Beranda / 恋愛 / コムハニーゾンビ / 4、アバンスプリズン

Share

4、アバンスプリズン

Penulis: kgn_neko
last update Tanggal publikasi: 2026-09-03 07:13:11

ガシャン!と無慈悲に響いた鍵の閉まる施錠音。

特殊な手錠をされ、私が連れて行かれた先は、カビ臭い、小さなボロ部屋だった。

「今日から、ココがお前の部屋だ。食事は一日二回。食屍鬼のお前にもコムハニーが出る。」

感謝することだな。と、嘲るように呟く看守の男。

当然のごとく、看守の男は人間じゃないし、えげつないほど獣臭い。

犬の獣人らしいが、風呂入ってんのか、コイツ。

心中で悪態を着くものの、食屍鬼の非力な女では太刀打ちなぞ出来るはずもなく。

無慈悲に部屋にぶち込まれて、ドアを閉められた。

救いなのは、私が“囚人”じゃないってことだけ。

私の今いるこの場所は、いわゆる『監獄』。

コムハニー中毒の中でも、特に素行の悪いヤツらが集まる場所。

厳密には監獄と言っていいのかは怪しいけれど……されど中の様子を見れば、そうだと言われても仕方がない。

逆にそれが正しいまである。

“アバンスプリズン”

そう呼ばれるこの場所は、一応、本当に一応説明すると、更生施設らしい。

私が働いていた、あの吸血鬼の屋敷が位置する国は、連邦系の国だという話をどこかでしたと思う。

あの臭い看守が言うには、ここは、そんな国の軍人や、やらかしたコムハニー中毒者が、社会復帰を目指す場所、だそうです。

プリズンとか付いてる時点で、更生出来るかは、お察しって感じなんだけど。

「………。」

ぶち込まれた薄暗い部屋を見渡しながら、私は掃除をするでもなく、とりあえずベッドを探した。

もう、今日一日で散々嘲られ、馬鹿にされ、挙句の果てには、ここで娼婦としてやっていけと。

未だ、自分に突き付けられたこの事実が受け止めきれない。

一度寝て、現実逃避がしたいと、ベッドと思わしきものを探したのだが……。

「うぇ……まさか、これがベッド……?」

ようやっと、シーツと思わしきモノを見つけたと思いきや、それは、乱雑に床に敷かれた布切れ達。

しかも湿気てるし、イカ臭ぇ……。

私が来る前に、この部屋にいた娼婦が、体躯のデカイ女だったらしい。

自分の体躯と合った男とヤるワケだから、その衝撃を逃すためか、何枚も何枚も布切れが敷かれている……。

てか、臭いどころか、ロクに洗濯もしてないらしく、布がカビてる……。

「オェ……」

ゲロ吐きそう……。

男と女の体液が染み込んだ、大量の布。

寝転がれたもんじゃねえ。

私は、敷き詰められた布の内、比較的端っこの方にあったものを一枚だけ手に取って、臭いを嗅ぐ。

「まあまあ臭いけど……これならいけそう。」

端っこにあったおかげか、湿気や体液という難から逃れていた布があった。

ずるずるとそれを引っ張り出し、部屋の隅っこで、布に潜って丸くなる。

幸いにも体が小さいおかげで、布一枚ですっぽりと全身覆われてくれた。

が、問題がひとつ。

「さむ……。」

時期がそろそろ冬という季節。

布一枚では、流石に寒かった。

それを裏付けるように、私は現在、下着姿。

アバンスプリズンで娼婦として働けと言われ、ここへ放り込まれる際に、メイド服は剥ぎ取られた。

娼婦だからと、最低限、渡された下着は、ドピンクのブラとパンツだけ。

見目の悪い食屍鬼の娼婦なんぞ、誰も買いやしないと看守からは散々バカにされた。

せめて乳と尻が大きければ良かったのに、私にはそれすらない。

この監獄では、チビでツルペタのドブス。

それが私。

最悪なのは、ここには私を選ばなくても、美人な娼婦なんぞ、ごまんといる。

囚人に気に入られれば、食い扶持にだって困らないだろうな。

「……。」

これからやってくる生活を予期して、私はモニカの言葉を思い出す。

“食屍鬼の赤子なんざ、せいぜい成長しても“ランクの低い雑兵”さね。しかも女だ、屋敷でメイドするしか道はないだろうさ。”

こんな環境に放り込まれたからこそ分かる、彼女の言葉の重み。

今までがどれだけ恵まれていたかを、私は改めて思い知る。

「モニカ……。」

戻ってくるはずのない彼女の名前を呟き、私はぎゅっと目をつぶって、震えながら明日を待った。

■■

なぜ私が、アバンスプリズンと呼ばれる一種の監獄に、囚人ではなく、娼婦として収監されたのか。

ある種、囚人じゃないのはモニカのおかげでもあった。

__ ただ。

収監前、ハッキリと覚えているのは、雨ざらしの中、モニカが血まみれで倒れてたことくらい。

あの吸血鬼がやらかした、コムハニー横領の一件だが、随分前から、政府に目を付けられていたらしい。

そもそも、屋敷の主が悪食で有名だった以上、いつかはやらかすとお偉いさん達は、目敏く見ていたらしい。

バレたのが、あの日だっただけ。

告発する準備自体は、いつでも出来てたようだ。

馬車で屋敷に着いた時には、既に政府の犬達……つまり、コムハニーを摂取した軍人達により、包囲網が固められていた。

あの吸血鬼、素直にお縄に着いてりゃ良いものを、自分の地位と富を奪われたくないと抵抗しやがった。

コムハニーを摂取してる吸血鬼ともなれば、そりゃ魔法とかのファンタジーなものも使えるワケで。

捕まりたくないと、血を使った魔法で、本気で暴れ狂う吸血鬼に、それを制圧しようと動くコムハニー中毒の軍人達。

当然、周りは巻き添えを喰らい、屋敷に着いた時点で、何人かは死んでたと思う。

比喩でもなんでもなく、マジで血を流して動かない人間が、何人かいた。

異世界でも、元の世界でも、生まれてこの方、複数の死体を目の当たりにしたことなんて、一度もない。

ソレらを見た当時は、頭が真っ白になって、馬車を降りた時点で呆然と立ち尽くしていた。

だが、モニカだけは違った。

「アンタ!、早くこっちに来な!」

そう叫んで、棒立ちになっていた私を手を引っ張り、走り出す。

この混乱に乗じて、上手く屋敷の裏口に周り、自分達の部屋から、金目のものを引っ張り出すと、その場から逃げようとしたのだ。

「もうこの屋敷はお終いだ!、さっさと金目のもん引っ張り出して、ズラかるよ!!」

「も、モニカ…!、だ、大丈夫なのかな…」

モニカはそう言って、私の手を引いてくれる。

だが、ここで逃げたらあの吸血鬼共の関係者として、指名手配されるんじゃないか。

そんな不安が一瞬でも過ぎってしまい、私は立ちすくんでしまう。

しかし、モニカは「このバカ!!」と、情けない私の胸ぐらを掴み前を向くよう、怒鳴ってくる。

「旦那様と兵隊さんが本気出して、暴れ回ってる以上、こっちが死んでも、向こうは必要な犠牲だったで片付けられちまう!!」

「…!」

「分かるかい?!文字通り、死体になってもこっちが大損こくだけで、周りは何もしちゃくれないのさ!!」

そう、私達二人は単なるハウスメイド。

しかも、横領を働いていた屋敷で働いていた人間と食屍鬼であり、無関係なのに、関係者として見られている。

お偉いさん達からしてみれば、一介のハウスメイド達が、あの吸血鬼の仕事を知らないのは百も承知だろう。

だが、吸血鬼の屋敷で働いてる以上、知らなかったとしても、結局は“同罪”なのだ。

「も、モニカ……」

「しっかりおし!!誰も助けちゃくれないんだ、自分の足で立って走りな!!」

「わ、分かった…はしる…っ」

必死で頷き、モニカに手を引かれながら、私は走り出す。

じわりと涙の幕が、瞳を覆う感覚がした。

今になって、戦いや、死とは無縁の現代で生きてきた人間だからこその価値観が出てしまった。

この異世界で最初から生きてるモニカからしてみれば、指名手配だとか、そんな先のこと気にしてられない。

だって、逃げ遅れたら死ぬんだから。

モニカに言われて初めてここは、私の価値感が通用しない異世界なんだと気付かされた。

だから、二人で必死になって屋敷から逃げた。

走って走って屋敷から離れて、もう屋敷が見えなくなった頃合いで、目に付いたボロい安宿に滑り込んだ。

モニカに、何とか一番安い部屋を取ってもらって、ようやっと落ち着いた。

バタン、とドアを閉めて、しっかりと鍵もかける。

「はぁ、はぁ……ッ」

木造の安い部屋は、ギシギシと音を立てて、隙間風も酷い。

なのに、部屋と言うだけで酷く安堵した。

「はぁ…ッたく、夢が遠のくどころか、これじゃまたゼロから全部やり直しさね。」

ガン!と行儀悪くドアを蹴るモニカだが、その顔には疲れと行き場のない複雑な感情が混じっていた。

「こ、これからどうする……?」

不安げに視線を彷徨わせ、私はモニカに縋る。

今はモニカしか頼れる人間がいない。

自分一人ではどうすることも出来ない以上、モニカに何か言われないと、動くことすらままならない。

「どうするもこうするも、新しい職場見つけて潜伏するしかないだろう。あの騒ぎだからね、逃げ出した連中が何人かいたのを見た。」

「他の人達?」

「ああ、恐らく向こうも新しい奉公先を探すしか道はないだろう。逃げても金がなきゃ生きていけないからね。」

「そ、そっか……。」

だとするなら、確実にあの屋敷で働いていたという身分は伏せなきゃいけないだろうな。

モニカまだ大丈夫だとして、私が働ける場所って、どこかあるかな……?

助け合って生きていくからには、お荷物にはなれない。

仕事先どうしよう…?と、頭の中でうんうん唸っていると、不意に目の前に何かが差し出された。

チャリン!と音を立てて眼前に出されたのは、小さな鍵だった。

青い猫のチャームが付けられた何かの鍵。

「これ、アンタが持ってな。あの屋敷に置いてきたものの中で、アンタ個人が“使えるモノ”が入った箱がある。」

「え、こ、これは…?」

「騒ぎが落ち着いてきた頃合に、取りに行くと良い。」

それ以上は何も聞くなと、彼女は話を切り上げてしまった。

「明日は朝一番に宿を移動するし、仕事も探さなきゃならないから、今日はもう寝るよ。」

「あ、う、うん…。」

「とはいえ、走り回って気持ち悪いからね。体くらい拭いとくか。」

亭主から水桶とタオルを貰ってくると、モニカは一度部屋を出て行った。

その日は、あまり眠れなかった。

体を身綺麗にして、シングルのベッドで体を寄せ合って眠ったけれど、どうしても不安が拭えない。

されど、時間は回る。

翌日から、私とモニカは屋敷から更に離れた安宿を転々として回った。

幸いにも、私の部屋とモニカの部屋から持ってきた貴重品と、金のおかげで暫くは大丈夫そうだ。

だが、モタモタとしてられないのも事実。

どうせ働くなら、国内で、屋敷から最も遠く離れた場所がいいと、一日宿に泊まるごとに、移動を繰り返していった。

やがて、逃亡から一週間が経つ頃。

モニカから、そろそろ屋敷にブツを取りに行ってもいいかもしれないと、許可を受けた。

「良いかい、アタシは日雇いで職を探してみる。アンタ、馬には乗れるね?」

「え、ああ……一応……」

この五年の月日の中で、主人を乗せた馬車を動かしたり、馬を使って荷物を移動させるような仕事もやってきた。

なので、乗馬自体は出来る。

すると、モニカは馬を手配してやるから、屋敷までブツを取ってこいと。

彼女はその間、馬を借りた代金のマイナス分を補うために、日雇いで仕事を探すと言い、現在滞在している街の地図を広げた。

そして、地図の一点を指し示し、今日泊まる安宿の前で待ち合わせだと、私とモニカは一旦二手に別れることに。

「入れなさそうなら、すぐに手網引いて戻ってきな。くれぐれも無理はすんじゃないよ。」

「分かった…!」

「あ、あともうひとつ。」

「何…?」

街から引っ張ってきた馬に乗り、手網を確認していると、モニカがふと暗示をかけるように呟いた。

「もし目的の箱が見つかったら、その場で開けてすぐに『使いな』。持って帰ってくるんじゃないよ。」

「……?、わ、分かった。その場で使えばいいの?」

「ああ、間違っても人目には絶対に晒すんじゃないよ。」

やけに気迫のある表情でそう言われ、私はこくこくと何度も頷く。

モニカは私にきちんと約束させると、吸血鬼が住んでいた屋敷に急ぐよう、馬の尻を叩いた。

移動手段が馬になった分、屋敷には早朝から出発して、昼過ぎには着くことが出来た。

屋敷近くに馬を置いて、ヒソヒソと人目を避けて目的地に向かう。

しかしながら、到着した時、私はどういう顔をしたらいいか分からなかった。

屋敷は見る影もなく、半壊していたから。

かつてそこに建っていた、不気味ながらも厳かで豪奢な雰囲気を放つ場所だったそこは、今や廃墟も同然だ。

屋敷は形だけ何とか保っているが、直に全て崩れ落ちるだろう。

手入れされていた庭はボッコボコ。

噴水があった場所なんか、何をどうしたらそうなるのか、えぐり取られて水たまりがポツンとあるだけ。

屋敷の壁には至る所に穴が空いていて、窓は全部割れている。

もはや、人が住めるような住居じゃなくなっていた。

それに伴い、当然そこには家主の吸血鬼も、軍人達もいなくなっていて。

誰の気配もない、ただただ不気味な廃屋といった面持ちだった。

「……。」

だが、人がいないとなれば、返って都合がいい。

何の気配もないことを確認した私は、そろそろと屋敷の裏口へと回った。

これでもかと挙動不審に周りを見渡し、屋敷に滑り込むと、ボロボロになった床をすり足で歩きながら、モニカの部屋を目指した。

部屋に辿り着くと、鍵の壊れたドアをギィ…と静かに開き、キョロキョロと目的のモノを探す。

多分、モニカの物言い的に、隠していたのは何となく分かる。

どこだろうか…と、衣装クローゼットや、ドレッサーの周り、ベッドの下などを探してみる。

やがて、ベッド下の床の一部分に、ある違和感を見つけた。

爪を引っ掛けて力を込めると、パキっと音を立てて床の一部が外れた。

「……これだ。」

床下には、モニカの言う通り、小さなジュエリーボックスが入っていた。

鍵穴部分のデザインが、青い猫になっていて、一目で持たされた鍵と対になっていると分かる。

なくさないよう、首にかけていた鍵を取り出し、鍵穴に差し込んで回してみる。

ガチャ、と小さな音を立てて、ジュエリーボックスはすぐに開封された。

「……!!」

ここで、ようやくモニカが、なぜ箱の中身をその場で使えと言ったか、理由が分かった。

中には、少しの金と、布に包まれた小さな包み。

そして、コムハニーが入っていた。

琥珀色に輝く液体と、蜂の巣と思わしきミツロウ。

一口サイズのモノが二つか三つくらい、小瓶の中に詰められていた。

密かに、モニカはコムハニーをほんの少しだけ隠し持っていたようだ。

それがどんな目的であれ、今こうして役に立っている以上、使わない手はない。

瓶を開け、私はコムハニーを口に運ぶ。

確か、モニカからの情報によれば、一度人外化すれば、コムハニーを摂取することで、力を得られるとの話だったが……。

「……食屍鬼が食べても、そこまで強くはならないのかな……。」

甘ったるいハチミツの味。

しかし物凄く美味い。

絡みつくような甘い味なのに、舌に乗るとわたあめみたいにスっと馴染んで、喉の奥に消えていく。

ミツロウに関しても、パキパキと歯ごたえがよく、そういうお菓子を食べているようだった。

あっという間にコムハニーを食べ終えると、私は小瓶をその場に捨て、残りのものが入ったジュエリーボックスを持って、その場を後にした。

この分だと、帰るのは深夜になりそうだと、馬に乗り込みながらそう思う。

手網を握り、モニカのいた街にひた走る。

早く帰らないと。

モニカが待ってる。

早く、早く、と気が急くままに、馬を走らせる。

馬も私の心情を悟ってか、息切れを起こしながらも何とか日を跨ぐ前に、街まで走り抜いてくれた。

街の入口に着いてすぐ、雨まで降り出して来たので、早く帰って来れて良かった。

あとは、モニカと待ち合わせをしている宿まで走るのみ。

馬から降りて、手網を引っ張り、小走りで宿まで急いだ。

「………?」

ふと、待ち合わせをしている宿の近くに、何か黒いものが落ちているのが見えた。

夜遅い上に、雨も降っているので暗くて何があるのか分からない。

だけれど、近付く度に、何か不吉な予感がした。

「……ぁ」

一歩一歩、歩を進めるうちに、気付いてしまった。

ソレは、落ちているんじゃない。

“倒れてるんだ。”

人、人が、倒れてる。

握っていた手網から、力が抜ける。

「……も、もにか……?」

目視でも確認出来るくらいの距離に来た時。

あれ。と、頭が真っ白になった。

倒れてるのは女。

見知った体躯、見知った顔。

ただ一つ違うのは、彼女の四肢が切断されて、無惨に地面に放り出されていたこと。

当然、切断された部位からは大量の血が流れていて。

「も、もにか」

脳が理解することを拒んでいる。

確実だと分かっていても、違う人であって欲しいと願っている。

ばちゃばちゃと、水の音を立てて、私は四肢がない彼女の所にしゃがみこむ。

「…ね、ねぇ……」

モニカの首を支え、震える声で彼女を優しく揺り動かす。

もう、手遅れだと言うことは無意識に悟っていた。

でも、私の脳は、こんな状況で、まだモニカが何か答えてくれると思ってる。

分かっているくせに、何も理解出来なかった。

「……、……」

「!、もにか……?」

ところが、不意にモニカの唇が微かに動いた。

虚ろな瞳も、私の方を向いている。

これからどうすればいいと、最後まで私はモニカに縋り付き、彼女の口元に耳を寄せた。

“ごめん、ヘマした。”

“馬を借りた時に、情報が漏れてた。”

“旦那様の野郎が、使用人を囮にしてまだ生きてた。”

“先にほっぽって逃げた私達を狙ってる。早く逃げて。”

“部屋に、お金、置いてあるから……生きて…早く…”

最後に、モニカは今日泊まる予定だった部屋を目で指し示すと、がくん、と力なく首を項垂れた。

呆気なく事切れた彼女を抱きしめながら、私はボロボロと涙をこぼし、カタカタと体を震わせる。

「に、逃げるって…どうしたらいいの、どこに逃げればいいの……わ、分からないよ………」

いっそ、彼女を私と同じ食屍鬼にしてしまえたら。

だけれど、そうしたとて、それはもう彼女であって彼女じゃない。

モニカは食屍鬼になることを拒んでいたし、仮に食屍鬼になったとしても、私のように知能を持って器用に生きられるかも分からない。

モニカに関しては、もう……。

__ 諦めるしかないんだ。

「でも、どうしたらいいの……わかんない……ぐす……」

これから、どう生きて行けばいいの。

私は、どうしたらいいの。

そればっかりが頭を占めて、モニカが残した大事な呟きすらすっかりと忘れていた。

「おやおや、まだ一匹残っていたか。主人を放って逃げる薄情者が。」

「!?」

その低い声に、ハッと顔を上げれば、いつの間にか眼前に、あの吸血鬼が立っていた。

そうだ、モニカが言っていた。

あの吸血鬼、結局その場の使用人を囮にして、軍人達の包囲網から逃げ仰せたのだと。

「やれやれ。モニカ、この女はヤケに我が強かったからな。主人の寵愛も、私からの誘いも、仕事でなければ全て断るような女だった。」

「…お、お前……」

姿を表したソイツは、かつての、悪食ながらも上品な吸血鬼と呼べるような見目はしていなかった。

もはや、執念なのだろう。

自分が堕ちるなら、周りの人間諸共巻き添えにするつもりらしい。

血走った目に、ぐしゃぐしゃの髪、ボロボロのコートと、擦り切れたブーツ。

更に異常なのは、服や顔に飛び散ったような血の痕。

コイツも逃げて、どこかで生活していたのなら、人間か動物の血を吸って生きていたのだろうか。

考えたくもない。

「フッ…よりにもよって、共に逃げた相手が食屍鬼とはな。使えない駒と逃げたものだ、女の食屍鬼に何が出来る。」

「……ッ!」

声が出せない。

モニカは、私は、どうなる。

こんなヤツの手によって、私は異世界でも死ぬのか……?

だって、だって、元はと言えば、コイツのせいでこうなってるのに、こんなクズの八つ当たりでまた死ぬの……?

最後まで私に役立つ知恵と、身の安全を保証してくれたモニカを殺され、何にも出来ない食屍鬼《役立たず》のまま……。

「ひ……」

「ふむ……だが、そうだな…お前はもしかすると、その女に唆されて逃げたのかも知れん。」

「……は……?」

突然出てきた、突拍子もない吸血鬼の言葉に、私は喉から絞り出すような声が漏れる。

「お前にチャンスをやろう、食屍鬼。もし私と来るのなら、殺さずに傍らに置いてやる。ただし、追っ手が来たら、真っ先に私を守ること。それが条件だ。」

「な、何言ってんの……?」

「交渉だよ、ここでそこの女のように殺されるか、それとも私と来るか。」

__ お前は食屍鬼の中でも知能があるんだ、どちらが賢い選択か、分かるはずだろう?

どうやら、吸血鬼はもう正気ではないらしい。

声こそ平静を装っているが、どちらを選んだとて、沈むのが遅いか早いかの泥舟だ。

吸血鬼自体は、どう足掻いても取り返しの付かない行いをしている。

故に、ついて行く選択をしても、どうせ捕まるのが関の山。

追っ手が来た時の時間稼ぎがしたいがために、私を囮に使わせろと言うことなのだろう。

そんな見え見えの罠に引っかかるほど、私の知能は低くない。

「あ、アンタおかしいよ…ッ!!、どうせ私死ぬじゃん!!、なんでモニカを殺してから言うんだよ!!モニカを返してよ!!そしたら、囮にでもなんでも……ッ!!?」

バツン。

突然そんな音と共に、力が抜け、だらりと体が軽くなった。

同時に、ぐらりと体がバランスを崩し、ベシャッ!と血が混じった水たまりに顔からダイブする。

「がぼっ!?」

え、え、なにこれ、上手く動けない…!

なんで、どうして急に……

顔と体をバタバタと動かし、ようやっと仰向けに反転させる頃には、自分がどうなったかを嫌でも理解させられた。

モニカと同じ。

四肢を切断されたんだ。

ヒュッ、と喉から変な呼吸音が漏れ、自体を理解すると同時に、とてつもない痛みが体を突っ走っていく。

「ごッ……ぁ゙!!ぁ、あ゙!!」

あまりの痛みに、声すらまともにあげられない。

叫ぶことすらままならない。

「残念だよ、そこ売女に感化されたか、イカれた小娘が。まさか恩を仇で返されるとはな。」

ひゅー、ひゅー、と危ない呼吸音の中で、聞こえるのは吸血鬼の冷たく低い声。

売女とモニカを罵り、果てには頼んでもない押し付けられた恩を仇で返されたと宣う吸血鬼。

なんでだよ、元はと言えばお前のせいだろ。

国で管理されてるコムハニーを横領して、ヤバいことに使おうとするから。

全部お前のせいじゃないか!!

お前が馬鹿なことやらなきゃ、今頃……!!

「かっ……!!」

モニカ……!!

「……?、……なッ!?」

「…こ、のッ、クソ吸血鬼がぁッ!!!覚えてろ!!絶対にぃ!!ぶち殺してやるからなぁッ!!!」

爆発した怒りは、痛みすら押しのけ、あらん限りの怒声を撒き散らす。

何かのエンジンが入ったような勢いの中で、最後に視界に映ったのは、束になった細長いモノが、吸血鬼の体を貫く瞬間だった。

Lanjutkan membaca buku ini secara gratis
Pindai kode untuk mengunduh Aplikasi

Bab terbaru

  • コムハニーゾンビ   8、メルト

    その日の夕食の終わり頃。 朝の間に、オッサンから、次の夕食時に約束のものを持ってくると言われた。 だが、人が多いとモノを渡す時に見られて面倒なので、人が空いて来てからにしろと言伝を預かっている。 囚人や娼婦が夕食を食べ終わるのを待ってから、私は意気揚々とコムハニーカウンターに向かった。 私が来ると、オッサンは約束通り、くちゃくちゃの紙袋に包まれたモノを渡してくる。 「おお、あんがとう。」 中を確認すると、ヨウシュナシが三つ。 頼んでおいた通りのものだ。 オッサンは、嬉しそうにモノ受け取る私を見て、顎に手を置いている。 「ひとつ聞きてえんだが、お前、舌腐ってんのか。」 「そんなワケねーだろ。」 確かに腐ってるけども、味覚までは腐ってねーぞ。 藪から棒に失礼なことを言われ、私は半ギレで言い返す。 「食えたもんじゃなかったぞ、ソレ。確かに銅貨一枚で買えたが、なんかクソほど苦かったし。」 「えっ、わざわざ買ったの?」 まさか本当に買って食ったのか、コレ。 「買ったよ。」 なんか悪いか。と堂々とした態度を崩さないオッサンを見て、私はあー…と視線を逸らす。 「いやまさか、本当に買うと思わなくて…。」 「まあ、十中八九、食い方があるんだろうなとは思ったよ。」 舌の上がまだ痺れてる感覚がする…と、呻き声をあげるオッサン。 「ああ。これ、果肉食えないんだよ。中の果汁だけ吸い出すんだ。」 紙袋からヨウシュナシを一個取り出す。 刃物がないので、ブチ!っとヘタの部分を無理矢理手で引きちぎり、飲み口となる部分を雑に作成。 飲み方を実演した。 「ナルホド。キモイと思ってた部分が、まさかストロー代わりになるとは思わなんだ。」 「それは謝罪料としてやるよ。じゃーな。」 紙袋にあったヨウシュナシの一個は、オッサンの手間賃と謝罪料としてやると、私はその場を後にする。 紙袋を手に携えながら、ルンルン気分で部屋に戻り、早速ヨウシュナシを飲もうとした。 ドンドンドンドン!! 「いるんでしょ、食屍鬼!!出て来なさいよ!!」 しかし、ここで思わぬ事態。 聞き知ったクソビッチのキンキン声がすると、私はうんざりした。 紙袋を布団にしている布の中に隠し、私は立ち上がる。 ここで無視しても、結局部屋を開けてきやがるので、意味がないのだ。 鍵をかけ

  • コムハニーゾンビ   7、思わぬ収穫

    あれから一週間後。 今の私の手元には、ピンキー野郎の服と、銅貨が二十枚ちょっとある。 一週間、皿洗いで、みっっちりと働いた。 そして、なぜこんなにも単価が安いのか、働いていく内に分かった。 魔法だ。 ここの囚人には、当たり前のように魔法が使える術が備わっている。 ピンキー野郎から、レモンとかいうクソビッチに至るまで、みんな魔法が使える。 だから、皿洗いに関しても、あの量を片付けるのなんて、基本的な水の魔法を使えば簡単なのだ。 足元を見てたわけじゃなくて、それだけ簡単だから、単価が安いのである。 そうとは知らない私は、一週間、一枚一枚泡まみれになって皿を片付けていた。 周りのヤツらには、お前魔法すら使えねえのかよ!とバカにされまくったが、めげずに一週間通い続けた。 おかげで風呂に入れなかった分、皮肉にも泡まみれになったことで、ちょっとだけ体は綺麗になった。 で、今現在。 その成果が、目の前にあるわけだが。 「銅貨二十枚ありゃ、パンは買えるけど、一日二食分買ってたら一瞬で底が尽きるよな……。」 そう、食べ物を買うにしても、仕事一週間に対して、二、三日そこら辺の食事しか買えないことを思うと、コスパが悪いこと悪いこと。 うーん…一回で何食分か持つ方法はないものか……。 「…なんか甘い物食べたいな。」 色々、小さい脳みそを使って考えはしたが、まずは一週間頑張ったし…と、もう無駄使いの方向性へ傾いてる。 でも、買いたいものは、ケーキとかクッキーとかのお菓子ではなく、実は例のヨウシュナシ。 あれは行く店によっては、銅貨一枚で買える。 モニカと行っていた八百屋では、少なくとも銅貨一枚あったら、丸々一個買えてた。 だから、この銅貨があれば、少なくとも二十個近いヨウシュナシが手に入る。 「一個くらい良いだろ…頑張ったし。」 甘ったれた自分の意思に抗いが付けられず、結局私は懐に銅貨が入った袋を持って、食堂に出かけた。 目指す先は、コムハニーカウンターのオッサン。

  • コムハニーゾンビ   6、仕事

    「痛っ……」 ブツ、と皮膚がガラス片で裂かれる感触と同時に、スウッと数秒でなくなっていく切り傷。 やはり、コムハニーの能力で得た力は本物らしい。 こうして、その辺に落ちてたガラス片で皮膚を裂いても数秒の内に元通りになる。 ただ、一つだけ気になったことがある。 「……貧血かな…。」 そう、多分、再生させること自体に、『血』そのものが必要になってくるんじゃ?ということ。 なんでかって言うと、私はコムハニーの能力を確かめるために、さっきまで痛みを我慢して、自分を傷つけまくってた。 地雷系娘のように、めっちゃリスカして、めっちゃ再生させてた。 一度、四肢を切断というか、体を八つ裂きにされた身なので、皮膚をちょっと切るくらいなんだという倫理観になってきてる。 その弊がいか、なんか、貧血の時に来る体調不良が自分に襲いかかってきていた。 頭のモヤモヤ、めまい、体が怠いだとか。 あと、座ってるのに、重心が安定しなくてフラフラする。 ちょっとモロな話、生理の時とかにくる貧血の症状とよく似てるのだ。 今の私は食屍鬼なので、そういうのはないんだけど、元の世界にいた時は、それを幾度となく体験してきた。 なので、多分再生させるごとに、私の体は血を消費して、皮膚を作っているのではないか…? と、こんな見解に至ったのだ。 「…でも…この分だと、何回か怪我したら自動的に血を使って再生するわけだから、すぐに貧血になるな……。」 やっぱ、そこら辺の性能は、失敗作と言われる食屍鬼とだけある。 さっきボコられた時と、今の自傷回数的に、大きな怪我を一つしたらすぐに貧血になると思う。 血があれば自動的に再生しちゃうから、この怪我の治癒、ちょっと待った!とかも出来ない。 「……。」 やっぱり図体がデカイ方が、持てる血の量も、その分多くなるよなぁ……。 うーん……。 自分の小ささにはメリットもあるし、デメリットもある。 ぶっちゃけ食屍鬼ってゾンビだし、生きてるモノの血を吸うだけなら何でも良かったりしないかな……。 「あの吸血鬼みたく、誰か血袋になってくれる便利なヤツとか、いないかな……。」 そんなことありえねーだろと思いつつ、部屋の隅で大の字に寝っ転がる。 あの吸血鬼は、モニカや他のメイド達を血袋兼、お世話係として雇っていた。 言い方は悪いが、私も同じ

  • コムハニーゾンビ   5、遭遇

    ドンドンドンドン!! ドンドンドンドン!! 「!?」 不意に嫌な夢を見て魘されていた所を、大音量のドアノックで叩き起された。 「おい、食屍鬼!まだ寝てんのかぁ!?」 この声は、恐らく昨日の臭い犬看守だな。 ボリボリと頭を掻きながら、ガチャ、とドアを開ければ、むわっと獣臭い嫌な臭い。 「ヴ……」 ちょっと嘔吐きそうになるのを、気合いで誤魔化し、何の用だと不細工な面して、看守を見上げた。 「おお、良い朝だな。ほらよ、返してやるよ。コレ。」 犬の看守は、ポイッと私に何かを放り投げてくる。 それが何かを確認する間に、 「さってと〜、レモンちゃんのとこにでも行くかな〜♡」 と、看守はキモイ声を上げてスタスタと行ってしまった。 お気に入りの娼婦のとこに行くついでに、“コレ”を届けに来たらしい。 私の手の中にあったのは、モニカのジュエリーボックス。 あの夜の後、私はどうやら、このアバンスプリズンに運ばれ、蘇生されたらしい。 否、蘇生というか…なんというか……。 あの犬看守から話を聞かされた所、私の記憶と相違があったのだ。 まず、あの吸血鬼について。 あの野郎は、件の雨の夜に既に死亡していたらしい。

  • コムハニーゾンビ   4、アバンスプリズン

    ガシャン!と無慈悲に響いた鍵の閉まる施錠音。 特殊な手錠をされ、私が連れて行かれた先は、カビ臭い、小さなボロ部屋だった。 「今日から、ココがお前の部屋だ。食事は一日二回。食屍鬼のお前にもコムハニーが出る。」 感謝することだな。と、嘲るように呟く看守の男。 当然のごとく、看守の男は人間じゃないし、えげつないほど獣臭い。 犬の獣人らしいが、風呂入ってんのか、コイツ。 心中で悪態を着くものの、食屍鬼の非力な女では太刀打ちなぞ出来るはずもなく。 無慈悲に部屋にぶち込まれて、ドアを閉められた。 救いなのは、私が“囚人”じゃないってことだけ。 私の今いるこの場所は、いわゆる『監獄』。 コムハニー中毒の中でも、特に素行の悪いヤツらが集まる場所。 厳密には監獄と言っていいのかは怪しいけれど……されど中の様子を見れば、そうだと言われても仕方がない。 逆にそれが正しいまである。 “アバンスプリズン” そう呼ばれるこの場所は、一応、本当に一応説明すると、更生施設らしい。 私が働いていた、あの吸血鬼の屋敷が位置する国は、連邦系の国だという話をどこかでしたと思う。 あの臭い看守が言うには、ここは、そんな国の軍人や、やらかしたコムハニー中毒者が、社会復帰を目指す場所、だそうです。 プリズンとか付いてる時点で、更生出来るかは、お察しって感じなんだけど。 「………。」 ぶち込まれた薄暗い部屋を見渡しながら、私は掃除をするでもなく、とりあえずベッドを探した。 もう、今日一日で散々嘲られ、馬鹿にされ、挙句の果てには、ここで娼婦としてやっていけと。 未だ、自分に突き付けられたこの事実が受け止めきれない。 一度寝て、現実逃避がしたいと、ベッドと思わしきものを探したのだが……。 「うぇ……まさか、これがベッド……?」 ようやっと、シーツと思わしきモノを見つけたと思いきや、それは、乱雑に床に敷かれた布切れ達。 しかも湿気てるし、イカ臭ぇ……。 私が来る前に、この部屋にいた娼婦が、体躯のデカイ女だったらしい。 自分の体躯と合った男とヤるワケだから、その衝撃を逃すためか、何枚も何枚も布切れが敷かれている……。 てか、臭いどころか、ロクに洗濯もしてないらしく、布がカビてる……。 「オェ……」 ゲロ

  • コムハニーゾンビ   3、不穏

    この世界へ転生してから五年。 まずいことになった。 何がダメって、あの吸血鬼野郎、どうやら違法なモノをこの土地で密輸しようとしていたらしい。 私もモニカから話を聞いたから、未だに事情が飲み込めてない。 だが、仕事の出張に見せかけて、実は秘密裏に何か別のモノを懐に収めようとしていたらしく、それが何らかの理由で外部に漏れたらしい。 なんか、今回の仕事相手が、吸血鬼に加担していたらしいが…。 荷物を運ぶ予定だった人間が、なぜか別の人間にすり変わっていたらしく、それが混乱を招き、外に情報が漏れたのだと。 そのため、国家権力を持つ人間達が、真っ先にそれを嗅ぎ付けてしまった。 あの吸血鬼や、それに噛んでいた連中を捕まえようと動き出しているらしく、私やモニカはバカンスを楽しむ前に、逃亡するハメに。 慌てて屋敷に帰って隠蔽工作をするべく、馬車に揺られている状態だった。 「ったく、面倒なことになっちまったもんだよ。」 馬車の外を眺め、ブツブツ文句を言ってるモニカ。 それもそのはずだ。 独立のための金を貯めてる最中に、金の発生源が厄介事に手を出していたなんて。 モニカからしてみれば、クソが!って感じだろうな。 「触らぬ神に祟りなしって思ってたけど…やっぱり、一定数知っておかなきゃならないこともあるもんだね。」 こうなるまで全く気付かなかった。 屋敷内や、屋敷外でも、あの吸血鬼の悪どい部分なんぞ、嫌という程聞いてきたから。 「“人間”から“吸血鬼”になって暇なのは分かるがね、限度ってもんがあるよ。」 「…?」 え、人間から、吸血鬼……? あの男、元から吸血鬼だった訳じゃないのか…? ここへ来て、異世界の新情報を耳にした。 この五年間、メイドの仕事に追われるばかりで、情報源は全部モニカからの話だった。 偏りが出てしまうのは仕方ない。 他の連中は、私が食屍鬼だからと、マトモに口を聞いてくれたこともないから。 「ねえ、モニカ…その、あの人って元から吸血鬼だったんじゃないの…?」 「はぁ?…ああ、そういや、アンタは元から食屍鬼だったんだか。」 一瞬、怪訝な顔になったものの、知らないのも無理はないと、モニカはため息混じりに説明を入れてくれた。 「旦那様は、厳密には元人間さ。『コムハニ

Bab Lainnya
Jelajahi dan baca novel bagus secara gratis
Akses gratis ke berbagai novel bagus di aplikasi GoodNovel. Unduh buku yang kamu suka dan baca di mana saja & kapan saja.
Baca buku gratis di Aplikasi
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status