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第672話

Author: 落流蛍
店員はそれを聞くと、目を輝かせて笑顔になった。

「わかりました。少々お待ちください」

そう言いながら、何十本ものネクタイを一気に並べ、日奈の前に差し出した。

「こちらからお好きなものをお選びください。すぐにお包みいたします」

日奈は店員に返事をせず、代わりに華恋の方を向いた。

「華恋さん、気に入ったのはある?」

華恋は呆然とした。

これでようやく店員は華恋に目を向けた。

「この方は?」

名前には聞き覚えがあったが、顔を見てもどこの名家のお嬢様か思い出せなかった。

佳恵は華恋の腕を引っ張った。

「私が買ってあげるから。別の店に行こう」

華恋はまた呆然とした。

なんなの、この二人?

「あの」

華恋は口を開いた。

「お気持ちはありがたいけど、やっぱりプレゼントは自分で買うよ」

「だめ!」

二人は声を揃えて言った。

「私が買ってあげる!」

華恋は頭を抱えた。誰かが奪い合ってまで支払いたがるなんて、初めての経験だ。

店員も唖然として立ち尽くし、どうしていいかわからなかった。

華恋は言った。

「とりあえず落ち着いてよ」

「落ち着いてるわ」

また二人
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