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第301話

Autor: marimo
last update Fecha de publicación: 2026-09-28 20:18:41

「まずは、昨夜の報告を」

そう言い、玲司はスーツの内ポケットから一枚の書類を取り出した。

昨夜、一ノ瀬生命科学総合研究所から受け取ったばかりのDNA鑑定書だった。

玲司は余計な説明をせず、それを正隆の前に広げて置いた。

正隆は静かに書類を手に取る。

そして、まず隣に座る和真の顔を見た。

和真は何も言わず、小さく頷いた。

その仕草だけで、正隆には十分だった。

正隆はゆっくりと鑑定結果へ視線を落とした。

一行。

また一行。

文字を追ううちに、その表情からわずかな緊張が消えていく。

昨夜まで、この件がどう転ぶのかは誰にも分からなかった。

もし、和真と康太の間に親子関係が認められていたら――。

心春は、どれほど傷ついただろう。

夫を信じていた心春にとって、それは単なるDNA鑑定の結果では済まない。

夫婦の間に深い亀裂を残す可能性すらあった。

正隆はそのことを考えながら、書類から目を離せなかった。

隣に座った和真には、その鑑定結果を見た正隆が、小さく息を吐くのがわかった。

それは安堵の息だった。

正隆はしばらく黙っていたが、やがて顔を上げ、玲司の顔を見る。

「心春が傷つくことにならずに済んで、
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  • 不仲と噂された財閥夫婦ですが、今夜も愛されています   第301話

    「まずは、昨夜の報告を」そう言い、玲司はスーツの内ポケットから一枚の書類を取り出した。昨夜、一ノ瀬生命科学総合研究所から受け取ったばかりのDNA鑑定書だった。玲司は余計な説明をせず、それを正隆の前に広げて置いた。正隆は静かに書類を手に取る。そして、まず隣に座る和真の顔を見た。和真は何も言わず、小さく頷いた。その仕草だけで、正隆には十分だった。正隆はゆっくりと鑑定結果へ視線を落とした。一行。また一行。文字を追ううちに、その表情からわずかな緊張が消えていく。昨夜まで、この件がどう転ぶのかは誰にも分からなかった。もし、和真と康太の間に親子関係が認められていたら――。心春は、どれほど傷ついただろう。夫を信じていた心春にとって、それは単なるDNA鑑定の結果では済まない。夫婦の間に深い亀裂を残す可能性すらあった。正隆はそのことを考えながら、書類から目を離せなかった。隣に座った和真には、その鑑定結果を見た正隆が、小さく息を吐くのがわかった。それは安堵の息だった。正隆はしばらく黙っていたが、やがて顔を上げ、玲司の顔を見る。「心春が傷つくことにならずに済んで、良かった」短い言葉だった。だが、その声には孫娘を案じる祖父としての思いが滲んでいた。玲司も静かに頷く。そして、和真の顔を見た。和真は二人の視線を受け止めると、深く頭を下げた。「お二人には、ご心配をお掛けして申し訳ありませんでした」和真自身も、昨夜から何度も考えていた。自分に非があるわけではない。それでも、心春がこの問題に巻き込まれたことへの責任は感じていた。ましてや、鷹宮家に婿として入っている自分が、家族を不安にさせた。その思いが、頭を下げる和真の胸に重く残っている。玲司はそんな和真を一瞬見つめると、正隆へ視線を戻した。「……そして、もう一つあります」そう言って、玲司はスーツの胸ポケットから、もう一つ書類を取り出した。先ほどのものより、明らかに分厚い。正隆はその厚みに目を留めた。「……?」玲司は何も言わず、丁寧に書類を開いた。そして、正隆の前に広げて置く。正隆も眉をひそめながら、それを手に取った。最初のページ。続いて次のページ。そこに並ぶ数字や記録に目を通していくうちに、正隆の表情が変わっていった。先ほどまでの安堵が消える。眉間に深い皺

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