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12.誘拐犯

last update Date de publication: 2026-01-07 14:00:36

「痛っ、手を離してください。貴方、大河内セイさんですよね」

桃山優斗が困惑した表情をしているが、私も混乱していた。

「誘拐犯に名乗る名などない!」

セイさんがキッパリと言い放った言葉に桃山優斗がもげそうなくらい首を振った。

「違います。誤解です。冴島寧々子さんと僕は恋人同士でして」

「そうか、人違いをしたのか、あと三秒で立ち去るなら許してやろう。この女性は冴島寧々子という方ではない。俺の妻だ!」

「いや、そんなはずないですよね。あの、僕の事テレビで見たことありませんか?」

「あと、三秒で立ち去らないと、誘拐未遂犯としてテレビで見ることになるかもしれないな。手を離した瞬間から、カウントするぞ。一、二、三⋯⋯」

「ヒィー」

桃山優斗はつんのめりながら、逃げ行った。

「あの⋯⋯セイさん、ありがとうございます」

彼が昼間の時間にここを歩いているなんて珍しいが、そんな事はどうでも良い。

機転を利かせてくれて、私と幸子のピンチを救ってくれた。

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