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第1036話

Penulis: レイシ大好き
初芽は、彼に寄り添うように甘える姿を見て、胸の奥がじんわりと温かくなった。

背中をそっと彼に預けると、ふたりの体がぴたりと重なり、柔らかな空気が部屋の中に満ちていく。

澄んだ声で、彼女はまっすぐに言った。

「もちろんよ。もう考えたわ。これからは伊吹と一緒に歩いていくって、決めたの。

決めたからには、もう簡単に変えたりしないから」

その言葉に、伊吹の心は一気に弾けるように高鳴った。

彼は抑えきれずに身をかがめ、初芽の桜色の唇に軽く口づけを落とす。

「ああ。俺は、必ずお前を大切にするよ。これからどこへ行こうと、必ず一緒に連れて行く」

初芽も真剣な表情でうなずいた。

「うん、信じてるよ。伊吹と一緒にいて、初めて『幸せ』ってものを感じられたの」

顔を上げると、その透き通るような瞳が真っすぐに彼を見つめた。

もともと清楚な顔立ちの彼女が、そんなふうに見つめてくるものだから、伊吹の胸の奥がとろけるように熱くなる。

ふたりの距離は、もはや身体だけのものではなかった。

心の距離までも、すっかり重なっていた。

その頃、ふたりの甘い時間とは裏腹に、加津也の胸中は荒れに荒れていた。

電話を一本かけさえすれば、初芽はきっと機嫌を直す。

そう信じていた。

欲しいものがあれば、何だって買ってやるつもりだった。

なのに、まさか電話すら出ないとは思いもしなかった。

謝る言葉も全部、頭の中で用意していたというのに。

黒いスマホの画面を見つめるうちに、加津也の表情はみるみる険しくなっていく。

ゆっくりと手に力がこもり、歯ぎしり混じりに呟いた。

「いい度胸だな。電話まで無視するとは。

初芽、覚えてろ」

その眼差しは鋭く光り、ハンドルを握る指にも力がこもる。

次々と信号を無視しながら、黒い車がまるで黒い稲妻のように街を駆け抜けた。

彼の目的はただひとつ。

初芽の仕事場へ行くこと。

彼女が本当にそこにいるのか、確かめるために。

だが、たどり着いたその場所を見て、思わず足が止まった。

......小さい。

以前よりも、明らかに規模が縮小している。

たった数日、病院にいた間に、一体何が起こったというのか。

まるで世界そのものが変わってしまったかのようだった。

中に入ると、見慣れた顔もほとんどいない。

知らないスタッフばかり。

どういうことだ
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