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神様、願いを叶えて 1

last update Date de publication: 2025-04-23 13:50:37
 もうすぐ七夕だね。律はなにを願うのかな。 保育園の頃は、七夕になると毎年短冊にお願い事を書いていたよね。あの頃の律の願い事は、〝サッカーが上手になりますように〟だった。 きっと、その願い事は叶ったんじゃないかな。 キョウは確か、〝お腹いっぱい肉が食べたい〟だったっけ。あいつらしくて笑える。 私の願い事は、あの頃から変わってないんだよ。恥ずかしいから、今は簡単に言えないけど。 いつか、叶う時が来るといいな。

 * * *

 月曜日、ありさと一緒に登校すると、早々と朝練を終わりにしたらしいキョウが四組の前にいた。 彼が呼び出しているのは、やっぱり律だ。ありさと目配せして、私たちも彼らのもとに駆け寄る。「なんでこの間急に帰ったわけ? ちゃんとした理由があるなら言えよ」 怒っているというより、心配しているような口調で尋ねている。律は私たちと視線を合わそうとしないまま、覇気のない笑みを見せる。「ただの気まぐれだよ」「お前、そんなことする奴じゃなかっただろが」 いぶかしげに眉をひそめるキョウも、やっぱり私と同じことを思っているらしい。律があんなことをしたのには、きっとちゃんとした理由があるって。
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