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第300話

Author: みそ煮
last update publish date: 2026-08-24 14:18:44

「――神宮司さん、次はこっちを頼むよ」

「あ、はい!」

翌日、瀬奈は湊斗の紹介で新しく働き始めた職場で仕事をしていた。瀬奈の仕事は事務であるため主にデスクワークだが、それでも大変なことに違いはない。

新しい環境、まだ知り合って日が浅い人たちの中で仕事をするというのは当然楽ではなかった。

(稲田町のときもそうだったけど……社会に出て働くってすごいことなんだわ……)

彼女は元々、仕事をした経験がほとんどない。働かずとも暮らせていけるだけの資金は十分にあるが、それでも瀬奈は仕事をすることを選択した。

(……だけど、とっても良い経験になりそうね)

里亜のためにも、非常識な母親でいたくはないし。瀬奈は真面目に、業務に取り組んだ。仕事に追われる中で、ある人物に声をかけられた。

「――神宮司さん、何か困ったことはない?」

「…………松永さん」

口元に笑みを浮かべながら瀬奈に話しかけたのは、飲み会で彼女を口説こうとしていた同僚の松永だ。他の社員ならともかく、彼が相手ともなれば何か下心があるのではないかと疑ってしまう。

「……いえ、大丈夫です」

事を荒立てたくなかった彼女は、やんわりと断りを入れた。し
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