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第2話

ผู้เขียน: リョウでいいや
荷物が多すぎて、床にはもう置き場所すら残っていなかった。

それでも入りきらなかったのか、姉の猫用トイレまで私の布団の上に置かれていた。

一瞬、頭の中が真っ白になった。

思わず振り返る。

リビングからは楽しそうな笑い声が聞こえていた。

ちょうど母と目が合った。

布団の上の猫用トイレも、どうしていいかわからず立ち尽くしている私も、見えていたはずだ。

けれど母は、ちらりと見ただけで視線を戻した。

こんなことは、今に始まったことじゃない。

昔は、私にも自分の部屋があった。

きっかけは、姉が「自分の部屋だけ兄より一畳くらい狭い」と泣いて騒いだことだった。

困った父と母は、私の部屋の半分を姉の服やバッグを置く場所にした。

それを知った兄は、何も言わなかった。

ただ、あからさまに機嫌を悪くしてドアを乱暴に閉め、その日は夜まで帰ってこなかった。

すると今度は、残った半分まで兄のゲームスペースになった。

私は自分の部屋を追い出され、冬は寒く、夏はひどく暑い納戸で寝起きするようになった。

外ではまだ雨が降っている。

窓枠から入った雨水が、窓辺にたまっていた。

たまった雨水を見ているうちに、ようやく気づいた。

この家で何かが足りなくなるたび、いつも押し出されるのは私だった。

前は自分の部屋。

今度は、眠る場所までなくなった。

私は扉を閉め、向こう側の笑い声を遮った。

その晩は眠れなかった。

そもそも、横になれる場所さえなかった。

翌朝早く、大学の留学担当者から電話があり、大学へ向かった。

「交換留学の学内選考、通りましたよ」

ずっと待っていた知らせだった。

けれど、まだ一つ手続きが残っていた。

「長期の海外留学なので、こちらの書類に保証人の署名が必要なんです。

ご家族には、もうお話しされていますか?」

服の裾をつまんでいた手に、力が入った。

それでも笑って答えた。

「大丈夫です。なんとかします」

書類を受け取って大学を出たところで、母と姉に鉢合わせた。

姉は目を真っ赤にして、母の腕にしがみついていた。

「お母さん、もうやだ。朔人はバスケの大会で優勝したのに、私だけ何もないんだよ?

何の賞もないなんて恥ずかしいし、不公平じゃん!」

母は何度も姉をなだめていた。

昔なら、その親しげな姿を見るだけで、羨ましくて仕方なかった。

けれど今は、もうほとんど何も感じなかった。

そのまま通り過ぎようとすると、母に手首をつかまれた。

「琴音、ちょうどよかった。

この前、デザインコンテストで最優秀賞を取ったって言ってたわよね?

そのときにもらったトロフィーと副賞、お姉ちゃんに譲ってあげられない?

受賞した実績は琴音に残るでしょう。お姉ちゃんは今、自分だけ何もないって落ち込んでるんだから」

一瞬、何を言われたのかわからなかった。

「お母さん、あのコンテストのために私、ずっと……」

母は最後まで聞かずに遮った。

「大変だったのはわかってるわよ。でも、トロフィーを持ってたって仕方ないでしょう?

お姉ちゃんにあげれば済む話じゃない。琴音だって、家の中がまた揉めるのは嫌でしょう?」

胸の奥から、悔しさと怒りが一気にこみ上げた。

家の平和は、いつも私が我慢しないと保てないの?

じゃあ、私は?

そう言いかけたとき、バッグの中の書類に指が触れた。

その瞬間、頭がすっと冷えた。

「わかった。トロフィーと副賞は渡す。

その代わり、これにサインして」

母は書類を受け取ると、内容を確かめることもなく、すぐ保証人欄に署名した。

交換留学の書類だとはっきり書かれているのに、目を通そうともしなかった。

署名を終えると、すぐ姉に向き直る。

「ほら、もう泣かなくていいでしょう?琴音が譲ってくれるって」

姉はすぐに笑顔になった。

立ち去るとき、私の肩にぶつかる。

そして振り返り、不満そうに言った。

「最初からそう言ってくれればよかったのに。

こっちはずっと泣いてたんだから」

姉にとっては、それが当たり前なのだ。

この家では昔から、何かを分けるときに用意されるのは兄と姉の二人分だったから。

私は何も言わず、署名の入った書類を胸に抱えた。

これで、ここを出ていける。

そう思うと、ようやく息ができた気がした。

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