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第1100話

Author: レイシ大好き
加津也がそんなふうに思い悶々としている一方で、紗雪はまだ何も知らなかった。

吉岡はアポを取ると、その足で紗雪のオフィスへ向かい、状況を報告した。

紗雪はぱっと笑みを浮かべる。

「よくやった。明日、あなたも一緒に来て」

彼女はこのプロジェクトに関わり始めたばかりで、吉岡ほど詳しくない。

だから意見を聞きながら進めた方が安心だ。

二重の保険になる。

吉岡も意欲満々だ。

「お任せください。こういう仕事は慣れてますし、横でしっかりサポートします」

紗雪は軽く頷く。

「ええ。信頼してるわ」

「柿本社長は......ちょっと特殊な趣味のある年寄りだから。対症療法でいけばいい」

吉岡が恐る恐る口を挟む。

「じゃあ、やっぱり『あれ』を送る、ってことですか?」

紗雪は即座に鋭い目を向けた。

「『あれ』って?私、いつそんな言い方した?」

吉岡は瞬時に凍りつく。

「でも彼の趣味に合わせるとなると、そういう意味に......」

紗雪はすっと立ち上がった。

「私の言いたいのは、『利益』って言葉から逃れられる人はいないってこと。

どんな考えを持っていようと、十分な利益を積めば、態度は変わるわ」

吉岡は目を輝かせる。

なるほど、そういうことか。

「すみません......私の浅慮でした」

「構わないよ。人はつい、相手の癖に合わせようと考えがちなのだからね」

紗雪は迷いなく続ける。

「でもそれじゃ、周りの連中と何も変わらない。商売人なら、商売人のやり方で勝負するのよ」

吉岡は深く頷く。

こんな考えを持つ人が、この業界にまだいるなんて。

俗っぽい手段に頼らず、理念と利益を両立させようとする──

そんな人間は稀だ。

彼は胸の内で強く思った。

今回は本当に、正しい人間についてきたのだと。

昔の上司たちは、目的のためなら手段を選ばなかった。

だが、紗雪は違った。

本心を失わず、そして必要なときには鋭さもある。

きっと、遠くまで行くだろう。

商業界の道で。

紗雪は資料をまとめ、退勤の準備を始めた。

「もう遅いわ。あなたも片付けて帰りなさい。明日の午前、資料を揃えて一緒に行きましょう」

吉岡は真剣な顔で頷く。

「はい、わかりました」

紗雪は優しい表情で、彼の肩を軽く叩いた。

「吉岡がいてくれると、安心できるわ。

ずっと私のそ
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