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第124話

作者: るるね
last update 公開日: 2026-05-05 03:03:48

 乾いた音が、唐突に室内へ響き渡った。

 次の瞬間、陽菜の思考は完全に途切れる。何が起きたのか理解できず、少なくとも一分ほどは、ただ呆然とその場に立ち尽くしていた。

 鷹宮の母は手加減などしていなかった。鈍い痛みがすぐに左頬から広がり、じわじわと顔全体へと侵食していく。目には当たっていないはずなのに、まるで眼球の奥まで痛みが届いているかのようだった。

 鷹宮もまた、一瞬遅れて我に返った。

 その顔からは血の気が引いている。言葉すらまともに出てこないまま、慌てて陽菜のもとへ駆け寄り、両肩を強く抱き寄せた。そのまま自分の胸の中へと引き込み、守るように覆い隠す。

 頬の痕を確かめたあと、鷹宮は顔を上げ、母親を鋭く睨みつけた。

「何を……しているんだ……!」

 その問いに対して、母はまったく悪びれる様子もなかった。

「何? 息子をたぶらかした女よ? 母親として叩いて何が悪いの?」

 むしろ、息子が自分を責めるような視線を向けたことが気に入らないのか、その怒りはさらに強くなっていく。

 そして、その矛先は再び陽菜へと向けられた。

「こんな女さえいなければ、私があれほど大切に育てた息子が、こんな
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