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第390話

Author: 北野 艾
その答えに、悠人は心底面食らった。

篠宮賢といえば、理性の塊のような男だ。だからこそ、篠宮家は彼に官僚の道を歩ませたのではなかったか。

そんな男に「一目惚れ」などという情緒的な現象が起こるなんて、悠人の常識では考えられないことだった。

それに篠宮家は、将来の嫁候補に対するハードルが異常に高い。賢自身の理想も相当なものだ。

悠人は思わず尋ねた。「賢さんを一目惚れさせるなんて、よっぽど優秀な女性なんでしょうね」

「ああ、そうだ」賢は迷いなく断言した。「彼女は、とても優秀だよ」

悠人の好奇心はいよいよ爆発寸前だ。「だから誰なんですか、教えてくださいよ」

しかし賢は、「まだ時期じゃない」と頑として口を割らなかった。

正直なところ、自分が詩織を射止められるかどうかは未知数だ。そんな段階で一方的な好意を公言すれば、彼女に不要な迷惑をかけてしまうかもしれない。だから今は、胸の内に秘めておくことを選んだ。

もし、いつか本当に彼女の心を掴むことができたなら――その時は全世界に向けて、彼女こそが自分のパートナーだと高らかに宣言するつもりだ。

悠人はいくら粘っても賢の口を割らせられず、詮
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