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第1029話

Auteur: レイシ大好き
だが加津也を退院まで世話すれば、もう一筆報酬が入る。

それだけが、この介護士がここまで我慢している理由だった。

それがなければ、とっくに心が折れていた。

どれくらい時間が経ったのか、

ようやく加津也はぼんやりと頷き、理解したように見せた。

それを見て、介護士はしぶしぶ口を開いた。

「それじゃあ。先に食事をどうぞ。食べ終わったら、私が片づけますから」

そう言い残して、彼女は自分の仕事へと戻っていった。

金のためだ、我慢できる。

ただ気性の荒い患者を相手にしてるだけ。

それだけのこと。

「大丈夫、大丈夫......お金さえもらえれば何でもない」

彼女は自分にそう言い聞かせ、心を落ち着かせた。

結局、人を一番動かすのは金だ。

一方、加津也は料理を二口ほど食べたところで、もう箸が止まった。

この数日、病院のベッドに縛りつけられ、体を動かすこともできない。

当然、食欲も湧かない。

初芽が一度も顔を見せないことを思い出すたび、胸の奥が締めつけられる。

それなのに、彼女は介護士に自分の好物を作らせている。

これは、どういう意味だ?

彼の瞳が徐々に陰を帯び、とうとう我慢できずにスマホを手に取った。

画面に残っているのは、彼が初芽に「看病に来てくれ」と送ったままのメッセージ。

その日以降、何日も連絡を控えていた。

「甘やかしすぎたから、あいつが図に乗ってるんだ」と思っていたのだ。

だが、今は違う。

彼女は自分を覚えていて、自分の好きな料理を用意させた。

そう思うと、胸の奥が温かくなった。

勝手に疑っていた自分が、急に恥ずかしくなる。

通話ボタンを押すと、「プルルル......」という音が、やけに長く感じられた。

一秒ごとに、心臓を握り潰されるような焦燥。

「着信音ってこんなに長かったっけ......?」と、妙なことまで考えてしまう。

ようやく電話がつながる。

少し疲れたような声が聞こえた。

「......どうしたの?」

加津也は一瞬言葉に詰まった。

昼間なのに、どうしてそんなに疲れてるんだ?

「邪魔だったか?」

初芽は一瞬、驚いて画面を見つめた。

確かに、表示された名前は「加津也」。

あの傲慢な男が、こんな殊勝なことを言うなんて。

珍しいこともあるもんだ。

思わず笑いが漏れた。

「ううん、別に。加津也
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