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第5話

Author: キララ
私がそう言うと、哲也と莉子は二人とも呆然としていた。

莉子は顔にこそ出さなかったものの、その目は、隠しきれない喜びで輝いていた。

それを見て、私には、莉子の考えていることがはっきりと分かった。

子供がいなくなったから、哲也の妻の座を自分が射止められるかもしれない、って彼女は思っているだろう。

たとえそうならなくても、彼女はもっと長く哲也のそばにいられるはず。

そうすれば、哲也からもっとお金を引き出せるようになる。

哲也の地位や財産は、確かに多くの女にとって抗いがたい魅力があるんだろう。

でも、そんなもの私にはどうでもよかった。

私が大事にしてきたのは、哲也自身だった。

でも、私が愛した哲也はもうどこにもいない。

そう思うと私は背を向けて出て行こうとした。でも、数歩も歩かないうちに哲也に腕を強く掴まれた。

彼はまるで怒り狂った獣のように目を真っ赤にして言った。

「綾菜、今なんて言ったんだ?嘘なんだろ?

どうやら本当にお前を甘やかしすぎてきたようだな。俺の気を引くために、そんな嘘までつくなんて」

しかし、私は冷たい目つきでバッグから中絶の診断書を取り出し、哲也の顔に叩きつけた。

一方で哲也は珍しく私の態度を気にすることなく、慌ててその書類を受け止めた。

そして、その書類を掴む彼の指は白くなり、体は小刻みに震えていた。

その隙に、私はありったけの力を振り絞って外へ向かった。

それを見た莉子は慌てて駆け寄り、哲也を慰めようとした。

これは莉子にとって絶好のチャンスだ。ここでうまくやれば……

もしかしたら山崎家の子供を身ごもれるかもしれない。

そうなれば、哲也が他の女に目移りしたって、どうでもいいという思いがあったのだろう。

所詮莉子は、金と贅沢な暮らしだけを手に入れたかったわけだ。

そう考えると、本当に哲也にお似合いの女だ。

だが、私が荷物を手に、玄関のドアを開けようとした、その時だった。

哲也は取り入ろうとする莉子を突き飛ばし、私を追いかけてきた。

「綾菜、行かないでくれ。子供がいなくても、お前と結婚する。

俺たちはまだ若いんだ。時間はまだある。だから行かないでくれ、綾菜」

それを聞いて、私も子供を下したことを知ってから、哲也がこんな反応をするなんて思わなかった。

一方、莉子は床に強く打ち付けられていた。

でも今
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