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第643話

作者: 木憐青
芽衣はついに堪えきれず、涙があふれ出した。

両手で顔を覆い、嗚咽を漏らした。

その様子を見つめる静雄の目には、一瞬だけわずかな苛立ちが浮かんだ。

だが彼は小さくため息をつき、肩に手を置いて形ばかりに慰めた。

「もう泣くな。母さんはああいう人だ。気にするな」

どこか空虚な声だった。

芽衣は涙に濡れた瞳で彼を見上げた。

「......お母様は、やっぱり私のことが嫌いなんだよね?一生、受け入れてくれないの?」

静雄は答えられなかった。

母の芽衣に対する嫌悪は、もはや根深いものだ。

変わることは、おそらくない。

「考えすぎだ」

彼は視線を逸らしたまま言った。

「時間が証明してくれるから」

芽衣の瞳がすっと曇った。

それが慰めではなく、ただの先送りだと分かってしまったからだ。

静雄は何も解決する気などない。

静雄は再び窓の外へと視線を戻し、その目は深く、どこか遠い。

そして、ほとんど聞き取れないほど小さく呟いた。

「今の深雪は......確かに変わったな......」

その声音には、わずかな賞賛と、拭えない未練が混じっていた。

夜は更け、病院の廊下は静ま
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