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第3話

Penulis: 南野一枝
「涼音、結花は不整脈だと診断されたんだ。いつ意識を失ってもおかしくない!

こんな時に、どうしてお前まで体調を崩すんだよ」

「嘘じゃない。本当に……」

最後まで言う前に電話を切られた。

耳に残る無機質な音に、喉の奥までこみ上げてきた血の味が重なった。

引き裂かれるような痛みに耐えながら、震える指で配車アプリを開いた。

救急外来に着くと、私は受付で意識を失った。

次に目を覚ました時には、もう深夜だった。

「ひどい胃出血でした。あと30分遅かったら、命に関わっていましたよ」

担当医は、厳しい顔で点滴を交換した。

「ご家族は?手続きに来てくれる方もいないんですか」

青白い手の甲を見つめた。点滴の針の周りが紫色に腫れていた。

「家族はいません」

乾いた喉でそう答え、スマホを手に取った。

事務所のグループLINEには、ひっきりなしに新しいメッセージが流れていた。

きっかけは結花の投稿だった。

【来週の披露宴で、颯斗が私にもウェディングドレスを着せて、先に入場させてくれるんだって。私の夢をかなえてくれるって!】

同僚たちは口々にはやし立てていた。

【結花さんだからそこまでしてもらえるんだね。颯斗先生、甘やかしすぎ!】

【涼音先生は心が広いから、きっと気にしないよ】

画面の目に刺さるような文字を見ても、心はもう、少しも動かなかった。

グループの通知を切り、スマホをベッドサイドテーブルへ放り出した。

その時、病室のドアが勢いよく開いた。

颯斗が大股で入ってきて、結花もその後ろに続いていた。

紙のように青白い私の顔を見た瞬間、颯斗の目にわずかな気まずさがよぎった。

「仮病で俺を呼び戻そうとしているのかと思った。本当に入院していたんだな。

悪かった」

結花は目を赤くして言った。

「涼音さん、颯斗を責めないでください。

私が無理を言って、検査が終わるまで付き添ってもらったせいなんです。そうでなければ、すぐ涼音さんのところへ来られたはずで……

怒っているなら、私を叱ってください。ご自分の体を痛めつけるようなことはしないで」

私は枕に寄りかかったまま、彼女が芝居を終えるまで黙って見ていた。

「大丈夫。怒っていないから」

颯斗は思い出したように話を続けた。

「そうだ。結花は昔から体が弱くて、ウェディングドレスを着るのがずっと夢だったんだ。

来週の披露宴では、まず結花に花嫁役でバージンロードを歩いてもらう。そのあとで、お前が着替えて出てくればいい」

彼は私の髪に触れようとし、なだめるような声で言った。

「お前はそういう形なんて気にしないだろ。長い付き合いの結花に、一度くらい夢をかなえさせてやってくれ」

私は顔をそむけ、その手を避けた。

「あなたの好きにすればいいわ。

でも颯斗。本当に来週、あなたの隣に立つ花嫁は私なの?」

颯斗は眉間にしわを寄せた。

「何を馬鹿なことを言っているんだ。

もうすぐ俺たちの披露宴だぞ。嬉しくないのか?」

私は笑った。

「ええ、楽しみよ。あなたのために、とっておきのサプライズも用意しているから」

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