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第530話

作者: 北野 艾
ところが太一は、そんな基本すら理解していなかったらしい。あろうことか、手持ちの株式すべてを一度に放出したのだ!

つまり、これをもって『衆厳メディカル』と宇田川家との関係は完全に切れたことになる。

こうなってしまっては、もう彼の幸運を祈るしかあるまい。

詩織には、太一の行く末を案じている余裕などなかった。いよいよ、大学院入試の本番だ。

試験当日の朝、詩織はいつもより早起きをして、江ノ本大学へと車を走らせた。

まさか四年ぶりにキャンパスへ戻ることになるとは。感慨深いものがある。

彼女は正門の前で記念に一枚写真を撮り、山奥でドラマのロケ中だという親友のミキへ送信した。【試験頑張ってくるね】

【奇遇だね!私の今回の役、ちょうど「学問の神様」にお仕えする巫女の役なのよ。ご利益たっぷりだから、絶対合格させてあげる!】

【それは心強いわ。神様のご利益にあやかろうかな】

【詩織!もっと自分を信じなさいよ!あんた、昔『エイジア』で馬車馬みたいに働きながら、涼しい顔で学年トップと全額免除奨学金をかっさらっていった天才じゃない!】

【ビリも取ったことあるけどね】

ミキから白目を剥いたス
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