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第7話

Auteur: 匿名
彼女の顔には、はっきりと後悔が浮かんでいた。

八年の間で、初めてのことだった。

けれど俺には、もう必要のないものだった。

「もう戻れないんだ、莉央」

何度も拒まれ、何度も置き去りにされるうちに、俺たちの愛はとっくに形を失っていた。そこには深い亀裂が、いくつも刻まれていた。

割れた鏡が元に戻らないように、感情だって同じだ。

「莉央、お前は、手放せないものにいつまでもしがみつくような人間じゃないだろ。俺は明日出ていく。最後くらい、きれいに別れよう」

行き先を告げるつもりはなかった。

俺は強引に彼女の手を振りほどき、ゲストルームに入った。

ドアの外から、押し殺した泣き声が聞こえてくる。

彼女は小さな声で「もう一度だけ私を見てほしい」と懇願していた。

俺はドアにもたれ、胸の奥にじわじわと苦い痛みが広がっていくのを感じていた。

彼女がもっと早く後悔してくれていたら、俺たちはここまで来ずに済んだのかもしれない。

けれど、この世に「もしも」なんてものは存在しない。

たとえやり直せたとしても、人は置かれた状況が変われば、そのときどきで違う選択をするものだ。

翌朝早く、ドア
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    「違うの。私はただ、蓮を友達だと思っていただけ。あのときは、彼に支えてくれる人が必要だったから」莉央は青ざめた顔でそう言いかけ、すぐに口をつぐんだ。そばにいる蓮こそが、何よりの証拠だった。彼女にはもう、言い返すことなどできなかった。俺は目を閉じ、そのまま外へ向かった。過去の記憶はあまりにも痛い。思い出さないことが、いちばんの救いだった。翌日、俺は朝一番の便でその街を離れた。莉央は俺に連絡を取ろうとしていたが、蓮が騒ぎを起こした。彼はこの件の経緯をネットに晒し、莉央には怒涛のような非難が向けられた。その中には、俺を責める声も少なくなかった。一部の人間にとって、彼らは幼なじみで、最初から結ばれるべき二人だった。俺こそが、ずっと二人の間に割り込んでいた邪魔者らしい。あの頃、俺こそが正真正銘の恋人だったことなど、誰も気にしなかった。ずっと傷つけられていたのが俺だったことも、誰一人気にしなかった。友人たちは腹を立て、いくつも釈明文を出してくれた。けれど、ほとんど反響はなかった。俺はあまり気にしなかった。必死に仕事をやり遂げてから、ようやく気持ちを整え、スマホのカメラを自分に向けた。「多くの方が、俺に説明を求めているようです。ですが、俺に何を説明しろというのでしょうか。俺が莉央と付き合い始めたのは、彼女と蓮が離れた後です。その後、蓮が戻ってきて彼女を捜し、二人はまた離れられなくなりました。俺は八年間、彼女を愛し、八年間、耐えました。十八回プロポーズして、そのすべてを断られました。俺にできることは、もう十分やったと思っています」言い終える頃には、全身から力が抜けていた。俺はソファに倒れ込み、そのまま眠りに落ちた。莉央は真っ先にその動画のコメント欄に現れた。彼女は、蓮とはただの友達だと言い張り、俺とやり直したいだけだと訴えていた。だが、親切なネットユーザーたちが蓮の投稿を掘り出した。そこには、二人が甘く抱き合う写真や、同じ部屋で過ごしている様子が残っていた。ただの友達が、そんなことをするはずがない。莉央は炎上した。それは、蓮の望んでいた展開とは違っていた。だから次に彼らの消息を知ったとき、蓮はビルの屋上に立ち、莉央に結婚を迫っていた。莉央が承諾しなければ、飛び

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