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8.運良くアニメ化、しかし突然のフラッシュバック。

last update Last Updated: 2025-11-08 12:53:37

出版社のブースで気落ちしながらダメ出しをくらっていたら、

急に辺り一面が光って、異世界の皇子ライオット・レオハードに憑依した。

ライトノベルをひたすらに書く毎日を送ってたせいか、俺は異世界に転生したとすぐ判断した。

あの時の俺はラノベ作家として成功することしか考えてなくて、ひたすらに異世界の情報を集めた。

しっかりとモデルがいるから魅力的な登場人物が書ける気がした。

兵士達は不幸皇子ライオットに気を遣って言いづらそうにしていたが、6歳の弟に乗り換えた強欲美女エレナ・アーデンが気になって仕方なかった。

ライオットが皇帝と踊り子の子なのに対し、弟は皇帝と皇后の子で血筋が良いらしい。

次期皇帝になるのは弟のアラン・レオハードだということで、ライオットと婚約するはずだったエレナ・アーデンは弟に乗り換えたということだった。

一時的な記憶喪失を装い、とにかくエレナ・アーデンを中心とする人物の詳細を集めた。

女性不信を最高に極めていた俺は彼女を徹底的に悪として書くことにした。

俺の知っている女の強かさやズルさを詰め込んでやろうと思った。

物語の中で思いっきり破滅させてやることで、俺を傷つけた女という存在そのものに復讐してやろうと思った。

そして俺は俺を捨てた女を思いっきり破滅させる小説『赤い獅子』を書いた。

『赤い獅子』はヒットしたものの書いていたときは必死だった。

とにかくお金が欲しくて、生活のために書いた。

今思うと、笑い1つない苦しい展開の続くシリアスな話。

その話がヒットしたのは運だった。

寝食忘れて、ライオットに憑依した時の情報から『赤い獅子』を書き上げた。

すぐに、出版社に持ち込んで編集者に俺はこの物語のスゴさを熱弁した。

「おー熱いのがいるなー!」

そこに現れた高そうな時計をしたおじさんが俺の運命を変えた。

彼はメディア界のフィクサーと呼ばれる男だった。

「エレナ・アーデンいいな!好きだよ、こういう女」

彼はさらっと俺の原稿を読むとそう呟いた。

あっという間に本の出版とアニメ化まで決定した
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