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第589話

Auteur: 北野 艾
場所はG市で開催されているゲーム開発者カンファレンス、『G-Dev Summit』の会場。

新作ゲーム『クロニクル・オブ・アビス』の出展に来ていた彼女に、声をかけたのは、業界の黒幕・高坂響太朗だった。

「おめでとう。上場、決まりそうだ」

雑踏の中でさらりと告げられたインサイダー情報に、詩織は目を見張る。

「それと、この『アビス』……素晴らしい出来だ。業界もざわついている」高坂は、会場の熱気を帯びたブースを見渡し、満足げに微笑んだ。

開発者会議が終わる頃には、『クロニクル・オブ・アビス』はゲーマーたちが選ぶ「最も期待する神話RPG」の首位を獲得していた。

高揚感と共に開発チームの高遠誠たちと会場を出ると、高坂の秘書が入り口で待機していた。

詩織は誠に後を任せ、秘書のもとへ歩み寄る。「高坂さんからですか?」

「はい。食事の席をご用意しております」

案内されたのは、隠れ家的なレストランだった。店に入った瞬間、奥のテーブルから小さな人影が立ち上がり、嬉しそうに手を振り返した。

「やっぱり。そろそろお家へ伺おうと思っていたんです。小春ちゃんも一緒だと思いました」

詩織は席に
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