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動き出すナニカ

Author: 一一
last update Last Updated: 2025-08-24 20:00:00
 今までレイ達の周りを泳ぐだけだった魔鮫スクアルス達が、一斉に襲い掛かって来る。

 通常、単独でしか行動しない魔鮫スクアルスが群れを成し、連携を用いてレイ達に迫っていた。

 確かに魔獣化すると魔法を使える様になる分、知能は上がると言われている。

 しかしその分凶暴性も増し、更に個体数も多くない事から、例外はあれど基本魔獣は群れを形成しない。

 特にレイ達の目の前に居る魔鮫スクアルスはその特徴が顕著で、複数体の同時目撃すら一切報告された事は無かった。

 そんな存在が10体以上、しかも全員が協力し1つの獲物を狙うというこの事態は明らかに異常であり……

「クソッ!」

 その厄介さはニイルでさえ顔を歪める程であった。

 故に瞬時に魔法障壁を展開する。

 直後魔鮫スクアルスの半数が全方向からから襲い掛かり、残りの半数がその隙間を埋める様に魔法を放つ。

 その魔法は水魔法によりヒレから水刃を打ち出すという物。

 水中で使う事により新たに水を生み出す必要も無く、威力も連射性能も高い。

 そんな無数の水刃が、水の抵抗など無視して4人へと迫る。

 よく見れば接近して来る魔鮫スクアルス達の背ビレや胸ビレも、魔力により薄く光り輝いていた。

 その魔鮫スクアルス達のヒレが、障壁にぶつかる。

 激しい音と共に海中が揺れ、魔鮫スクアルス達が距離を取った。

 しかし安心したのも束の間、その隙を埋める様に更に水刃が4人へと迫る。

「装填!」

 そこでレイが魔法装填で雷魔法を剣に宿す。

 レイの剣が青白く輝き、周囲に稲妻の弾ける音が響き渡る。

 それは数年前と比べ洗練され、威力も上がり魔力の拡散も極限まで減らされていたが……

「チッ!」

 水刃を弾いた際、正確に言えば周囲を覆う海水に触れた途端、雷となった魔力が海水を伝って流れ出してしまう。

「水中では雷が広がりやすくなる為威力が落ちてしまいます!別の魔法で対応を!」

「なら!」

 ニイルの助言に従い雷魔法を解除、先程魔鮫スクアルスが使っていた水刃を生み出す水魔法を剣に込める。

 そしてそれを振れば切先のみならず、剣の左右からも水刃が現れ、合計三本の水刃が海中を走り魔鮫スクアルス達の魔法を弾き飛ばしていく。

神威賦与ギフトで瞬時に解析し魔法を真似たばかり
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