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第66話

Author: marimo
last update publish date: 2026-03-14 20:05:14

 九条玲司と綾乃は、昨夜、初めて本物の夫婦になった。

 長い時間をかけて、すれ違い、遠回りをしてきた二人だった。

 同じ屋根の下で暮らしていても、心の距離は遠かった。

 けれど昨夜――

 ようやく、その距離が静かに埋まった。

 やっと愛を確かめ合うことができた。

 言葉だけでは足りなかった想いが、

 触れ合う温度の中で、少しずつ形になっていった夜だった。

 綾乃は玲司の愛の深さを、初めて知り、玲司に全てを預けることができた。

 それは突然の感情ではなかった。

 長く抑えられていたものが、ようやくほどけたような感覚だった。

 これまで見えなかったもの。

 気づかなかったもの。

 玲司がどれほど自分を想っていたのか。

 それを、ようやく知った。

 心も体も。

 すべてを預けてもいいと思えた瞬間、

 胸の奥にあった不安や孤独は、静かにほどけていった。

 玲司の腕の中は、

 思っていたよりも、ずっと温かかった。

 そして二人は、そのまま深い眠りについたのだった。

 長い夜のあとに訪れた、

 穏やかで静かな眠りだった。

 ――――

 その頃。

 神崎和真は、自分の部屋で天井を睨んでいた。

 部
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