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第229話

Auteur: みそ煮
last update Date de publication: 2026-06-29 20:52:04

一馬は瀬奈の質問に上手く答えることができないのか、押し黙ってしまった。湊斗の秘書として、彼の傍に長くいる一馬ならきっと沙織や他の愛人たちについても何か知っているはずだ。

もし、知らないのなら独自で調査するほかない。瀬奈はそこまでしてでも、彼らが抱えているものの正体を知りたかった。

「中田さん……お願いします……私、全てを知りたいんです……」

「瀬奈ちゃん……」

瀬奈の思いは十分すぎるくらい一馬に伝わっていた。しかし彼は、それを言うべきか悩んだ。湊斗と一馬は昔からの仲とは言え、上司と部下という関係。彼には恩もあるし、湊斗の意思に反するような行動はしたくなかったのだ。

悩んだ末、一馬は口を開いた。

「瀬奈ちゃん、俺からそれを話すことはできない。どうしても知りたいのなら……」

「知りたいなら……?」

「――湊斗本人に、聞いてくれ」

一馬は瀬奈の前まで行くと、彼女の両肩をギュッと掴んだ。昔から実の兄のように慕っていた一馬。そうやって触れられると、何だか幼い頃に戻ったような気分になった。

子供の頃、湊斗に冷たくされて泣いている瀬奈を励ましていたのは一馬だった。今も瀬奈にとって、一馬は優しい兄な
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