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17-4.レイカ、いよいよ辻女ヴァンパイアーズを立ち上げる

last update Last Updated: 2025-06-07 18:00:43

 役場はとーに、みなさんご退庁されてるけど、見上げる円盤の中では、何かが蠢いてる。

「あたしらは町長をやっつけて、この歪んだ町にあのころの輝きをとりもどすんだ」

 ミワちゃんの「戦える格好」ってやばい。鉢巻にサイリューム3本差して、丑の刻参りみたい。しかも白装束って。

「ねー、ミワちゃん」

「なによ? こっち、気が立ってるから話しかけないで」

「やっぱチーム名決めとかなくちゃじゃない。ねー、ナナミ」

「うっさいな。どーでもいいしょ。名前なんて」

 まー、ミワちゃんのカッコがカッコだから、ナナミのスケ番姿は許すよ。

「だって、ウチの好きな『ヴァンパイア 最後の聖戦』って映画では、ヴァンパイア倒す人たちはチーム名あったから」

「おま、またそーいうこと言って。やっぱレイカ、オタクだろ」

「ちがうよナナミ。スリコギに誓って」

「は? 何に誓ってんだよ笑」

「どんなよ。イチオー言ってみ」

 ミワちゃんありがと。ミワちゃんはいつだってウチの味方だね。

「映画のは、チーム・クローっていうのだけど」

「くろーしそうな名前だから、却下」

「ミワちゃん、ちがくてね。ウチはもっとウチららしい名前をって」

「じゃあ、チーム・レイカでいいよ。基本、レイカに戦ってもらうんだから」

 そうなの? で、みんなは何すんの?

「ちょっと待って、それってヴァンパイア倒す側のチーム名じゃない?」

「ビンゴ! さすがナナミ。バチカンに雇われた人間のチーム名」

「ならダメだ。あたしらヴァンパイアの血筋だ。逆に、ヴァンパイアのほうは名前なかったの?」

「悪の軍団とかは?」

 ミワちゃん、それめちゃだっさい。

「ヴァンパイアのほうはヴァンパイアーズだった」

「いいよそれでいこ。ウチら向きだ」

「でも、まるパクリだと炎上する……」

「なら、辻女ヴァンパイアーズだ!」

 ミワちゃんさすが、辻女こそウチらのアイデンティティー。

辻女ヴァンパイアーズか。かっこいいなー。

「辻女ヴァンパイアーズ
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  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   17-4.レイカ、いよいよ辻女ヴァンパイアーズを立ち上げる

     役場はとーに、みなさんご退庁されてるけど、見上げる円盤の中では、何かが蠢いてる。「あたしらは町長をやっつけて、この歪んだ町にあのころの輝きをとりもどすんだ」 ミワちゃんの「戦える格好」ってやばい。鉢巻にサイリューム3本差して、丑の刻参りみたい。しかも白装束って。「ねー、ミワちゃん」「なによ? こっち、気が立ってるから話しかけないで」「やっぱチーム名決めとかなくちゃじゃない。ねー、ナナミ」「うっさいな。どーでもいいしょ。名前なんて」 まー、ミワちゃんのカッコがカッコだから、ナナミのスケ番姿は許すよ。「だって、ウチの好きな『ヴァンパイア 最後の聖戦』って映画では、ヴァンパイア倒す人たちはチーム名あったから」「おま、またそーいうこと言って。やっぱレイカ、オタクだろ」「ちがうよナナミ。スリコギに誓って」「は? 何に誓ってんだよ笑」「どんなよ。イチオー言ってみ」 ミワちゃんありがと。ミワちゃんはいつだってウチの味方だね。「映画のは、チーム・クローっていうのだけど」「くろーしそうな名前だから、却下」「ミワちゃん、ちがくてね。ウチはもっとウチららしい名前をって」「じゃあ、チーム・レイカでいいよ。基本、レイカに戦ってもらうんだから」 そうなの? で、みんなは何すんの?「ちょっと待って、それってヴァンパイア倒す側のチーム名じゃない?」「ビンゴ! さすがナナミ。バチカンに雇われた人間のチーム名」「ならダメだ。あたしらヴァンパイアの血筋だ。逆に、ヴァンパイアのほうは名前なかったの?」「悪の軍団とかは?」 ミワちゃん、それめちゃだっさい。「ヴァンパイアのほうはヴァンパイアーズだった」「いいよそれでいこ。ウチら向きだ」「でも、まるパクリだと炎上する……」「なら、辻女ヴァンパイアーズだ!」 ミワちゃんさすが、辻女こそウチらのアイデンティティー。辻女ヴァンパイアーズか。かっこいいなー。「辻女ヴァンパイアーズ

  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   17-3.レイカ、いよいよ辻女ヴァンパイアーズを立ち上げる

     メール来た。「第3回女子会のお知らせ。場所、町役場の駐車場。時間、8時半。参加者、女バス関係者全員(川田せんせーは除く)。備考、戦える格好をしてくること」 送信元はミワちゃんのアドレス。 月がぽってりとして明るい。バワオー! ってそれは人狼。さすがに違う。とりあえずTシャツにビブスとバスパンで来たけど、よかったのかな。カリンの紫キャベツ、役場の駐車場にぽつんと。脅かしてやろ。そーっと、ぬきあしさしあし。ウイィー。あ、気付いてた? セイラ。「遅いよ、レイカ。後ろ乗って」 みんなそろってるね。ちょっとゴメンね、も少しつめてくれる? ナナミ、ありがと。ガーバン。なんかギッチギチ。 ナナミの隣は、ミワちゃん。今までどこにいたの?「レイカ、おっす。元気してた?」 そーいう感じなんだ、今日のミワちゃんは。 よく分かんないけど、これから決戦なんだって。何と戦うの?「ココロとシオネの敵を討つ」 カリン、勇ましい。で、敵ってだれ?「町長」「えっと、ウチは聞いてないけど、みんな大丈夫そう?」「「「ウエーイ」」」 で、作戦会議。「町長が、運営の元締めだった」 そなんだ。「町長は蛭人間を操るヴァンパイア。かなり手ごわいと見た」 ありえるね。「そして『R』の『死霊の塔』ステージの最後が町長室。つまり町長がラスボス」「そこにヒマワリもいる」「ひょっとして、制服聖女エリって、ヒマワリのこと?」「その可能性が高い。確認できてないけど」 おー、ヌッパとビーチ姫。「ダブルチームを組んで、それぞれギジドーを目指す」 え? それだと一人あまるんだけど。ウチ、マネージャーだからまた放置プレー?「ミワとナナミ、ついでにレイカは東棟から」 了解。ついでにレイカって、なんだか。「ユサとウチは、西棟のジョーシツ寄ってから行く」 ジョーシツ? み

  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   17-2.レイカ、いよいよ辻女ヴァンパイアーズを立ち上げる

     高倉さんはゴリゴリするのはなんでか知ってます? ケッコー効き目あるっぽい。シオネやココロにも効いてた。「あれも、我々の激情を鎮静させる効果があります。ただし、山椒のスリコギでなければなりません。屍人もこれは同じです」 そうなの? でも、セイラはスマフォの音でも放してくれたって。「それは、その方たちに特別な繋がりがあるからです。屍人であっても大切な人のことは分かるのです」 そうなんだ。セイラとシオネ、気持ち繋がってたんだな。これ聞いたらカリンたちきっと喜ぶよ。なら、ココロはあの時どうしてカリンを放してくれなかったんだろ。「きっと、親に、つまりはその方を殺したヴァンパイアに操られていたのでしょう」え? 「親は屍人を支配し、自由に操りますから」 あの時カリンがココロの様子がいつもと違うって言ってたけど、それは蛭人間を怖がってじゃなくって、親のヴァンパイアに操られてたからなんだ。ひょっとして、普段出歩かないココロが窓口のウチに会いに来たのも。「レイカ様を見に来たのでしょう。親のヴァンパイアがその方の目を使って」 そうだったんだ。でもなんでウチなんかを。「そうそう、ミワ様はどうされてますか?」 ん? 急にミワちゃんの話。ミワちゃん、連絡付かないんです。「お母様とミワ様のことを、お話しておこうと思いまして。いえ、この間は、大変失礼なことを申しましたが、もしや誤解されているのではないかと思い、正しくお伝えせねばと」 高倉さんが話してくれたのは、ミワちゃんが何かの疑いを掛けられて、六辻家の筆頭ってことで辻王のうちに預りの身となっていたということだった。 詳しいことは高倉さんも知ってなくて、とにかく疑いが晴れるまでは、うちで生活をすることになっていた。 でもチッキョとかナンキンって感じではなかったんだって。二人は友だちのように仲良くしていたって、ママが殺された最後の日まで。あれ? ミワちゃん、ママが死ぬ少し前に出て行ったんじゃなかったっけ。 要するに、高倉さんは、ウチが居なくなったから、ミワちゃんを娘替わりに家に置いたわけではないってことが言いたかった

  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   17-1.レイカ、いよいよ辻女ヴァンパイアーズを立ち上げる

     ただいま。っても、返事あるわけないか。「お帰りなさいませ」 あれ? 今日、高倉さん来る日だったっけ。「特別にまいりました」 そうなんだ。「お昼はどうされましたか?」 お昼ご飯まだ食べてない。これから作るの大変だな。「店屋物でもとりましょうか」 それがいいです。そうしてください。「どんなものがよろしいですか?」 なんでもいいです。おいしければ。「お風呂、沸かしてありますから、待ってる間にいかがですか」 そうしよ。昨日の晩、入らなかったし。 気持ちよかったー。なんか久しぶりのお風呂って感じだった。てか、げっぷひどくなってきて風呂場でずっと変なおっさんたちの薀蓄聞かされてた。いつまでこれ続くんだろ。作左衛門さんは人に拠るって言ってたからな。 まったく、どいつの話もウィキペディア見れば分かるよーな内容バッカでうんざりだよ。  ん? このニオイは? イヤー、なんか和むねー。気分いーねー。おー、うな重だ!「おいしそーですね。これ頼んでいただいたんですか? お金払います」「いいえ、こういう時のためにと、前よりお母様から預かっておりましたので」ん? どぃうこと?「お母様はもしものことがあった時にと、レイカ様のために色々ご準備されていらっしゃいました」 織り込み済みってこと?  まいっか。まず食べよ。「さ、お召し上がりください」 おいしそー。いただきまーす。目の前の薬味入れは。クンクン。お、うちに山椒があるなんて。じゃあ、遠慮なく。山椒掛けてっと、また掛けてっと、もっと掛けてっと、まだまだ掛けてっと。「あの、かけすぎかと。山椒が山盛りになっていますが」 あ、ほんとだ。もうちょっとかけて。もうちょっと。んーいい匂い。「お食べになりませんですか? ずっとそうして鼻をお重につけていらして」 はーい。これでいい感じデズ。「しかたがないです。辻のヴァンパイアですから」 だよねー。山椒のこと

  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   16.ヒビキはプロジェクトの進捗を報告に行く

     何日ぶりかでカイシャ来てみたけど、あたしの机あった。なければないで清々したのかもしれないけど。で、なんであたしの机に足のっけてふんぞりかえってんだ、カワイ。「あ、ねーさん。カイシャ出てきていいんですか? 謹慎9月末までってもっぱらの噂ですけど」 それはすでに噂でもなんでもないだろ。うるさいからついて回るなって。あたしは厚生室の住人に用があるの。 いるかな? いたいた。北村シニアマネ。「ヒビキくん。よく来たね。進捗はどうだい」「大方は見えて来たんですけど、聞いてもらえますか?」 これまでに分かったことを障らない範囲で話してみた。北村シニアマネは聞き終わると、しばらくバランスボールでブーラブーラして、「さすがだね。そこまで分かったならどうしてここに?」「まだ宮司さんの奥さんのことが把めてないからです」「関連があるって思ってるんだ? 社長の案件と」「はい」「なぜだい?」「町長みたいな余所者が、400年続いたかれらのネットワークを勝手にできるとは思えないからです」「裏に誰かがいると」「多分、千福オーナーが」「なるほどね」「20年前に何かあったんじゃないかって」「私が、辻沢不動産を落とした時って言いたい?」「はい」「何故?」「3カ月では短すぎるからです。お師匠さんが教えたのなら『碁太平記白石噺』新吉原揚屋の段は3カ月ではあがらない」「何かあって、強制終了させられたと?」「そうです」「まあ、お稽古がどれくらいかかるかは教わる人に拠ると思うけれど、当たらずとも遠からずだよ。ヒビキくん、よく調べたね」 ここにガラ携の持ち主、調由香利が登場することになるとは思わなかった。レイカのママだ。 調由香利は知る人ぞ知る美人で、辻沢の男どもがこぞって言い寄っては振られていたのはよく知られた話。ところが北村シニアマネが千福オーナーのところでジョーロリを習ってたころ、何の前触れもなく身籠ったという噂が流れた。彼女をものにした幸せ者はいったい誰か、町の話題はそのことで持ちきりになっ

  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   15-6.レイカはメンバにヒビキと会いに行く

    ……。ゴリゴリゴリゴリ。どこ? ここ。なにこれカーテンかけられてる。やだ。ウチ、裸だ。誰? 誰なの? ウチのミサオを奪ったイケメンは?「レイカ」「カリン? 無事でよかった」ウチ皆殺しにしたと思った。またガマンできなくて。「ゴメンね。こんなところに閉じ込めて。でも分かって。ウチらあんたが怖い」檻? 地下室なの?カリン、寝たまんまって、起き上がれないんだね。無理もないね。セイラは? ゴマすってるのか。「ごめん。それやめてくれる?」「ゴマするの、やめてあげよ」「でも。この子あんなに」「いいよ。やられるんなら、夜のうちにやられてたから」ゴリ。「レイカは、昨日ね……」「悪いんだけど、何か着るものくれないかな」「あ、ごめん。ちょっと待ってて。車にあると思うから、取ってきてくれる?」セイラ、足もとフラフラ。扉開いててよかった。外は明るいんだね。ココロどうしたろ。「レイカ、寝たまんまでゴメンね。体力使い果たしちゃったみたい」セイラより吸われてたからね。セイラ戻ってきた。「車の中、これしかなかった」やっぱり『血塗られたJK』コスなんだ。あ、カレー☆パンマンの被り物はいいです(無声)。「昨日の夜のこと」「だいたいわかるけど。ココロは?」「そのことだけど。昨日の晩、レイカが怪物になった時、あ、ゴメン」「いいよ」どうしたってウチは怪物だよね。「辺りにいた蛭人間が全部、……アレに群がって、おっきな蛭人間団子になったんだけど」〈蜂球戦術という〉また? いーかげんにしろ、げっぷやろー。「アレは地下室の外までそいつらを引き摺って行ったんだ。そして、扉が閉まったら、しばらくしてすごい地響きがして」「うん」「収まったと思ったら、今度はアレが扉開いて降りてきて、ウチ正直終わったと思ったけど、そうじゃなかった」「&h

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