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第751話

Auteur: 北野 艾
部屋に沈黙が落ちてしばらくした後、序は再び口を開いた。今度は別の名で。「菫(すみれ)」

その瞬間、ベッドの上の女が跳ね起きた。

「はいっ!」反射的に大きな声で答える。

焦点の合わなかった瞳が、ゆっくりと目前の男を捉えた。

序が白衣を着ていないからだろうか、彼女の纏っていた警戒心が幾分か解けたようだ。

すがるような目で、救いを求めてきた。「お願い、ここから出して!私は狂ってなんかないの!無理やり連れてこられただけなのよ!私の婚約者はお金持ちだから、助けてくれたらお礼は十分にするわ!」

序は無表情のまま、冷徹な事実を告げた。「ここはもう精神病院じゃない」

「でも、さっき注射された!」

志帆は怯えきった小動物のように身を縮こまらせた。その目には恐怖がありありと浮かんでいる。

「あれは鎮静剤だ。お前を落ち着かせるためのもので、幻覚剤じゃない」

「じゃあ、ここはどこ?」

「本港市だ」

彼女は混乱した頭を必死に働かせ、再び懇願した。「お願い、私のフィアンセに連絡して!迎えに来てほしいの、家に帰りたい!」

「彼が待ってるのよ。私にプロポーズするつもりなの」

「すっごく高価
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Commentaires (1)
goodnovel comment avatar
中村 由美
柏木志帆の再登場!?何故?この兄妹と何が?志帆が詩織を殺そうとして柊也が身代わりになり、復縁なのか?でも、やっぱり心音ちゃんの親権が安定してからだな。
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