターのお名前は……」

「タモン……ミチヤマ」

 おかしな認識されないように、一音一音気を付けながら発音する。その口調が自分でもたどたどしく思えて、これじゃどっちがアンドロイドなのかわからない。

「確認。タモン・ミチヤマ様ですね」

「OK」

 ここまではマニュアル通りだ。

「早速ですが……私に名前を……」

「そうだな……」

 考えてなかった。さて──

「登録情報精査……私の名前はリイナです」

「は?」

 既に名前付き? つーか新品じゃなかったのかよ。

「質問がある。いいか?」

「どうぞマスター」

 自らをリイナと名乗るセクサロイドが俺を見て微笑む。

 すげー本物の女の子じゃん。

「キミの以前の所有者はわかるか? 個人情報保護の観点から言えなければ、前の所有者は存在したのかだけでも答えてくれ」

「私は不適合体として破棄された個体なので、以前の所有者は存在しません」

 リイナが少し俯き加減で答える。

「不適合体?」

「……はい。品質管理チェックの際、異常プログラムが検出されたので不適合体として破棄されました」

「フム……今のところおかしな感じはないのか?」

 リイナは正面に向き直り、瞼を閉じた。

「精査中──完了。……プログラムの起動範囲に異常は見られません」

 一瞬で自らの状態を精査完了した様子で、瞼を開いたリイナは俺の目を見つめてそう答えた。

「なぜ不適合体とされたかわかるか? プログラム以外で身体の機能におかしな箇所は無いか?」

 リイナの頬に手を当てて聞いてみる。

 やっぱり柔らけぇなこの質感。起動後なので、その頬からは人肌の温もりも感じられた。

 リイナはもう一度目を閉じる。

「精査中──」

 今度は身体の総てのパーツを精査してるせいか、しばらく時間が掛かった。

 ◆

「なるほど……」

 瞼を開いたリイナが呟いた。

「どこか異常があったか?」

「……私のプログラム中枢にあるメインクリスタルがエリザベス社純正の物では無いようです」

「ふむ……それによって現状不具合はないんだな?」

 俺はリイナの頬に顔を寄せる。

「はい……あ……♡ マスター……♡」

 それじゃさっそく。

 ◆

「すごいな……キスだけでこれだけ濡れるんだな……流石は最高級」

 俺はリイナを膝の上に抱きながら胸の愛撫を始めた。キスは断続的に続けている。

「……そういう行為に……ッはぁ……入ることを認識した時点から……っん……分泌が……かっ……開始されますっ!」

 唇を離し、トロンとした顔で俺の愛撫を受け入れるリイナ。

 俺はブラウスの上から、そのあまり大きくはないがそこそこの揉み応えのある胸を弄りながら言葉を続けた。

「可愛い反応するけど、それもプログラムなんだろ?」

「そうですけ……ど……ち、ちゃんと性感を……んふぅ♡ け、検出して……それに対する……はっ、反応ですっ♡」

 ブラウスのボタンを外し、そこから手を滑り込ませて直接胸の突起部分を弄ぶ。

「なるほど」

 俺の右腕に身体を預けさせ、簡易ベッドに横たわらせる。

「あの……脱いでもよろしいでしょうかマスター……艇内には着替えが無さそうなので……」

 うん。素晴らしい状況認識能力だね。女物の服なんか無いしね。

「心配すんな。俺がちゃんと脱がしてやるよ」

「……この服は男性にとっては複雑な仕様になっております。衣装の皺・ヨレ・破損の危険性を考えますと」

「わかった任せる」

 確かにメイド服なんて脱がせた事無いわ。無いよな?

 ◆

 メイド服を脱ぎ、下着さえも脱いで丁寧に畳んだあと全裸で横たわるリイナ。

「あぁぁぁぁ……」

「どうしましたマスター」

 ガーターベルトは男の憧れ……まさに『キングオブ下着』なんだよ。

 それも脱いじまったか……

「?」

「……いやなんでもない」

「では……どうぞ……分泌量も充分です」

 そう言って俺に向かって両手を広げ、艶っぽく微笑むリイナ。

 ……まぁ事務的口調はいただけないが……セクサロイドとのセックスなんてこんなもんなんだろうな。

 ◆

 いそいそと革ツナギを脱ぎ、アンダーシャツもパンツも脱ぎ捨てた。

「では……いただきます」

 俺は両手を広げて迎えるリイナを静かに抱きしめた。

「どうぞ召し上がれ♡ マスター……」

「俺も臨戦態勢整ってるからな」

「マスター……なかなかに想定外な大きさですが……」

「え? 無理?」

「大丈夫です。どの様なサイズにも適応できるのが当社のセクサロイドですから♡」

 顔を真っ赤に染めながらリイナが答える。

 反応は可愛いが、言葉のチョイスよ。

「じゃあ……」

 腰を進め、リイナの秘部へ侵入を試みる。確かに分泌量は充分のようだ。

「あ……♡」

「いくよ」

 少し進んだところで少し抵抗があり、リイナの表情が苦痛に歪む。

「痛いのか?」

「初めてのご使用……なので……『ヴァージンモード』が……起動しており……ます……んっ♡」

 初めてのご使用とかいうな。言葉のチョイスよ。

「なんかごめんね」

「どうぞ……そのまま……ご挿入ください……っ!」

 リイナの求めるまま、そのままゆっくりと突き入れる。

「おっ……くっ♡ まで……きましたっ♡」

 うん。到達してるな。子宮口らしき箇所に先っちょがキスしちまってるよな。

「『ヴァージンモード』のくせに、こんなに膣が動くのかよ。エロいやつだな」

「初めての♡ ご使用でも♡ っはぁ♡ ……お楽しみいただ……け♡ ますように……んんっ♡♡」

「ごめん説明はいいわ。楽しもう」

 冷凍睡眠前の俺がどうだったかは知らないが、少なくとも冷凍睡眠後の俺は童貞だからな。それどころじゃなかったし。そうは持たないだろう。

「はい♡ どうぞっ♡ ……もっと早くっ♡♡ つ……突いてください♡♡ ま……せ♡♡」

「あぁ」

 速度を早める。これはヤバいわ。なんだこの包み込まれる感。

 初めての挿入なのに、既に俺のモノを覚えたかのように形を合わせ包み込んでくる。

「そこ♡♡ おっ……おくぅ♡♡ か……感じます♡♡」

 そうか奥が良いのか。

 子宮口らしき箇所を何度もノックする。

 リイナは両手を俺の背中に回し、急激に締め上げる。もっと密着を求めるように。

「あ……♡♡ なんか意識が……と……ぶ……♡♡♡」

 嬌声と呼吸が少し静かになり、途切れ途切れながらもリイナが呟いた。

「だ大丈夫か?」

「大丈夫……ですぅ♡♡ ……あ♡♡ あっ♡♡ これ……き……来ますっ♡♡♡」

 再び喘ぎ声が激しくなり、両足を俺の腰に巻きつけながら唇を求めるリイナ。

「マスタぁ♡♡ キ……キスして……ください……♡♡」

 俺はそんな仕草とセリフがたまらなく愛らしくなり、リイナの唇に吸い付き、舌を絡ませる。

「んちゅ♡♡ んふぅ♡♡ きしゅ♡♡ きしゅが……♡♡ きもひいいれしゅ♡♡」

 キスしながら無理に喋るな。

「気を……気をやって……も……よろしい……で……しょうか♡♡♡ ンはぁ♡♡♡」

 徐々に背を仰け反らせるリイナ。

「良いよ……イっちまえよ」

「いっ……いっき……イっきます♡♡……イクッ♡♡……イクっ♡♡……イッ……グぅぅぅ〜〜♡♡♡」

 両手両足を俺に巻きつけたまま、目一杯身体を仰け反らせる。

 ……やがて力尽きたようにリイナの背中が簡易ベッドに沈む。

 しがみついていた両手両足もベッド上に投げ出されぐったりしている。

 あれ……俺まだイってないんだが……もうダウン?

 ……取り敢えず、続けてもいいか?

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