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第495話

Author: Raisaa
セレーネはモルウェンナを見つめていた。その瞳には、もはや隠しきれない奇妙な違和感と警戒心が浮かんでおり、それは徐々に氷のような冷たさへと変わっていく。

モルウェンナは……まるで、正気を失っているかのようだった。

顔は青ざめているのに、その目は異常なほどギラギラと燃え盛っている。薪を焼き尽くし、今度は手当たり次第に残りの全てを呑み込もうとする炎のように。

間もなく結婚式を挙げるはずの女にも、常に完璧な体裁と自制心を保ってきた魔女にも見えなかった。今の彼女は、自分が公爵夫人の寝室にいることも、使用人や護衛たちが見ていることすらも忘れ果て、完全に理性のタガが外れた一人の狂人に過ぎなかった。

モルウェンナは、微塵も自制しようとしなかった。

「ディリアンはどこにいるの?」

彼女は繰り返す。先ほどよりも大きな声で。荒々しく、切迫したその声が、寝室の壁に鋭く反響した。

セレーネは目を細める。その眼差しの奥には、痛みと深い疲労感が入り混じっていた。彼女はすぐには答えず、目の前の光景――モルウェンナが本当にこの狂態で自分の前に立っているという事実が現実のものなのかを、必死に確かめようとして
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